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ポンポンのぬくもり

 「いやーーーーっ!!」

 私は、叫びと共に飛び起きる。

 「ぐっ・・・。」

 喉の激痛が走り、喉に手をやりうずくまる。

 真っ暗な中・・・私は・・。

 「うぐっ」

と、吐き気を催し、すぐに枕元に置いてもらったビニールがかかったトレーを掴む。

 「ぐえーー、うぐっ・・ぐえ~。」

 喉が痛みを感じながら嘔吐物をそのビニールの中に吐く。

 「サヤちゃん・・大丈夫。」

と、看護師がカーテンを開けて入ってくる。

 そして、背中をさすってくれる。

 「ごごご・・うえっ」

 まだ、吐くのかよ。

 「サヤちゃん・・大丈夫かね。」

と、カーテン越しから声が聞こえる。

 この声、隣のベッドの小母ちゃんの声。

 「あ・・ごめんなさい・・・起こしちゃった・・・ごめんなさい。ぐえ。」

 私の叫び起きたせいで、この部屋の人たちはせっかく寝ていたのに起こしてしまったようだ。

 私は喉の痛みと、申し訳ない気持ちで涙が出てきた。

 「私は、大丈夫よ。また眠ればいいんだから・・・ねぇ。」

 すすり泣きながら嘔吐する私に変わり、看護師さんがお礼を言ってくれた。

 やっと、吐き気が治まる。

 「今、うがいをする水を持ってくるわね。」

と、言い看護師は、テーブルの上のコップを持って部屋を出て行く。

 布がすれる音がする。

 同じ部屋の人たちも、体を動かし眠りに再びつく努力をする。

 明日、起きてから再び謝らなければな。

 父さんの事があったから、嫌な予感はした。

 ・・・悪夢にうなされるだろうとは思っていた。

 喉が痛いから、叫ぶまではいかないと思っていた。

 そのせいで迷惑をかけてしまった。

 軽く見ていた事を思い知らされる。

 どっとため息をついたところで、看護師さんが、水と新しいトレーを持ってきた。

 うがいをして、嘔吐物の入っているビニールに吐く。

 まだ、コップに水が残っているのでもう一回。

 「先ほど、叫んでいたけど・・・。」

 看護師が聞いてきた。

 「ごめんなさい。夜の人手が少ない中で迷惑をかけてしまって・・・。」

 私は、謝るしかなかった。

 「何があったの?」

 看護師が聞いてきた。

 「悪夢にうなされて・・・・情けないです。・・・ごめんなさい。」

 私は、謝るしかなかった。

 悪夢にうなされた理由までは聞いてこなかったからよかった。

 「新しいトレー枕元に置くわね。」

 そう言い看護師は枕元に新しいトレーを置いた。

 そして、横になりなさいと布団を私にかける。

 ”ポン、ポン”

 と、看護師は私に布団をかぶせた後、ポンポンと優しくなでるように布団を叩いた。

 「・・・・!?」

 看護師は私のベッド周りを確認してベッドから離れる。

 「看護師さん・・その・・ありがとう。」

 ふと、私は看護師さんに声をかけていた。

 「フフッ・・サヤちゃん、おやすみなさい。」

と、微笑みながらいい、カーテンを閉めた。

 「お、おやすみなさい。」

 去っていく看護師に向かって小さい声で伝える。


 ・・・・・。

 私は気づく、先ほど看護師がポンポンと布団を優しく叩いた付近が暖かいと感じている事に・・・。

 胸が暖かくなり・・・涙が溢れてきた・・・。

 そんな中で私は、再び眠りにつく。


 その後、私は手術することなく退院。

 そして、20歳になり再び入院をした。

 自分のサインで手術をする事にしたのだ。

 うれしいことに、手術当日の担当看護師が、ポンポンと布団を叩いてくれた看護師だった。

 今でも感謝している。

 ・・・ありがとうございます。 

この場を借りて、医療従事者の方々にお礼を申し上げます。


今は大変な時期と思います。これまで以上につらいおもいをしていると思います。

感謝は行動に表さなくてはいけないと、日々日常生活で気を付ける事しか今の私にはできません。


そして、医療従事者の方々だけでなく、皆さまの健康を願わずにはいられません。

どうか、皆さまが日々健康でありますように・・・。

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