それは、もう・・・いろいろです。
「それで、他に聞きたい事とは何だ?」
サーシャに何を聞かれても、驚かない程には、耐性はついた気がするな。
何せ、サーシャには修正が必要なようだ。
「そもそも・・・ですね。どうして、そこまでして媚薬が必要なのですか?」
・・・・。
「男性は、自信がないのですか?」
・・・・。
「自信がないから、媚薬で誤魔化そうしているのですか?」
・・・・俺に今すぐ耐性を、誤魔化しでもいいから欲しい。
何て、答えればいいのか判らない。
「ここまで、媚薬が流通させてしまったのは、男性に自信がないからではないでしょうか?」
サーシャの考えが、どっかにぶっ飛んでいる。
どう、修正をかければいいのか?
どんなに顔の変化がない俺でも、開いた口が塞がらないという表現は、素直に出来てしまっている。
そして、どうすることも出来ないでいる。
このまま、サーシャに喋らすのは危険だという事は分かる。
「サーシャ。まずは、媚薬という物が、人それぞれ考え方に違いがあると理解してくれ。」
サーシャのいう通りに、自信がないから使用する者もいるはずだし、だだ、快楽を求めて手を出す者もいるはずだ。
「一概に悪いとは言えないのだよ。」
「それは解るのですが・・・あまりにも女性が被害を被っているように思うのです。」
サーシャは、ドラゴンの大樹の周辺の町で、5軒も女性が媚薬漬けをされた事に対して、そう思ったのだな。
それに、サーシャ自身も、媚薬をかけれてた際に、すぐに学園に戻らず、言われるままにしてたら、媚薬漬けの被害を被っていた恐れもあった。
サーシャが、媚薬に対して嫌悪するのはわかるな。
「愛し合う者同士には、必要ないのかもしれないな。」
マンネリ化してしまったら、必要になるかもしれないが・・・今はいいか。
今、言うのは危険すぎる。
「ただ、好きでもない相手との行為は精神的に負担が多い。」
娼婦として生きて行かなくてはならない者には、誤魔化しの利かない快楽は、ストレスになるだろう。
媚薬を使えば、媚薬のせいだと言い訳でき、精神的ストレスも軽減されるだろう。
それにしても、媚薬とは、悲しい道具なのだな。
「サーシャ。これから先、サーシャに媚薬を使いたくないと思うのだが、それでいいか?」
俺は、マンネリ化しようが使いたくないと思ったので、サーシャに同意を求めるために聞いてみた。
「当たり前です。そもそも男性側も、相当負担があると思います・・・。2回も媚薬に侵された私の介抱・・・大変だったのではありませんか?」
すまないサーシャ。
俺の事を心配してくれるのは、うれしいのだが、大変だなんて思わないのだが・・・。
「俺しか、出来ない事だからな・・・介抱出来たことを誇りに思う。」
「な・・・なんてことを・・言うの・・・ですか?」
サーシャは困惑したようだ。
『ヘンリー様だから』とか『疲労している時にあたっていないから』『私で楽しんでませんか』と、言う小声が聞こえてきた。
「サーシャ。俺からもサーシャに聞きたいことがある。」
そう告げると、『何でしょうか』と、答えが返ってきた。
「俺は、サーシャでいいと思っているが・・・サーシャは、俺との体の相性をどう見ている?」
俺が言うと、ドアの向こう側は、静まりを感じる。
「サーシャ・・・聞こえているか?」
”トントン”
と、ドアを叩くと、向こうからドアをノックする音が聞こえる。
「か、からだ・・・体の相性・・・と、言われても、ヘンリー様しか、知りません・・・それに、ヘンリー様しか、知りたくなく・・・ヘンリー様が・・・いいので・・・相性と言われても・・・わかりません。」
戸惑いながら。答えるサーシャに、今すぐこのドアを開けて、相性を
しっかり刻み込みたい。
「ですが・・いつも、一杯一杯になって・・・吹っ飛んでしまうので・・・答えが・・・いつになるか・・・申し訳・・ございません。」
サーシャ、それって・・・。
「サーシャ。もういいだろう。開けてくれ。」
”ずずずずずす・・・”
と、物がすれる音がする。
”バンッ”
俺は、居ても立っても居られずドアを勢い良く開けた。
そして、フットベンチを元の位置の戻そうとするサーシャを後ろから抱きつく。
「サーシャ。相性をじっくり確認する。」
「ですから、確認しようにも、一杯一杯になるので出来ません!」
そのような返事を言っても、後の祭りだよな。
俺は、サーシャを持ち上げて、ベッドへと向かった。
サーシャがフットベンチを持って来たことで、ベットの足元に障害がないから、楽にベットに押し倒せるなと、思ったのは言うまでもない。
◇ ◇ ◇
「・・・と、いう事がありました。」
俺は、ため息をつく。
目の前にいる、国のトップは、腹を抱えて、笑っているからだ。
「あの、サーシャが・・・そんなこと・・・ククッ・・プッ、アハハハハ・・・・腹が・・・腹が痛いぞ!!」
「笑い過ぎです。医師を呼びますよ。」
腹が痛いと言うほどだからな。
全く、そこまで笑わなくてもいいだろう。
「すまない・・クッ・・・すなない・・アハハハ・・・。」
謝っていながら笑いますか?
笑いの止まらない陛下をどうすればいいのだ?
「サーシャは・・前世を含めて俺が初めての恋です。不安や、戸惑い、疑問もあるでしょう。」
俺は、愛する夫として答える義務がある。
それをしたまでだ。
だから、そんなに笑うなよ。
「本当に、すまない・・・ぷっ」
まだ、笑っているよ。
「だが、その結果が、別の部屋を用意する事になり、挙句にサーシャが熱を出して寝込むとはな・・・クククッ」