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ドラゴンの背にて

 「ククッ、顔が赤いな。」

 うるさいっ!

 そうさせているのはヘンリー様でしょう。

 私は、ヘンリー様と一緒にコスモに乗り、只今ルベライト領の上空を飛んでいます。

 「サーシャは意識しすぎ・・・耳まで赤いぞ。」

 ヘンリー様の顔はさほど変化は見られないが、なんとなく面白がっているでしょう。

 ・・・まったく!

 「横座りでなく、正面に座らせてくれませんか?」

 私は体制を変えようとする。

 「やめた方がいいぞ。」

 私がその理由を尋ねると、コスモにまたがる体制になるのでスカートがたくし上げられ足を大胆に人前にさらすことになる事を伝えてくれた。

 「今すぐ、ズボン姿に着替えてきます。」

 「サーシャは、大きめサイズの服しか持っていなのではないか?」

 ・・・あたりです。

 貴金属服を中に着てその上に着る服しか持っていません。

 「なら、服を今すぐ買いに行きます。」

 客人のハワードさんに失礼だろうと言われてしまった。

 前世では、ミニスカが流行っていた時期があるからいいが、この世界で女性が太ももを露わにするのはマナー違反。

 女性は人前に膝を晒してはいけないのだ。

 

 ”キキュー”

と、ドラゴンの鳴き声がして、声の方を見るとクレシダだった。

 クルクルと360回転をしたり、急上昇したり、急降下したりと、遊ぶように飛んでいた。

 「クレシダは、幼いのに上手に飛ぶのだな。」

 ヘンリー様は感心して、クレシダの飛び回っている姿を見ている。

 「そうですね。まだ1歳にもなっていないドラゴンが、ここまでの飛行能力を持っているのは驚きです。」

 ヘンリーはコスモですら3年かかったことを伝えた。

 

 コスモの今の年齢は126歳。

 『ドラフラ』の最後で誕生するのだ。


 リオンがクローライト公爵家の養女となるため、馬車でクローライト城へ向かう際に、ドラゴンの悲鳴を聞き、いてもたってもいられないリオンは馬車を出て、悲鳴を上げたドラゴンを一人で探しだす。

 そしてゲームらしく、天候が悪化する。

 大雨や、土砂が流れる中、悲鳴を上げたドラゴンのもとへたどり着くリオン。

 そのドラゴンは密漁者に殺されていて、密猟者はそのドラゴンが抱えてた卵を積み荷の中に入れている最中だった。

 そして、リオンの行方不明で探しに来たゲームキャラたちが来て、密猟者をとらえることに成功。

 奪い去られそうになったドラゴンの卵のもとへリオンが駆け付けると、殻が割れ中から黄金のドラゴン『コスモ』が生まれるのだ。

 これが、『ドラフラ』の最後である。

 その後、攻略キャラルートなら、そのルートの人が来て会話となる。


 『続・ドラフラ』で、大団円ルートをたどるとなるから通常エンディングルートとなるから・・・。

 『ドラフラ』でのサポートキャラのヘンリー様が来てリオンをしかり、ヘンリー様に連れられクローライト城へ向かうという流れだ。


 話はそれたが・・・コスモは誕生からこれまで人の手で育てられたのだ。

 だから、クレシダのような飛行能力を取得するまでどれぐらいかかったのかがわかるのだ。


 「サーシャ、次の日曜日予定は入っているか?」

 ヘンリー様が話を振ってきた。

 今週金曜日までハワードさんが滞在されるので、それ以降は通常業務となるから予定は入っていないはず。

 そのことをヘンリー様に伝えた。

 「よかった。午前中に書類を片付けて午後から出かける。母上の誕生日プレゼントを買うので付き合って欲しい。」

 なるほど、確かにその翌日はヴァネッサ様の誕生日だ。

 小さいながらホームパーティーを開くことになっている。

 私は、ヘンリー様の専属メイドなので当日までは手伝う事はない。

 まあ、どちらかというとヘンリー様の専属メイドとして、プレゼント購入に付き合うのが正しい行動と言うべきだろう。

 「何を購入するか決まっていますか?」

 ・・・・?

 ヘンリー様、私は返事を待っています。

 答えないという事は、答えはわかっていますが・・・。

 「考えておきましょうか?」

 「助かる。一般的な女性へのプレゼントで喜ばれるアクセサリーは、喜ばない人でね。」

 確かにヴァネッサ様はアクセサリーをジャラジャラ着けるような人ではない。

 ヴァネッサさんの専属メイドの方が、ピンクのピンバッチを付けている分着飾っていると言われる程だ。

 「身の回りの身近な物は、全部父上にプレゼントとして持って行かれているから、その他の物で頼むよ。」

 聞き捨てならないモノを聞いたぞ。

 私は顔色が変わる。

 「ククッ、顔が青いと言った方がいいのか?」

 うるさいっ!

 やはり私の顔を変にさせているのはヘンリー様でしょう

 「ハードル高すぎです。」

 私は、頬を膨らまして訴える。

 「まあ、母上のプレゼントに関してはいつもの事だから。」

 「・・・今回は私がいる分、いつもの事ではなくなると安堵してません?」

 私の言葉に「理解してもらってうれしい」という言葉が、笑いと共に返ってきた。

 ”ギュ~ッ”

 コスモが嬉しそうに鳴く。

 「そろそろ目的地だ。」

 そこは山脈の見える森の上空だった。

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