表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/423

食事の行方

 「リオンが学園に入学すると、モーリスは学園の昼休みに学園へ行って俺とリオンの手紙のやり取りをしてくれた。」

 そうそう、学園の裏口に昼休みの前半から中盤にかけて待機しているんだよね。

 それで、前日のノートの写しを記した物を渡し、ヘンリー様の手紙を受け取ってたな。

 必ず昼休みなんだよね。

 「リオンの手紙のやり取りの時に、食堂の母親に会い、学園で昼食に残った手の付けていない食事を容器に詰めて貰っていたんだ。」

 前世の日本で問題になっていた事がここでもあったとは・・・。

 気が付かなかった。

 食品ロス

 「それを図書館に持って来て、兄弟3人で昼を食べていた。」

 ルベライト公爵家の食品ロスは、それほど出てないから気づいてなかった。

 そういえば・・・ナイジェルさんの家もそうだったな。

 「因みに俺もご相伴にあやかるようになったんだよ。」

 「え?!・・・ヘンリー様が食堂の残りを食べていたのですか?」

 そうだと答えた。

 残り物と言っても、ドラゴニアの一番の学園の食事だから、変な物はないはずだし、もったいないからとヘンリー様が言った。

 だから、この屋敷は食品ロスが少ないのか・・・。


 それにしても、ナホシ君・・モーリスさんが、昼の前半から中盤にかけてしかいなかった理由がそんな事からだったんだ・・・。


 「その後、夕方まで仕事をしてモーリスは閉まった図書館の裏から中に入り、母親が仕事が終わり来るまで兄弟で勉強をしていたんだよ。」

 母親は食堂で夕食が提供された後までの仕事。

 後は住み込みの人が片付けををする。

 昼食と同じように容器に夕食の残りを詰めて、図書館で合流後自宅に帰宅する。

 「モーリスの家族はその様な日々を過ごしていた。図書館で勉強ができる感謝で、モーリスはドラゴンの情報を集めてくれていたんだ。」

 そうだったんだ・・・。

 

 だけど・・・気になることがある。

 言った通りの事がそのまま続いていたら、社会現象になっているはずだし・・・。

 「学園の食堂の手を付けていない食事なのですが・・・。今でもそうなのですか?」

 きっと、学園で働いている人たちに配っても、そのまま捨てている物があるのではないかと・・・。

 「その残りは児童養護施設に送られている。」

 そうか・・・。

 「児童養護施設は基本寄付金で賄っているわ。でも、寄付金のほとんどは食費に持って行かれるのが事実。」

 設備等の管理まで行き届かないでいるのが常識のようなモノ。

 そこに、食事を提供する事で、設備等に寄付金を使うことが出来る。

 私は、その利点を挙げた。

 「それでも食品が残ったとなると・・・どうする?」

と、ヘンリー様が私に問いかけた。

 その内容からして・・・食堂の食品ロスって結構な量だったという事が判明してしまうな。

 それより、それをどうするかだよ・・・・。

 「路上生活をしている人たちに・・・いや、普通に配っているはずだわ。」

 ラーイ界の児童養護施設は教会の中にある。

 教会の中にあるのだから、路上生活の人に施しをすることは常識的な事だ。

 ・・・・では。

 「・・・頂いた食品でアレンジ料理を作り、低賃金者でも購入できる金額で販売をしているのではありませんか?」

 ヘンリー様は身を乗り出し驚いているようだ。

 「よく・・わかったな。・・・その通りだ。」

 頂いた食品で、施設の子が料理をする。

 そのことで子供に料理の技術が身に付く。

 大人になり施設を出た後でそれが強みになる。


 それだけじゃないわ。


 施設等の管理費を設ける事だけでなく、低価格で食事に有り付ける事で、低賃金で生活している人の生活水準を少しだけあげる事が出来る。

 「利点がある内容となってますね。」

 ヘンリー様は、頷いてくれた。

 「今現在、大量に出さないような努力はされているが、パーティーとか開くと、そうはいかなくなる。」

 まあ、パーティーで並べられている食事は、ある意味パーティー会場を彩る置物となっているのが常だよね。よい食事を素敵に見せるのが勤めのような食事。

 ・・・本当にもったいないわ。


 前世でごみ袋有料化になってからレストランとかの飲食店で、食べ残た物を持って帰るタッパーとか提供している所もたまにあったよな。

 ここでも、そうすればいいのに『タッパーあります』って・・・。

 上流階級のプライドがそういうことを許さないか・・・面倒くさいわね。

 「施設等に送られる運びにはなっている。」

 「ですが、もったいないですね。」

 私の言葉に『ククッ』と、隣から笑い声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ