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メイドの明度

 ドラゴンの名前は特別なモノだ。

 ドラゴンの名前は、ドラゴン自身がシールドをかけているほど、本当に特別なモノだ。

 人と絆を結ぶ際に、名前のイメージというか、流れというか、変わった感じのオーラというのか、そんなものが頭に入ってくる。

 その変わった感じのそれと同調して名前が浮かんでくるのだ。

 その名前を口にするとドラゴンと絆を結べる。

 絆を結ぶことでドラゴンの言葉が分かるのだが・・。

 その為か、ドラゴンの名の後に敬称は付けない。

 ドラゴンの頂点である。黄金のドラゴンであるコスモも、ドラゴニアの国王であるハミッシュ陛下と絆を結んでいるユピテルですら、名の後に敬称を付けない。

 それは、敬称も名前の一部として認識してしまうからである。

 『コスモ』は『コスモ』であって、『コスモ様』ではない。

 だから、ドラゴンの名前は呼び捨てに言うのが正式なことで礼儀なのだ。

 だが、例外がある。

 ドラゴンと絆を結ぶ前の呼び名だ。

 有名どころで、デリック先生と絆を結んだヴァルナの絆を結ぶ前の名前が『黒真珠様』だな。

 リオンが付けた名前だ。

 陛下のユピテルは『タイラン様』だったかな。

 俺がジジイと言っている。赤いドラゴンだが、『臙脂(えんじ)様』という名呼び名はある。

 だが、ルベライト公爵家の歴代の公爵の事を知っていて、俺が生まれた時には祖父、曾祖父がいなかった為、よく遊んでくれたのだ家族同然という観点から『ジジイ』と、俺は愛称で呼んでいる。

 本人も臙脂様という名前をあまり気に入っていないようだし・・・。


 そのジジイなのだが、ダイモスが孫と夕方から夜にかけて温泉に入った後、空白になることを気にして来てくれたのだ。

 3時間の空白時間ずっと温泉にいてくれた。途中湯から出たりしたが、その間もずっと温泉を監視してくれていた。

 その後、コスモが来ても、ジジイっ子のコスモの為に1時間程、一緒にいてくれたようだ。

 ジジイは頼りになるドラゴンだ。

 特に温泉の監視は厳しい。

 

 コスモが8歳の時、温泉にジジイがいると知ると、ジジイっ子のコスモが俺を乗せたまま温泉に入ろうとした事があっった。

 間一髪の所で、ジジイが俺を咥え脱出したので、俺がドラゴンの温泉に入らずに済んだのだが、その際俺は腕を骨折する大怪我をしたのだ。

 そして・・・その後、ルベライト領にいるドラゴンと絆を結んでいる者の過半数の者が頭痛を訴える程のジジイの怒りの声が脳に流れ込んできたのだ。

 つまり、ジジイの温泉の監視は厳しいで有名なのである。


 「ねえねえ、サーシャがドラゴンの温泉に向かたって嘘じゃないかな。」

 父上の言葉に反論できないメイドたち、メイドたちの目がおろおろしているのが見える。

 「そうでしょうね。でも、それをあえて言ったという事は、サーシャにドラゴンの温泉を使用して。貶めるためと思われます。」

 さらっと「そうだよね~。」と、父上が机の方へ向かい言う。

 父上が手紙を出し、封蝋が見える方をメイドに見せる。

 「これが、サーシャが持ってきた紹介状の一通目ね。」

 父上はその紹介状の説明をする。

 ドラゴニアとピューゼンの終焉の戦いで活躍したナイジェル・ラリマーからの物で、一か月半程メイドとして素晴らしい働きをしていた。もし幼いドラゴンに何かあった時、サーシャを貸して欲しいとお願いするモノだという内容。

 そして、父上はもう一通の紹介状を見せる。

 特殊な青い封蝋に、メイド一同は化け物を見るような恐怖の顔を見せた。

 「うん、陛下の紹介状だね。数時間の会話の中で、彼女の知識の豊富さに驚いたこと、その知識はルベライトに必要な要素が多く、彼女を送ることにしたことが書かれているね。」

 父上は、俺の方を見る。

 「サーシャの知識は確かなモノです。数分会話を交わしただけ衝撃を覚えましたから。トウモロコシからでんぷん粉が作れることを知っていました。」

 父上は、トウモロコシからでんぷんが取れるのかと驚いた顔を見せた。

 「彼女・・・本当にすごいね。だから、陛下は最後に『彼女に何かあったら協力をする』って書いてあるんだね・・・ん?」

 父上は何か引っかかるような雰囲気の顔をした。

 「彼女の知識の邪魔をする輩がいたら排除し、サポートもしてくれるということではないでしょうか?」

 「そういうことか~!!」

 俺の言葉に納得する父上。

 父上の顔は、悪戯っぽさが感じられるニコニコ顔をしていた。

 「王宮からメイドを送って貰う要請も出来るという事だよね。この頃、うちのメイドの評判が良くなくて困っていたんだよね。雰囲気をよくするために書こうかな?」

 父上は、机から便箋と封筒を取り出し座る。

 「あなたたちメイドは、どうしたいですか?王宮からのメイド要請の人数に関わってきますので返答をすぐにお願いしたいのですが・・・。」

 俺の言葉に、恐怖が言葉のいたるところににじみ出る謝罪をしてきた。


 こうして、陰険なメイドによる新人いじめの幕が閉じ、サーシャが俺専属のメイドとなった。

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