〇番外編〇 エロの根源
「おはようございますサーシャ様。朝ですよ~」
フィオナが、私を起こしに来てくれる。
「おはよう。」
と、目を開け、すぐに挨拶を返す。
そして、ヘンリー様の腕の中あkら抜け出し、上体を起こすと、すぐにフィオナがバスローブをかけてくれた。
「ありがとうフィオナ」
私は、ベッドから立ち上がり浴室へと向かう。
「顔色が悪いようですが、顔色が優れなくなるほど、昨晩は濃厚な夜だったようですね。」
”ポンッ”
「朝から変な事言わないでよ!!」
もう、私の顔色は真っ赤だよ。
血色ありありになったから安心して頂戴。
「ヘンリー様は、ドラフラの主要キャラな上に、続編からの攻略キャラですから、相当な上モノ・・・特上モノをお持ちでしょうね。立派だともっぱらの噂ですし・・・。」
独り言を言っているように言葉を発しているフィオナ。
「公爵家の者としての領地運営管理の才能は立派なモノよね。その才能を潰さない様に気を付けないとならないのが、私の役目だけど・・・。」
昨日の話合いの結果。
イリス帝国に帰るのを辞めた。
仕事と・・・ヘンリー様との時間の両立を取り決めたからだ。
「・・・サーシャ様。私が言っているのはですね、領地の営みの話しではなく、『夜』と、付く営みの方です。」
フィオナが、そう言った話をよく出してくるのだが・・・。
私は前世を含めて対応に困っている。
昨日の仕事とプライベートの取り決めも話合いもそうだが、余りにも赤裸々過ぎて、途中から眩暈を催していた。
まあ、跡取り問題があるので、あそこまで赤裸々になってしまうのだろうが・・・。
前世のテレビやラジオでは、お決まりで、会話をするならば、『ピー』とか、『バッキューン』って、音が飛びまくり、話している会話が通じない状態ともいえる。
・・・この会話も、効果音付けてくれませんか?
「よ、夜の・・方は・・・。その・・・前世を含めてヘンリー様が初めてだから、わからないし、どのように言えばいいのか・・・。」
私は、恥かしさからフィオナに背を向けながら話した。
『それに関しては、昨日の話合いを聞いていましたから、言わなくても大丈夫ですよ。」
”カ―――”
「あの話合いの部屋にはいなかったでしょう!!」
昨日の取り決めの話合いには、ヘンリー様と私。それにエリック様とヴァネッサ様に、キャサリン様とマティアス様しかいなかったはずよ。
「聞き耳を立てているに、決まっているではないですか!」
「立てるな!」
フィオナがこんなにも変態だとは知らなかったよ・・・よ?
私はその場に止まる。
「サーシャ様?」
フィオナが心配そうに私の顔を伺う。
「フィオナ・・・ではなく、みちるさんって、18禁乙女ゲームのシナリオも作っていたのでしたよね。」
「はい。殺された日も、18禁の新作ゲームのシナリオを製作していましたよ。」
得意げに製作途中の作品の説明をしだすフィオナだが、私は右から左に受け流す。
流さず体に取り込めば、体が沸騰すると判断したし、聞きたいことはまだあるからだ。
「他のチームに意見も聞いたりした事ありましたか?」
「もちろん。特に18禁乙女ゲームは、どれだけエロくするかが決め手てすから、他のチームの協力が必見ですよ。」
だから、フィオナは素面でエロを観察できるのね・・・厄介だわ。
私は、ため息を付きながら、肩を落とす。
「そうそう、ドラフラを18禁バージョンにするとって話を、社員旅行の時にアリスさんと話し合った事あったな。」
何ですって?
「それはもう、盛り上がりまくりで、女子社員のほとんどが会話に参戦してましたね。」
ちょっと・・・。
「SMプレーから、赤ちゃんプレーにいって、公開プレーなど、しそうなキャラっていう話で盛り上がりましたね。懐かしいな・・・そう言えば・・・。」
「それ以上聞きたくないから、話しを辞めて貰って!」
まったく、私の体を巡っている血が重力逆らって、頭に流れそうになるわよ。
「う・・・ん」
フィオナが、不満そうに頷くと、考えだした。
「あっ、そうか・・・なるほどね。」
と、考え込んでいたフィオナが、いきなり一人で納得しだした。
「サーシャ様。サーシャ様は私が考案したドラフラのキャラクターです。」
はい。前にアリスさんとコラボできて感動してたよね。
「18禁のシナリオも描いている私です。サーシャ様は、ヘンリー様を酔わせる身体をお持ちなんですよ!」
は?
いきなり何なんだ?
「ヘンリー様をここまでのめり込ませているのですからね。」
おいっ、それって・・・。
「誇らしいわ~」
フィオナは一人で悦っていた。
私は自分の体温が一気に下がったのがわかった。
「今すぐ荷物をまとめて!」
実家と言うモノに帰るしかない。
”ガシッ”
「荷物をまとめる・・・と聞いたのだが・・・。学園の準備は済ませてたはずだよな。」
朝の弱いヘンリー様が、私の腕を掴んでいる。
「これからシャワーを浴びるので、手を放してください。」
・・・手を放す気配なし。
「サーシャ様の学園の準備は出来てまして、もう学園に運び終えています。」
フィオナよ。要らぬ情報を伝えないでくれ。
「荷物をまとめる意味がないようだが、何故・・・纏めるようにフィオナに言ったのだ?」
「学園に行く為です。荷物が運ばれているのなら、今日から行ってもいいですよね。」
『避難していいですよね』が、正しい答えなのだが・・・。
「一日早く言ってどうするのだ!」
えっと・・・避難訓練ですよ。
「ヘンリー様の仕事の邪魔をしない為に学園に行くのです。」
学園へ行ったら、一年間の課題であるクッション作りの刺繍でもしましょうかね。
「今夜はどうするのだ?」
「私は学園の寮に止まりますよ。」
当然せしょう。
「ダメだ、ダメだ!今夜はサーシャを抱きつぶすのだから」
「だから、学園に行くのでしょう!抱きつぶさないでください!!」
”グイッ ドンッ”
と、私をベッドに押し倒す。
「時間外になりますが・・・いいのですか?」
私の一日拘束権がなくなりますよ。
昨日決まった事。
夫婦間の夜のお勤めで、時間帯を決めただけでなく、毎晩のお勤めが出来ないので、合わせて100日貯まったら、日にちを決めて丸一日夜のお勤めに当てる事にしたのだ。
なお、時間外に夜のお勤めをした場合、一回につき、丸一日の夜のお勤めがチャラになる。
まだ、一日も貯めていないのに、速攻で丸一日が消しにかかるのか?
「わかっている。」
「!?」
わかっているって言っておきながら、キスを・・・舌が・・・濃厚過ぎます。
絡めないで!!
私も答えるな・・・もっと、濃厚になるでしょうが!!
「はあっ」
やっと、口が離れた。
「すまない、先にシャワーを浴びさせてもらう。」
ヘンリー様は、そう言いベットから離れさっさと浴室へ行ってしまわれた。
「アレは、浴室で・・・。」
フィオナが、浴室の扉を見つめながら、ドヤ顔で言う。
「先に浴室を使われてしまったわ・・・。」
自室の方に行くしかないわね。
石鹸にシャンプー、リンスが自室の浴室にあったかしら?
ルベライト城なら完備されているけど、王都の屋敷の自室・・・ほとんど使っていないからなぁ~。
「サーシャ様、どうなされました?」
フィオナが心配そうに聞いて来たので、素直に考え込んでいた事を伝える。
「サーシャ様は冷めているわ。」
フィオナが私を非難してくる。
「あんなにヘンリー様と濃厚なキスをしておきながら、浴室のアメニティの心配をしているとか・・・ないわ~。」
いや、キスの最中はアメニティの事を心配してませんよ。
今も、キスの感触が残っている事に戸惑っていますし・・・。
「私の見ている前で、ヘンリー様にベッドに押し倒され、キスされ・・・そのままって流れになっていたかもしれないのに・・・。」
人前では、しないでしょ流石に・・・。
・・・・。
・・・・!
・・・・っ!?
待てよ。
「フィオナ。もし、あのまま・・・昨夜の続きをしだしたら・・・そのまま・・・。」
「はい、見ていましたよ!」
ドヤチックなニッコリ笑顔を辞めろ!!
「そのようなプレーを堪能したいときは、いつでもこの私を呼んでください!是非、呼んでください!!絶対に呼んでください!!!」
「するわけないでしょ!!」
私はフィオナを睨みつける。
「考えてみたら、フィオナが前世で、ドラフラの18禁話へと発展させなければ、ヘンリー様が、こんなにも変態にならずにすんだのではないの?」
フィオナの目が見開くが、すぐにその目が光り輝いた。
「ありえていいのですか!!でも、ありえてしまってますよ~!!感動です!!!」
私は、フィオナを勘当したいです。
「フィオナのバカ!!バカバカバカー!!」
この世界のエロの根源かもしれないフィオナに、枕を投げつけた。
「ヘンリー様を変態にするな!!穢れ泣き純粋なヘンリー様を返せ~!!」
涙ながら訴える。
「その純粋を変態にさせたのは、サーシャ様ですよ!」
「フィオナでしょう!!フィオナのエロ脳が、あんなにも・・・あんなにも・・・。」
恥ずかしくなり、顔hが沸騰する。
「あんなにもの続きはなんでしょうか?」
言えるか!!
何なんだ。フィオナのニンマリ顔は!!
「フィオナのエロバカ変態!!」