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再会の確認は、ほどほどに・・・

ブックマーク、いいね評価ありがとうございます。

 ”ドンドンドン ドンドンドン”

と、部屋の扉を強く叩く音がして、目を覚ます。

 「ヘンリー殿、サーシャ殿。起きてください!!」

 扉の向こう側で、ハワードさんが慌てるように言って来る。

 私はベッドから起き上がり、椅子の背に掛けていたバスローブを羽織り、扉に向かう。

 扉を開けようと思ったが、自分の姿がバスローブ一枚という恥ずかしい格好なので扉の取っ手を掴んだところでやめた。

 「どうなさったのですか?」

と、扉越しにハワードさんに声をかける。 

 「シスター、今すぐにヘンリー殿を起こしてください!!」

 私は、慌てているハワードさんを落ち着くように伝えてから、理由を聞く。

 「臙脂様が・・・凄い剣幕でこちらに向かっているのです!」

 ジジイ様に、コスモは瀕死の状態になったことを知られたら、それはものすごい剣幕でこちらに向かうのは確かだ。

顔の熱が、一気に冷たくなっていくのが自分でもわかった。

 「コスモの今の体調は、どうなのかしら?」

 私は、ハワードさんに聞いてみる。

 少しの間の沈黙・・・。

 ハワードさんは、コスモに聞いているのだろう。

 「矢を射られたところが、痛痒い程度で、だるさももう平気になっていると・・・。」

 「なら、ジジイ様をお迎えに言ってくれるようにコスモに言ってくれないかしら?」

 大きな頷きが扉の向こうから聞こえる。

 ハワードさんは納得したようだ。


 ”ゴゴゴゴゴーー―――”

と、ガスバーナーから勢いよく火が出ている音がする。

 「うあ・・・・。」

と、扉の向こう側で苦しむハワードさんの声がする。

 ”カチャッ”

 私は、扉を開けて、ハワードさんを見る。

 ハワードさんは頭を押さえていた。

 「ハワードさん、大丈夫ですか!?」

 私は、ハワードさんの方へ向かう。

 「なっ、なんて格好をしているのですか!?」

と、ハワードさんは顔を真っ赤にして言って来た。

 「そんな事を言っている場合ではないでしょう!!」

 私は、そう言い、大丈夫かと尋ねると、『なんとか・・・』と、答えてくれた。

 「臙脂様が、コスモとヘンリー殿に会いたいと、怒鳴っている。」

 ハワードさんが、自分の頭を押さえながら言ってきた。


 そう言えば、ヘンリー様から、過去にコスモがヘンリー様を乗せたままで、人間が入ってはいけないドラゴン専用の温泉に入ろうとして、ジジイ様に怒られて、ルベライト領にいるドラゴンと絆を結んでいる者の過半数の者が頭痛を訴える程のジジイの怒りの声がしたと・・・。

 まさに、それですか?

 「すぐに、ジジイ様にコスモを会わせましょう。」

 私は、すぐに部屋に戻り、ヘンリー様のいるベッドへ向かう。

 

 ぐっすりと眠っているヘンリー様を横目に、寝室の奥にあるドアを開ける。

 ”ギュ~ギュ~”

と、コスモが小さな悲鳴のような鳴き声で私に訴えてきた。

 「すみませんが手を貸してください!!」

と、私は目の前の階段を降りながら、大声を上げて助けを呼ぶ。

 すると、下の階のドアから数人のメイドが出てきた。

 「コスモを心配しているドラゴンが外にいて、今にも暴れそうなのよ。コスモに合わせれば落ち着くと思うから、扉を開けるのを手伝って欲しいの。」

 そう言うと、メイドたちは、コスモの目の前に立ちふさがる鉄製の扉の横にあるレバーをみんなで回し始めると、鉄製の扉が開く。

 ”ゴゴ・・・シーン”

 ガスバーナーの音が一瞬で泊まったのがわかった。

 ”ギュウ~”

と。コスモが鳴くと向こうからも”ギュギュ~”と、鳴き声がした。

 この場合・・・感動の再会っていうのかしら?

 コスモとジジイ様の再会を見ながら、果たして感動と付けていいのだろうかと考えてしまった。

 だって・・・頭痛を訴える方々が多少いますし・・・。

 火を噴いて威嚇していた精神崩壊の近い赤いドラゴンがいましたし・・・。

 ”ギューギューギュギュ”

と、ジジイ様が私の間の前に来て何かを訴えるように鳴いて来た。

 ・・・ジジイ様が何を訴えているのか分からないわ。

 私は周りを見るも、ハワードさんも、他のドラゴンと絆を結んでいる人がいないので分からない。

 私が困った顔をしながらジジイ様の頬を撫でる。

 ”ベロンッ”

 「きゃっ!」

 ジジイ様はいきなり私の肩を舐める。

 来ていたバスローブがずれで肩が露わになる。

 私はすぐに着崩れを戻し、バスローブがすれない様に抑える。

 ”ギュウ”

 鼻息をしながら鳴き、今度はバスローブを抑えている手を鼻で押し払われ、再びバスローブを開けさせる。

 「ジジイ様、やめて下さい・・・嫌っ!!」

 ”がばっ”

と、後ろから抱きしめられる。

 「エロジジイ・・・サーシャに何をするつもりだ?」

 「へ、ヘンリー様。」

 私を後ろから抱きしめたのはヘンリー様だった。

 やっと、起きたのですね。

 ”ギュギュギュ・・ギュウギュ”

 ジジイ様が、ヘンリー様に何かを言っている。

 「何が、安否をしっかり確認するために、サーシャの伴侶の紋章を見たかっただ。このエロジジイが!」

 なるほどね。

 私はジジイ様の私にした一連の行動に理解をした。

 「サーシャの肌を舐めていいのは、この俺だけだ。」

 「うわっ!」

と、ヘンリー様はいきなり私を抱き上げる。

 「そこで、コスモとの感動の再会をしていろ、後でたっぷりこき使ってやるからな。」

 そう言うと、私を抱き上げたまま、城の中に入り、階段を昇りだす。

 「ヘンリー様。どちらへ行かれるのですか?」

 「浴室に決まっているだろう。サーシャの体をしっかり洗って、消毒しないとな。」

 洗って・・・消毒?

 洗うは解るが、消毒付きですか?

 消毒液って何で出来てます?

 ・・・・聞くのが怖い。

 「ヘンリー様。自分の体は、自分で洗えます。」

 「遠慮は許さない。」

 いやいや、遠慮してください!

 「ヘンリー様。降ろしてください!」

 「浴室へ行ったらな。」

 やはり、無理なようです。

 ・・・一体いつになったら、ケルヴィン国王にお礼を言いに行けるのかしら?

 早くお礼を言って、ドラゴニアに帰らないと、マリーの出産に立ち会えないよ~!!

 

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