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国家鑑定士

 「ヴァルナ!!」

 あっ、いけない・・・つい、名前を口にしてしまった。

 「何故、その名前を?」

 窓から入ってきた20代後半の銀髪、水色の瞳のインテリ眼鏡の男性が言う。

 そう、ヴァルナの相棒で、元、聖ドラゴニア学園の歴史教師デリック先生だ。

 ゲームの攻略キャラなので無駄にイケメンね。


 「ゆ、有名ですから、美しい黒いドラゴンはヴァルナだという事は・・・。」

 私は、すっとソファーから立ち上がりデリック先生の方へ向かう。

「国家鑑定士、北の総括長をしているデリック・ギベオンです。」

 北の総括長って、ドラゴニアの北の領土の全ての国家鑑定士の長だったような・・・。

 出世したものだと感じながら、デリック先生の横を通り過ぎる。

 「サーシャ・カーネリアンです。」

 私は、左手をおへそに、右手はスカートを掴み少し上げ、左足を後ろに引き膝を曲げる。

 正式なマナーのお辞儀をヴァルナにした。

 「私よりも、ドラゴンに挨拶をするとは、相当なドラゴン好きといえる。」

 「もちろんですよ。デリック先生。」

あっ、またやらかした。クセで先生と付けてしまった。

 ・・・まあ、北の総括長だし、先生といっても支障はないかな。

 念のために、デリック先生に握手を求める。

 素直に応じてくださいました。デリック先生と言って支障ないようです。

 

 「あなたに大量の財宝の香りがするため、持ち物検査をさせてください。」

「え?」

 ドラゴンに狙われる金や宝石は持っていないはずだけど・・・。

 「持ち物検査に応じないと、検挙することになります。」

検査に応じないとならないのはわかった。

 でもそうなると・・。

「しきりと、監視役の女性を要請します。」

「何故ですか。持っているものは鞄の中にあるのでは?」

デリック先生は私の鞄を方に顔だけ向ける。

”きゅうううぅぅ・・グルルル”

ヴァルナが鳴くと、デリック先生とカロンの相棒が顔を赤くする。

「わかりました。あなたの要望を受け入れます。」


 しきりの中で、鋭い視線で私を睨んでいる女性。出入り口の受付嬢が監視役とは、体がピリピリ痛いと感じるのは、正しい感情なのかしら。

 私はため息をついてから、服をまずは一枚脱ぐ。

 その下には、キルト生地のような綿が入った生地でで作られたノースリーブのワンピース。

 そのワンピースを脱ぐと、下にはデニム生地のような丈夫な布でできたワンピース。

 そのワンピースには、一面にポケットが大量についている。それも蓋つきで、ご丁寧にボタンまでも付いている。

 特注で作ったワンピースだ。

 そのポケット一つ一つには貴金属は入っている。

 肩には着脱しやすいようにボタンがついていて、それも落ちないように2重構造となっている。

 肩のボタンをはずし、それを脱ぐと鈍い音を立てて落ちる。

 その下はまた、キルト生地のようなワンピース。

 そしてその下には再び、ポケット大量ワンピース。しっかり貴金属付き。

 その下にキルト生地のようなワンピースがあり、それを脱ぐとやっと、コルセットの下着にありつける。

 私は背伸びをしてから、一番上に来ていた服を着る。

 肩がゴリゴリと鳴っているが、仕方がないわ、甲冑並みの重い物を着ていたのだから。どこに戦闘しに行くのですかって、自分で言いたくなるわよ。

 一番上に着ていた服を着て、ポケット大量ワンピースを持ちソファーに向かう。


 「肥えた女性と思っていたのですが、貴金属の収納によるものだったのですね。」

 はい、今はぶかぶかなので、体がスースーしてますよ。


 「入手方法を教えてもらおうか。」

 デリック先生は目を光らせ言う。

 「何て言えばいいか・・・怪しまれることを覚悟で素直に言いますと、頂いた物・・いわば貢物です。」

 デリック先生・・・目が死んでますよ。

 カロンの相棒さんもです。

 目の鋭い受付嬢のほうは・・・向かないに越したことはない。被害は最小限に済ませましょう。 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] あれ? デリック先生、生きてた…。 勝手に殺してスミマセン。 それにしても、貢物?貢物? プレゼント? 男どもから? 謎は次回明らかに、乞うご期待! でしょうか。
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