コアルト大陸が見えてきた・・・
暑さを感じる風が通り過ぎていた。
朝というか、昼近くに リンドル国を出た。
リンドル国を出て海の上を飛行する頃には、サーシャは眠りに就いていた。
「大陸が見えてきました。」
ハワード殿が、地平線の先に見えてきた大陸を指さした。
ここからでは、まだ小さく見えるのだが、この世界で一番大きな大陸のコアルト大陸である。
「あの大陸内の一つに、サーシャの故郷があるのですね。」
グレアム殿は、あからさまにこちらを見て言うも、肝心のサーシャは俺の腕の中でスヤスヤと寝ている。
その事を言うと、チェスター殿がそっぽを向く。
「昨夜は、遅くまで起きていたようだからな・・・。」
サーシャが可愛すぎて、一晩中愛でていた。
一晩かけても、愛で足りないのが事実ではあるがな。
俺は、腕の中で眠っているサーシャを見る。
サーシャの耳に飾られているピアスが、日差しに照り返され光っていた。
コスモスのピアス
受け取ってから、ずっと身に着けてくれている。
サーシャが好きだと、耳元でずっと囁いていたいと思いで、作らせたピアス。
サーシャ、あの頃よりも、もっと耳元で囁いていたいと、そう、想っている。
俺は、サーシャの片方のピアスに口づけをする。
ピクッと、サーシャが身動きをして、目が開く。
「ん・・ヘンリー様・・・。」
かすれた声で俺を呼ぶサーシャ。
喉が渇いたんだろうな。
俺は、持っている水筒を取り出すと、サーシャの顔がうっとりとする。
おいおい、日焼け対策のストールで、多少は隠れていても人前に見せたくない顔をするな・・・そんな顔は俺の前だけにしろよ。
俺は、そのまま水筒をサーシャに渡そうとしたが、その手を一瞬止める。
そして、俺は水筒の中の水を自分の口に含ませ、サーシャに口づけで飲ませる。
「んー・・んんーっ・・・んー・・」
サーシャは驚きながらも、喉を潤す。
「な、なんてことを・・するのですか・・・。」
顔を真っ赤にしながら訴えて来るサーシャ。
先ほどの顔よりも若干だが、人前に出せる顔になってくれた。
「潤いが欲しいと思ったからしたまでだが・・。」
俺の口づけも潤いに含まれているだろう。
「今は、水分だけにしてください!」
恥ずかしいと、言って来たサーシャだが、顔を赤くして訴えて来るサーシャは可愛いとしか言えない。
ここは、素直に抱きしめておこう。
「わかって・・くれない・・・のですね・・・。」
残念そうに言って来るサーシャだが、しっかりと俺の背中に手を回してきた。
説得力ない発言だな。
「あのさー、ドラゴンを何十頭と捕獲した国に入るんだから、もう少し緊張感を持ってくれないかな~。」
グレアム殿がイライラしながら言ってくる。
コアルト大陸が大きく見えて来た。




