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火曜はジュースの日

 温泉清掃日の翌日は火曜日となっていた。

 ヘンリー様にとって火曜日は、曜日を認知させる行動をさせている。

 朝の紅茶をジュースに変えているのだ。


 長年生きると曜日感覚がマヒをするようだ。

 それを何曜日には『これ』をするという決まりをすることで、曜日感覚のマヒをおさえている。

 前世で例えるなら潜水艦の金曜の昼食は必ずカレーという決まり事があるように・・・。


 私はいつも通り朝厨房へ行く火曜日用のジュースが用意されていた。

 だけど、今日はハワードさんという客人がいる。


 「サーシャさん、どうしましたか?」

 厨房の料理人が声をかけてきた。

 まだ、時間があるわね。

 私は満面の笑みを料理人に向ける。


 「ヘンリー様、ヘンリー様!!」

 私は、布団を叩きヘンリー様を起こす。

 起きてくれない。

 いつもは、モーリスさんに頼んでいるが、今日はハワードさんのところへ行っているために、私一人でする事に・・・。

 よく漫画、小説、テレビとかで、布団を剥いで起こすという行動がされているが・・・ヘンリー様の寝巻であるバスローブの開け具合が気になり、それが出来ない。

 これまで、モーリスさんに頼んでいたのはこれが理由だったのだけど・・・。

 チクショ―、無駄な色気め!!

 だが、このままではダメだ。

 ・・・うん~。

 目を瞑り・・力いっぱいの力で布団を剥ぎ・・・背中を向ける。

 ・・・・OK?

 やるぞっ!!

 目を瞑り

 ”ガバッ”

 布団を剥ぐ

 そのまま背中を向ける!!

 出来た~!!

 「ヘンリー様、起きてください!!」

 「・・・お、おはよう・・・。」

 起きてくれたようだ。

 私は挨拶をして剥いだ布団をベッドの足元に置き、火曜日のジュースを渡す。

 「そうか、今日は火曜日か・・・で、何故サーシャは背中を向いたままなのだ?」

 ヘンリー様のいう通り、先ほどからずっと私はヘンリー様に背中を向けている。

 「ヘンリー様、少しはご自身が美形であることを意識した方がよろしいですよ。目の保養になる程度の刺激ならいいのですが、きっと今のヘンリー様の格好は目の毒です。」

 私は、背中を向けたまま言う。

 ヘンリー様はいつもと変わらないと言うが、モーリスさんがいるといないで私の意識レベルが違うと付け加え伝えた。


 「サーシャ・・・このジュース。」

 どうやらヘンリー様は気づいたようだ、いつもと違うジュースに

 「今日は特別ゲストがいますので、特別感を出すためにいつものジュースに私がひと手間付け加えました。ハワードさんにも同じものをお出してますがよろしかったでしょうか?」

 朝、料理長に味見をして貰い。感動されたジュースなのだが・・・。

 私は、ヘンリー様の方を向こうとする。

 「はい、後ろを向くな。今の俺は目の毒なんだろう。」

と、注意をされて、向こうとしている頭をヘンリー様に押さえられた。

 どんな顔をしているんだろう。

 目の毒でも、ヘンリー様に背を向けなければよかったかも・・・。

 「ありがとう。・・おいしいよ。」

 優しく言ってくれた。

 よかった・・・顔を見られないのが残念だけどね。

 「持ち運びできる大きな瓶に同じものを作っておいてくれないか?」

と、ヘンリー様が言い、飲み終えたコップを運んできたカートに置き、私に背中を向けたまま浴室へ向かう。

 「そうだな・・・ハワードも来ているし昼食後に皆で出かけよう。」

 浴室に向かう扉を開けて、その扉越しに伝えられ扉が閉められた。


◇ ◇ ◇


 昼食後

 ヘンリー様は言っていたように、ヘンリー様、ハワードさん、モーリスさん、コスモ、クレシダ、オベロンと、モーリスさんの絆を結んだ赤いドラゴン『エーギル』と、出かけることとなった。

 「サーシャ、頼んでいたジュースは持ったか?」

と、ヘンリー様の質問に、私は肩にかけていたトートバックから瓶を取り出し見せる。

 「それ、もしかして朝のジュースですか?」

 ハワードさんが聞いてきたので『そうです。』と、答えるとおいしかったと満面の笑みで答えてくれた。 

 私は笑みを返すようにお礼を伝える。

 「モーリス、荷物は持ったな。」

 ヘンリー様はモーリスさんに荷物の確認をすると、エーギルに荷物が付けられていた。

 「サーシャ、手をこちらに。」

と、ヘンリー様に言われたので右手を出す。

 ”ぐいっ”

 「うわっ!!?」

 ・・・・?

 「サーシャ?」

 私の様子に気づいたのかヘンリー様が言葉をかけてくれる。

 「すみません。今の状況を把握したいので、申し訳ございませんが、少し黙ってくださいませんか?」

 私は、目をパチクリし状況を把握しようと試みる。

 ヘンリー様の横顔が目の前です。

 「サーシャ・・・俺から状況説明をする。サーシャは俺と一緒にコスモに乗り出かけることになっている。だから状況を受け止めろ。」

 ヘンリー様と密着してお出かけ

 ・・・トートバックで接触部分が多少少なくなってはいるが、心臓に悪い!

 「行くぞ!」

と、ヘンリー様の言葉にコスモが飛び立つ。

 その後をクレシダ、オベロン、エーギルと続く。

 心臓が~、私・・まさにダメージくらっています。

 回復の見込みありますか?

 それの説明を求めます~っ! 

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