温泉清掃日にて
「シスター、大丈夫ですか?」
ハワードさんの声が聞こえるのですが、只今クレシダに顔をなめまわされ周りが見えません。
「感動の再会されているね~。」
と、エリック様は面白がっているように聞こえる。
・・・助けて。
「先ほどからずっと『サーシャに会いたい』と頭に流れていましたから。」
モーリスさんが言った。
・・・今、知ったのだが、モーリスさんもドラゴンと絆を結んでいたのですね。
「始めまして、ナイジェル・ラリマーの次男ハワードです。こちらが絆を結んでくれたオベロンです。」
”ギュー”
ハワードさんが挨拶しているのが聞こえる。
その後、エリック様、ヴァネッサ様と続きヘンリー様が、ハワードさんに挨拶をした。
「そして・・・あちらが・・・」
ためらい気味にハワードさんが言う。
「うん、クレシダだね。」
「クレシダらしい愛情たっぷりな挨拶ね。」
えっと・・・ルベライト公爵夫妻・・そろそろ・・助けてくださいませんか?
◇ ◇ ◇
温泉清掃当日となった。
城の屋上まで引いていた2つの温泉の栓を一端閉じる。
白い年配のドラゴン3頭が間欠泉付近から掃除をしていき、屋上の露天風呂に流れていた穴の少し下まで清掃すると止まる。
そして、別のドラゴンが大きな岩を持って来て、年配のドラゴンの上に岩を置き始める。
すると、間欠泉のお湯が屋上の露天風呂に流れていく。
年配のドラゴンと岩で、間欠泉のお湯をせき止めている間に、年配のドラゴンの下でたくさんの白いドラゴンが清掃を始める。
そこでのアイドルは、やはりクレシダだった。
大きな円形のデッキブラシの板の上にクレシダが乗り、他のドラゴンがそれをホッケーの玉のように飛ばす。
”キキャッキキャッキキャー”
と、クレシダは面白がっていた。
目が回らないか心配したが、ドラゴンは基本目を回すことはないとヘンリー様が説明してくれた。
掃除が終わると年配のドラゴンが飛んで、せき止めていた温泉が流れ出す。せき止めていた岩を元の場所に戻して終了となす。
城の屋上に引いていた間欠泉以外の温泉の湯のお湯の栓も開け、屋上に温泉が流されていく。
掃除に使用した道具は、広場にドラゴンが戻してくれ、使用人が倉庫へと戻す。
今回も大きな問題もなく無事に温泉の清掃が終了してくれた。
たまに、ドラゴンが怪我をすることがあるので、人間もドラゴンをしっかり監視をしてるのだ。
そして、掃除をしたドラゴンが一番風呂を体験できるのだ。
皆、気持ちよさそうにきれいになった温泉に入っている。
だけど、清掃中のアイドルのクレシダはここにはいなかった。
下流付近の、掃除用具の置かれた付近にオベロンとコスモと一緒にいた。
クレシダはしっぽをまず温泉に浸かり温度を確かめる。
通常ドラゴンは体を洗う時は水で洗う。
なので、温泉のお湯に不慣れなのだ。
皮膚病になった時、いきなり熱い温泉に入ると驚き入るのを嫌がる事につながるため、下流のぬるめのお湯から慣れさせるのだ。
コスモとオベロンはそれに付き合っている。
しっぽを湯から出すと、クレシダは飛びゆっくりと湯につかる。
”キュウ~ッウ~ッ”
私とヘンリー様それにハワード様が、それを遠くから見ている。
「大丈夫そうだ。」
徐々に上流へ向かい最終には、間欠泉の近くの風呂場まで行けるようにするのが目標だ。
「オベロンは、クレシダのいいお兄さんみたいですね。」
私の一言にハワードさんは、実の兄妹だと教えてくれた。
「私も最初は驚きました。クレシダは優しい緑色の瞳の色で、オベロンは全然違う赤い色の瞳でしたから。」
クレシダは、亡くなる前もそうだが、優しい緑色の瞳をしているのだ。
そして、オベロンは反対色と言えるきれいな赤い色の瞳をしている。
兄妹と言っても父か母のどちらかが違う事もあるが、両親とも同じ兄妹なのだ。
だから、なおさら驚いたとか・・・。
「あんな風に兄妹仲良くしているのですから、クレシダの実の兄妹と絆を結べてよかったと思っています。」
「そういえば、ハワードさんのところも兄弟仲がいいと伺っていますが。」
ヘンリー様は、ハワードさんのお兄さんのジェロームさんの事を言う。
そういえば仲良かったよね。
「そうですね、忙しい両親に変わり兄が私を育てたようなモノですから。」
ナイジェルさんとケートさんは、白の領土の境界に近い地域を担当している為忙しく、ジェロームさんがハワードさんを見ていたと言った。
話の途中で知ったのだが、ハワードさんは現在17歳で、ジェロームさんは46歳だった。
親子並みの年が離れていたとは・・・。
驚きだね。