隠された事実
「ごきげんよう、ルフィナ殿、ジョン殿。」
私は、宮殿の地下牢に来ていた。
陛下のご厚意で、自分の城ではなく、宮殿の地下牢に2人を収監してもらったのだ。
宮殿の地下牢と言っても、ここは、通常の宮殿の地下牢とは違い、隠された地下牢で、そこにいる看守も、機密保持が出来る信頼する者しか付いていないのだ。
ここに収監している2人なのだが、ルフィナ・クラウンコッパーと、ジョン・クラウンコッパーと言い。
少し前までは、サーシャの厚意でホルンメーネにいたのだ。
だが、ロゼリス殿がホルンメーネを出国したことで、こちらに収監されることになった。
「ウィリアム様。私たちが牢屋に入るいわれはございません。悪いのは、全てロゼリスですので、ここから私たちを出すのが当然のことですわ。」
ルフィナ殿が訴えてくる。
「ここは汚くてなりません。」
ジョン殿も、訴えてきたか・・・。
確かに、この部屋は衛生面が良くないな・・・だがな。
「ジョン殿。それでしたら、そこに箒に塵取りそれに、デッキブラシまであります。掃除をされたらいい。」
牢屋の中には、衛生面を考えて、掃除用具がしっかりと用意されている。
汚ければ、掃除をしればいい。
「そんなのは、使用人のする事です。」
拗ねたように言うジョン殿。
「あなた方に、使用人を用意することはしません。」
「私たちは公爵ですよ。それも、皇帝に世継ぎが射なければ、次の皇帝となる事が出来るクラウンという名誉る公爵家の者ですよ。」
・・・ホルンメーネ国でも、クラウンコッパーと名乗っていたのか?
名乗っていたら、殺されていたから無理だな。
ここだから言える事を、いけしゃあしゃあと言うのだな。
「ここでは、そんな名など通用しないって事ですね。」
絶句したルフィナ殿。
「ですが僕は、サーシャの弟です。」
「ああ、その事ですか・・・。」
私は、ジョン殿の言葉を鼻で笑ってしまった。
そして、ルフィナ殿を見る。
おお、やせ我慢しているように、目が一瞬泳いでいた。
「果たして、ジョン殿はサーシャの弟なのか?」
互いに一目惚れをして一緒になった、ステラとデューク殿。
ステラが亡くなった事で、子供の愛し方を一時忘れる程に憔悴しきっていた男。
それも、皇帝の命令で後妻を向かい入れなくてはならなかった。
そんな男が、後妻のルフィナ殿と体の関係を持つもだろうか?
「失礼な事をおっしゃらないで頂戴。正真正銘、ジョンはデューク・クラウンコッパーの息子です。」
ルフィナ殿が私に睨みつけるように伝えてきた。
「薬を盛って出来た子と言う訳か・・・・。」
「くすっ」
と、ドヤ顔で笑みを浮かべるルフィナ殿。
どうやら、薬を盛られての行為だったようだ。
ステラを奪っていったムカつく男ではあるが、哀れだな・・・。
「失礼いたします。」
と、看守が私に声をかけてきたので返事をすると、耳元でルフィナ殿び聞こえない様に話しだす。
ロゼリス殿の事を話しだす看守。
だから、耳元で話しているのだな。
・・・え?
・・・は?
・・・おいっ!
「は~~~~っ!?」
私は、怒鳴るように返事をする。
「失礼するよ。」
と、2人に言い、その場を去る。
向う先は、宮殿の東の塔。
宮殿の何棟かある塔は、王侯貴族の収監するための施設となっている、
東の塔には、ロゼリス殿が、医療チームの監視のもとで生活をしている。
私は、その塔へ向かいながら、看守に詳しい内容を聞く。
”かちゃり”
「ウィル、来たか・・・。」
と、ケルヴィン陛下がいた。
私をここに来させたのはケルヴィン陛下なんだが。
「ウィル。レディーのお部屋にノックなしで入ってくるのは、マナーが悪いぞ!」
言われてみたらそうだった。
「これは、申し訳ない。」
私は、ロゼリス殿の所へ向かい謝罪をする。
ロゼリス殿はあまり気にしていないようだ。
それよりも、戸惑いを隠せないでいるようだ。
「ここに来る際に、あらかたの話は聞いたのだが・・・。」
「偽っているとばかり思って・・・。」
困惑を隠しいれない様に言って来た。
「サーシャに早く伝えなくてはな。」
ケルヴィン陛下の提案に、私は頷く。