表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

392/423

跡、後が・・・・

 「タルクウィーニオ王子の最終目標が国王となる事だ。その為にドラゴンの文様の入れ墨して国王となったとして、その入れ墨はどうするんだ?」

 ハミッシュ陛下が、フレディ様の方を見ながら問いかけるように言う。

 「そんなの、その部分の皮膚を焼けばいいでしょ。」

 「焼いた跡が残るよな。その跡があれば噂になろう。『ドラゴンと契約をしたユニコーンの王』と、そんな国王をユニコーンの国民が信用するのか?」

 フレディ様が黙ってしまった。

 「もし、ドラゴンと絆を結んだ物であるなら、国王となった時に、絆を結んだドラゴンを殺せば、文様は綺麗に消える。噂が立とうが、噂で終われます。」

 つまり、証言者を片っ端から消せばいい。

 それこそ王太子になった時にでも・・・。

 「キマイラ作製中に、たまたまドラゴンと絆を結べたと見ていた方がいいのか・・・。」

 マティアス様が困ったように言う。

 それも、そうだろう。

 だって、ドラゴンの言葉がわかるのだから、タルクウィーニオ王子は、ドラゴンの通信が丸聞こえなのだ。

 「重要な内容は、これから、気を付けないとならないな。」

 「面倒くさいな~。」

 ハミッシュ陛下の言葉にフレディ様は、皆が思っている事を言う。

 何せ、注意することを伝えるのも、ドラゴンなら一日もかからないで済むことを、文書を伝えたい者たちに、その数の文書を書き、郵送して、その者に渡り、その文書を見るまでという、途方もない時間がかかるのだ。

 一人ひとりでなく、地域にしたとしても数が多い。

 それも、どこにいるかもわからないタルクウィーニオ王子に、判らない様に伝達するという芸も必要になるのだ。

 「タルクウィーニオ王子の首を獲って、ホルンメーネに送りつけるか?」

 フレディ様が、サラッと言ってのける。

 「そんな事をしたら、ドラゴンの国とユニコーンの国との全面戦争になりかねないだろう。絶対にダメだ!!」

 ハミッシュ陛下がフレディ様を静止させる。

 「そのような事をして、苦しむのは民です。民の生活を守る者がそのような事をなさるのは許しません。」

 カリスタ様から、怒りの念がフレディ様に向けて放たれる。

 優しさが駄々洩れのカリスタ様が、怒る姿を見るとは・・・驚くよ。

 「言葉の綾でも、言ってはいけない事を言いました。ごめんなさい。」

 素直にフレディ様が謝る。

 「タルクウィーニオ王子さえ捕らえられれば、ホルンメーネからの攻撃は無くなると思います。」

 私は、席を立ちあがり、ハミッシュ陛下に伝える。

 「そうだな、タルクウィーニオ王子の商会の力があっての、ドラゴニアへの攻撃だからな。必ず生かして捕らえなくてはならない。それは、解っているな。」

 ハミッシュ陛下の言葉に、一同は同意した。

 「タルクウィーニオ王子を指名手配にすることを、お勧めします。」

 「そんなことをしたら、ホルンメーネ国が黙ってはいないわ。」

 カイル様の一言に、私は即、否定をする。

 「大々的にタルクウィーニオ王子を指名手配にしたら、ホルンメーネ国から苦情がくるわ。」

 「お互い様ではありませんか?こちらはキマイラ事件に、ドラゴンの大樹の襲撃など、苦情をホルンメーネに送っているのですよ。」

 カイル様が、私の否定的な言葉に反論を入れた。

 「ホルンメーネ国の人間性を知らないのですね。ホルンメーネ国の人間性は、自分たちが他者にした攻撃は、正しい行いなので、苦情を言われる筋合いはないと思います。逆に攻撃されれば、苦情は大々的に大きなモノとして扱い、時に嘘をでっちあげる事もあります。」

 本当に厄介な国なのだ。

 だから、関わりあいを持たない方がいい国でもある。

 「本当に厄介なんだよね~。」

 フレディ様が、カイル様の肩に手を置き、あやすように言う。

 「だからこそ、じわじわと貶めるのって、楽しいと思わない・・・どうかな?」

 フレディ様・・・そこ・・・息子様をあやしているとは言えないわね。

 「ふふふふっ」

 「ふふふっ」

 二人して、不敵に笑わないでください!!

 「公でないけど、タルクウィーニオ王子を生きて捕らえる。それでいい

よね。」

 不敵なニコニコの笑顔のまま、ハミッシュ陛下に顔を向けて伺うフレディ様。

 「・・・それしかないだろう。」

と、ため息交じりに、若干諦めモードが入った感じにハミッシュ陛下が言う。

 「これで、この会議は閉廷でいいか。」

 ヘンリー様の質問にハミッシュ陛下が頷く。

 ”がしっ”

と、いきなりヘンリー様に腕を掴まれる。

 「ヘンリー様。どうなさいましたか?」

 私は、実感嫌な予感をしながら聞いてみる。

 「王宮で用意をしてくださった部屋へ向かおうな。」

 そう言い、メイドに案内を頼むヘンリー様。

 メイドは、すぐに案内をする。

 「いや、まだ、聞くべきことがあってもいいのでは?」

 「閉廷と言っただろう。」

 私は、ヘンリー様に腕を引かれ歩きながら聞くも、歩む速度を変えることなく、連れて行かれる。

 「待って、心の準備が出来てません!!」

 「あっても、なくても、同じだと気づこうな。」

 気づきたくもありません!!



 ◇ ◇ ◇


 「行ってしまったな。」

 「そうですね。」

 さっさと部屋を出て行ったヘンリーとサーシャ。

 開いたままの扉を見ていた。

 「失礼ながら、タルクウィーニオ王子の文様は何色の文様ですか?」

と、マティアスがラスキンに聞く。

 「白だと伺っています。」

 その一言に、反応するフレディとカイル。

 「父上・・・本当にやりがいのある仕事が舞い込んできたようです。」

 「そうだよね・・・。」

 そして、再び不敵な笑いが部屋に響く。

 「その・・・一応伝えておきますが、タルクウィーニオ王子と絆を結んでいるとされるドラゴンは『ディスノミア』という名前です。」

 ラスキンさんが、オドオドしながら言う。

 「『デス』のみな・・・いい名前ですね。」

 「そうだね。」

 『デスノミナ』でなく『ディスノミア』な・・・ダンビュライト親子よ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ