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瞑想に、迷走して・・・眠れません。

 私の手には、陶器のスプーンが握らてていた。

 1人寝の時に握って眠っている物だ。 

 だが、今はベッドではなくバルコニーにいた。

 眠れないのだ。

 ・・・理由はわかっている。

 ヘンリー様の事で頭がいっぱいなのだ。

 それは、まあ・・・学園の寮生活してますので、ヘンリー様のいない夜は度々経験しているから、今夜のように、ヘンリー様の事で頭がいっぱいになることは・・・その、しばしばでして。

 でも、布団に入れば、すぐに、瞬殺とまでいかなくても、寝られていた。

 なので今夜も、布団に入ればと思い入ってみたが、一向に眠る事が出来ない。

 バルコニーに出て夜空を見て、気分転換をしているというわけだ。

 それで・・・気分転換をして眠れるのかしらと、まさしく今思っている最中。

 目を瞑っているよりも、星や月の景色の方が明るいじゃないの。

 それで、寝れるのか・・・冷静に考えれば、ここはやはり、布団に入って目を瞑り・・・瞑想して・・・迷走して・・・はい、振り出し。スタートへ戻る。

 どっちにしても、意味ない気がするわ。


 そもそも、眠れないとされる原因は何か?

 考えるまでもない、ヘンリー様との事情の事だよ。

 私も冷静に考えればわかった事。

 マリーは仕事をしっかりこなしながら、モーリスとの事情をやっていて、子供であるリホウが出来たのよ。

 だから、仕事に支障をきたしながらヘンリー様との事情をしているなんて、もっての他で、いい加減にしろの領域だったわけだ。


 でも、それを許されてしまうのは、ドラゴンが伴侶の絆を結ばなかった黒歴史を乗り越えた者の独占力という、暗黙の了解があったわけで・・・。

 でも、モーリスも黒歴史を乗り越えた独占力の保持者なわけで、それでも許されたのは、ヘンリー様が公爵家の跡取りという地位にあるからだ。

 ルベライト公爵家は、今現在。ヘンリー様の後、ルベライト公爵を継げる者がいない。

 それが、連日連夜、事情を許している理由なんだけど、連日連夜までして跡取りを誰も求めてはいない。

 だって、寿命が延び、年齢も止まるから、場合によっては『永遠の20歳』なんてことも許される域だ。

 つまり、跡取りは必要だが、後、軽く数十年は、余裕ありますって事なのよね。

 だから、仕事に支障をきたす程、取り組まなくてもいい事。

 

 では、何故、ヘンリー様との事情を許してしまっていたのか・・・。

 だって、仕事に支障をきたすのはダメでしょう。

 故郷、イリス帝国のあのくされっぷりな政治の始まりは、仕事の放置からも原因があるわ。

 自分の事が先なのだからね。

 それが、長年蓄積されて、内戦とならざるおえなかった。

 真摯に向き合っても、どうすることも出来なかった。

 生まれる前からの蓄積があったのだから・・・。


 なのに、私は・・・。

 今、正に、その蓄積の第一歩を踏み出そうとしている。

 ・・・少し、していた。

 公爵家の事を考えて、まずは跡取りをって、通常の人よりも長年掛かっても、それが出来る立場となったのにも関わらず、仕事放棄って、同じことを繰り返すの?

 それって、最悪じゃないの。

 真摯に向き合って、いい方向へと進めている環境下なのに、それを放置するって、国を腐敗させた人間と同じ事。

 腐敗蓄積の歴史の積み重ねの最悪の事態を経験している私が、第一歩を踏み出すって、愚かだったで終わらせていいの?

 馬鹿丸出しで、生きていて、恥かしくない?

 恥ずかしいに決まっているでしょ。


 でも、これって、何度繰り返している?

 学園生活があるからって、誤魔化してない?

 いや、それもあるけど・・・。


 とことん愛されている事が、心身共に愛されている事が、嬉しくて、幸せ過ぎて、包まれていたいんだ。

 前世を含めて、初めての恋。

 愛される事を諦めるしかなかったのに、愛されて・・・愛して・・・結ばれて・・・・。

 戸惑いなさいよ私!

 のめり込み過ぎよ私!!

 それほどに、ヘンリー様の腕の中は、溶そうな程に幸せなのだ。


 でも、それじゃあ・・・ダメだ。


 自分を律しないと・・・行く末が危ない。

 将来、子が出来て、その子に被害が及ぶ。

 ・・・子に罪はないにも関わらず。

 子に・・・子でなくても、孫に・・・被害が及ぶ。


 その理解はできた。

 ・・・経験も済んでいる。


 なら、大丈夫か?

 ・・・無理かもしれない。

 

 だって、ヘンリー様の腕の中では、自分を律せない事が多い。

 ・・・すべてを忘れて、ヘンリー様が全てになる。

 

 それでは、ダメだ。

 ・・・では、どうすればいいの?


 それが、解らないから、眠れずにいる今がある。

 

 いや・・・わかっている。

 ただ、その勇気がないだけだ。

 幸せだから、幸せのままでいたいと思う我儘が、勇気を出せないでいる。

 ・・・ただ、それだけなのだ。

 

 

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