何が、何で、何なのででしょうか?
「ねえねえ、サーシャ。」
と、声をかけてきたのはエリック様だった。
私は、エリック様の方を見ると、エリック様は、一瞬微笑んだが、すぐに素に戻り話しを続けた。
「ホルンメーネの王子と話す為に、ルベライト城を発ってから何日経っていると思う?」
えっと・・・。
ルベライト城を出てダンビュライト城へ行き、イライアス王子と話をして、そのまま一泊。
翌日、ピンクと緑の計画の地による事になって、3つの町をそれぞれ視察して、ピンクアメジの宿に泊まる事・・・一泊。
それから、ヘンリー様とその・・・いろいろと・・・いろいろと・・・やはり、いろいろとありまして・・・。
えっと、食事をした回数を数えた方が確実だな。
一回、2回、3回で一日でしょ。
それで考えよう。4回・・・5回・・・6回・・・・・・・・・・うん、21回かな?
「一週間でしょうか?」
「10日間です!」
私の出した答えに、即答で答えてくれたモーリス。
つまり、私は、9食分の食事を全く手を付けずに回収をさせていたのか・・・もったいない。
「何といえばいいのでしょうか・・・。」
言いずらそうな雰囲気でデボラが言葉を発した。
「デボラ。しっかり言わなくても、俺はわかる。それに、モーリスもわかっている。」
「わかっていらっしゃらないのは、ヘンリー様とサーシャ様でしょう。」
何を私とヘンリー様がわかっていないのでしょうか?
私は、答えを求めるように3人を見る。
「俺とモーリスは、長い時を生きているから、曜日感覚が分からなくなる事があるのは知っているよね。」
エリック様の質問に私は頷き、曜日感覚を正常に保つために、ある曜日に決まったことをするという事を伝えた。
ヘンリー様は、朝一に飲む飲み物が火曜日だけジュースなのよね。
でも、それって・・・ルベライト家の常識であって、別のところでは、そうはいかないわね。
ここのところ、ヘンリー様と出かけて、火曜日のルーティンが疎かになっている。
「ヘンリー様の曜日感覚があやふやになっている気が・・・。」
私は、口に出して確認を取ってみた。
「うーん。それもそうだけど・・・それだけじゃないんだよね。」
エリック様が、苦笑いをしながら言う。
・・・どういう事なんだ?
「例え、火曜日にジュースを出していても、同じことかな?」
「『ああ、今日は火曜なのか』で、終わってしまいますね。」
3人は、納得している感じに頷いていた。
私だけ疎外されている感満載で、どういう事なんだと考え込むも思い浮かばない。
そろそろ、答えを欲しいのですが・・・。
私は、エリック様の方を見る。
「ヘンリーが、サーシャを嫁にと願い、その通りにサーシャが嫁に来てくれるだけでもうれしいのに、跡取りの事を気にしすぎなくてもいいのだよ。」
エリック様が、私たちを気にして言ってくれている気づかいに、私は頷くも、真相がつかめてない。
「まあ、ルベライトの力を大いに使ってくれても、一向に差し支えないのだが・・・子づくりにのめり込んでいるよね2人とも。」
”カーーーーーーッ”
と、一気に顔が熱くなり、まともにエリック様を見る事が出来ずに俯く。
「新婚のような状態だから、毎晩っていうのは理解しよう。ごくたまに、記念日とかだったら、一日中も多めに見よう。でも、それを連日となると話は別だよね。」
”ジュウジューーー”
夏の日差しの暑さではなく、恥ずかし過ぎて、頬で目玉焼き焼けるよコレ。
凄く恥ずかしい。
「領土を預かるルベライト公爵家として、このまま許しまっては、非常時の対応が出来なくなる。通常時にそれなりの準備をしないといけないからね。」
エリック様は、モーリスの方を見る。
「これまで、通常であっても、非常時の準備をかかさずしていました。この頃、その準備が疎かになりつつあります。コスモが大けがをしたにも関わらず。」
”ズキッ”
モーリスの言葉が、心にグサリと刺さった。
「サーシャ様は、夫婦の営みをそこまで熟知していないようですね。」
デボラが、私をかばう様に言ってくれた。
「まあ、熟知しすぎても怖いよね。初めてがヘンリーではないと疑いの目で見てしまうよ。」
前世を含めて、ヘンリー様は始めての人ですから!
私は、眩暈を感じながら、ヘンリー様が初めてであることを口走るように言ってしまった。
その為、なお、眩暈が激しいモノとなったのは、言うまでもない。
「ヘンリーのアノ大きさだから、凄いんだろうね。」
エリック様。ヘンリー様の何が大きいのでしょうか?
「フィオナが言っていたのですが、社交の場の卑猥な噂話で、よくあげられるようです。ヘンリー様はビック4の一人だと。」
デボラ、ビック4とは、何の大きさですか?
そして、ヘンリー様以外が誰なのでしょうか?
「そうですね。同じ男として羨ましいと思う程、立派なモノをお持ちです。」
モーリス。だから何の大きさなの?
「これまで、例えヘンリーが大きなモノを持っていても、ヘンリーは淡泊だろうと思っていたから、気にしなかったんだよね。こんなに濃厚な男だとは思わなかったよ。」
エリック様はモーリスにどういを求めるように言うと、モーリスも『同感です』と、即答した。
「サーシャ様。限定なのでしょう。」
「ああ、なるほどね。それ、ありえるわ。」
エリック様が、デボラの一言に納得をしてしまった。
ヘンリー様の私限定な事はうれしいのだが、濃厚なのが夫婦の営みまではわかった。
だが、大きいのはわからない。
・・・心の大きさ?
「サーシャ。ヘンリーとの夫婦の営みをしないは問題だが、しすぎるのも問題だ。公爵としての務めを疎かにするのは、領土を衰退させるだけでなく、国の衰退にもつながってしまう。そうなれば、どのような恐ろしい事が待ているかサーシャは身を持てわかっているはずだ。」
私は、生まれ故郷のイリス帝国を思い出す。
まだ、内戦中のはずだ。
たくさんの民が被害を被っている。
わかっているはずなのに、ヘンリー様と連日にわたり、肌を重ねることが当たり前のように思っていた。
そのせいで、領民・・・いや、国民を危機にさらす事になるところだった。
「恥ずかしい事でも、解らない事があったら、俺たちには聞いていいのだよ。もちろんサーシャの専属メイドにもわからない事があたら聞いていい。遠慮することはないからね。」
エリック様は、優しく諭すように言ってくれた。
「ありがとうございます。」
私は、素直に言葉が出た。
だって、これまで新婚家庭の夜の営みの頻度が知りたかったからね。
新婚家庭は、翌日の支障がなければ、毎晩するようだ。
そして、地位が高いと、たまに一日中という時がある。だか、使用人とかは、仕事に支障があるのでないようだ。
「最後に聞きたいのですが・・・ヘンリー様の何が大きいのでしょうか?」
私は、話しの内容が掴めなかったので聞いてみた。
すると、3人は顔を見合わせて驚きを見せる。
「えっ・・・と、そう・・だよね。サーシャが、そんないろんな男のモノの大きさに、興味津々になるなんて・・・考えられないな」
エリック様が戸惑いながら言う。
「そこも、サーシャ様の可愛らしさでもありますね。」
微笑ましく言うデボラ。
「ですが、ヘンリー様を基準にしますと、将来、他の方々が小ぶりな事を気にされるかもしれません。」
モーリスは考え込むように言う。
「ですから、ヘンリー様の何が大きいのですか?!」
私は、再び聞き返た。
その後、聞かなかった方が良かったと後悔する事になったのは言うまでもない。