野宿回避とおいしい食事
コンコンと、部屋をノックする音。
私は扉を開けると、そこにはデリック先生がいた。
「そろそろ、夕食を食べに行くので、ついてきなさい。」
私は、デリック先生の後ろに付いていく。
ここは、港町シャーマの外れの山にある。国家公務員のドラゴン寮。
国家公務員である国家鑑定士の他にドラゴン騎士といった、ドラゴンと絆を結んでいる者の寮となっている。
私は、私の持ち物である貴金属の目録を作るために、港町シャーマの町に留め置かれた。
宿を取ろうとしたが、出稼ぎの漁師たちで宿が満室だったため、急遽ここの寮に泊めてもらえることになった。
ここの寮は、ドラゴンとの共同住まいなので、建物の造りがドラゴン仕様となっている。
ドラゴンのねぐらの上に絆を結んだ者の住まいになっていて、それが段々畑のような造りになっているのだ。
簡単に言うと、車庫の上に長屋のような家がある。そのまた上に・・・って、感じ。
絆を結んだ者の住まいも、独身向けタイプとファミリー向けタイプの住まいがあるようだ。
私の泊まる部屋は、独身向けタイプの部屋になっていた。
その下には、赤いドラゴンがねぐらにしていた。
なんでも、そのドラゴンと絆を結んだ者が子だくさんで、ファミリータイプの部屋でも狭く、寮の近くに大きな家を買ってそちらに住んでいて、ドラゴンだけここで休んでいるのだ。
寮の中には、食堂が何か所あるとデリック先生が言っていた。
その中で一番大きい食堂に案内された。
ショッピングモールにあるフードコート、まさにそんな感じの食堂だった。
私は、鯛のアクアパッツァと、フォカッチャ。
デリック先生は、エビとイカの天ぷらと、わかめスープが、トレーに乗せられテーブルにそれを置く。
私は早速席に着き、しっかりと手を合わせ、頂きますの挨拶をしてから、鯛をほぐし口の中に・・・。
はぁ~
・・鯛のほくほくが口の中で、ハーブと一緒に広がっていく。
そんな中で、フォカッチャを含むと、お口の中がしっとりして鯛のほくほくが相乗効果で口の中にとろけていくよ~。
「幸せそうに食べるのだな。」
「おいしいですから。」
デリック先生の言葉に、素直に言葉が出た。
「それなりの令嬢とみるが、令嬢ならこれ以上の物を食べていたのだろう。」
私は、食事の手を止め、テーブルの上の食べ物を見る。
「そう・・・ですね。ですが、高級な物でなくても、おいしい物はあるって、まさに今私証明していると思うですが・・・。」
デリック先生は、小さく吹きだし笑った。
”ガタッ ザザザザッ”
食堂の出入り口の方で、一斉に席を立つ者がたくさんいる。
何事かと、そちらを振り向くと、画面越しで見た記憶のある者がこちらに向かってきている。
席を順々に立ちあがる波ができている。
そして、波の発信元の黒髪ロングで左肩のあたりで結んでいる男性が、私の前のデリック先生の横まで来る。
「デリック・ギベオン。どうか・・どうか、結婚してくれっ!!」