表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

348/423

遠くに感じられる・・・

遅くなりました。

 「姉さま、ドラゴニアは、ハミッシュ陛下から、カティス王太子殿下に移行しつつあるわ。」

 水面下で、それを期待しているのだ・・・ハミッシュ陛下自身も。

 息子の成長が嬉しい父親の顔と言うのだろうか。

 「ハミッシュ陛下も、4大公爵家も、カティス王太子殿下が、国王陛下として君臨できる時期を待っているのよね。」

 私は、カーテン越しの姉さまにニッコリと微笑む。

 「王となる人が2人もいて、国が成り立つのかしら?」

 姉さまは、カティス様とヘンリー様の2人を指している事を伝えて来た。

 「そもそも姉さまは、何故、ヘンリー様を王にしたいのですか?」

 コスモと絆を結んだだけで、王にさせるのは、おかしいと言ったはずだし・・・。

 他にどのような理由があって、そこまで言うのかしら?

 「呆れた・・・サーシャはヘリオドール一族の者でしょう。王家に取って変わる存在にならなくては、いけないのではないの?」

 姉さまは、ヘリオドール一族をそのように思っているのか・・・違う気がするのだけどな。

 「もし、王が名君だったとしたら、こちらが逆にやられる。そうなったら、ヘリオドール家の威厳が損う事になるわ。」

 ヘリオドール家にとったら、そちらの方が怖いはずだ。

 「国に、ヘリオドールの威厳を知らしめ、国の政の流れをスムーズにする。それが、ヘリオドール一族の考えではないのかしら?」

 実際にウィリアム伯父様に聞いてみないと判らないけど・・・。

 一応、聞いてみないと判らない事を姉さまに伝えると、吐き捨てるように『うるさい』と、言われてしまった。


 「サーシャ。私が聞きたいのは・・・。」

 何をでしょか?

 私は、首をかしげながら、姉さまに問いかけた。

 「ルベライト公爵家の跡取りの嫁が、ここ数世代続けてメイドだったので、ヘンリー殿の嫁は、貴族の娘を娶るようにという遺言がされているわよねぇ・・・。」

 ゲームの公式設定の内容ですね。

 私が、サーシャとして生まれる前から知っている内容です。

 「それって、サーシャが貴族の娘だから、愛してくれてるのでしょう。それも、ヘリオドール一族の血が流れているのだから、尚更ではないの?」

 姉さまは、悪役令嬢のような振る舞いをするように、嫌みったらしく伝えてきた。


 地位や名誉の肩書を愛する・・・国を出る前の私に、向かられた男性たちの眼差し。

 だが男性たちが、次に見るのは、姉さまの胸。

 人によっては、姉さまの胸から目が離せなくなる男性もいたわね。


  地位や名誉のないサーシャ・カーネリアンとして生きていた時期、そんなに不自由せずに生活出来ていたわよね。

 前世の記憶が、多いに役に立っている事も、そうだけど・・・・。

 クラウンコッパー家に贈られてきていた貢物という資金源も、役に立っているのもあるけど・・・。

 

 「うん・・・・ん?・・・う~ん・・・。」

 「何、頷いているのよ。」

 考え込みだしてしまい、つい頷き発してしまった声に、姉さまはウザがり、訴えてきた。

 「当初、ドラゴニアを巡り、素敵な場所があったら、そこで一生を過ごす計画だった・・・。」

 計画通りと言えば、そうなんだけど・・・。

 クラウンコッパー公爵家の名に問題があるから、ゲームの攻略キャラを遠くから眺める程度で、静かに暮らそうとしていたのに・・・。

 もろに、関係を持ってしまったのよね。

 もし、聖ライト礼拝堂でハミッシュ陛下に会わなかったら、そのまま、ドラゴニアを巡る事になってたし・・・。

 まあ、ルベライト領の温泉には惹かれるから、ピンクアメジの町か、港町のピンクスピネ、もしくは、ピンクカルサの町の、どれかの町で家を買い、生活の拠点にしていたと思う。


 そして、その地に緑がない事で、海が瘦せている事を、領地の管理者であるリアルガー伯爵に訴えて、領地改革を進めると思うから、リアルガー伯爵家で、秘書みたいな仕事をしていたかもしれないわね。


 そこで、私がクラウンコッパー公爵家の娘とバレてしまったと、すると・・・私の連行される先は、王宮ではなく、ルベライト城だわ。

 そうなると、キャサリン様に出会わない。


 ・・・・ヘンリー様に、恋愛感情を抱く事が無くなる。


 一瞬で、血の気が引き、よろけて浴室のドアに寄りかかった。

 「姉さま。私は、ヘンリー様を好きになる為に・・・ヘンリー様を愛したいから、生まれてきたのかもしれません。」

 

 前世で、人の愛し方を知らない私が・・・愛し方のやり直しをするために・・・この世界に転生をした・・・させてくれた。

  

 ・・・そうあって欲しい。


 ヘンリー様に、今すぐ会いたいな。

 この感情が、現実のモノであることを伝えたい。

 同じ建物内にいるのに、凄く遠くに感じる。

 

 胸が・・・熱くて、切なくて、溢れだしそう・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ