円卓会議のお部屋へ・・・
王宮に着くと、王宮の使用人に、大きな円卓のテーブルのある部屋に案内される。
一際豪華で、座面と背板に青い布が張られた椅子が2脚あるが、ハミッシュ陛下とカリスタ様の座る椅子だろな。
何となく円卓のテーブル席に座りにくく、壁に設置されたシンプルな椅子に座る。
「サーシャ様。その席は、私のような者が、座る席だと思われます。」
ラスキンさんが突っ込むように言われてしまった。
円卓のテーブルには、ハミッシュ陛下、カリスタ様の座る椅子の他に、椅子置かれているのだが、座面と背板の布地の色で、誰が座るのか解ってしまう。
あからさまに、2脚ある赤い布地の椅子には、ヘンリー様と私が座るように置かれているよね・・・。
他には、緑色布地の椅子が2脚に、黒い布地の椅子が2脚、白い布地の椅子が3脚セットされている。
「遅い、ライナス!」
と、セラ様の声がすると、ラスキンさんは、困った顔でセラ様の方へと行く。
「ライナスは、誰よりも早く王宮について、手伝いをする立場ではないの?」
「そう言っても、夏休みに向けて、学園に待機させているドラゴンは全て出払っていて、すぐには来られなかったんだよ・・・。」
そうか、夏休み中は、学園には、ほぼ人がいなくなるから、学園に待機している人たちは、観光地の手伝いに行くはずよね。
「自分の足があるでしょう・・・走ってでも、早く来なさい!」
「姉上、それは横暴です。」
確かに横暴な言葉だな。
でも、ライナス様は困った顔をしているモノの、嬉しそうな感じをかもし出していた。
「セラ、それぐらいにしてあげなよ。」
セシル様が、セラ様を落ち着かせ、黒い布地の椅子に座らせ、セシル様もその隣の黒い布地の椅子に座った。
「サーシャも、自分の座る場所が、解っているのだろう。」
と、ヘンリー様は私をシンプルな椅子から移動するように言われる。
「どのような話がされるのでしょうか・・・?」
「さあな・・・だが、話合いの場を設けるように、陛下に申し上げたのは、ダンビュライト公爵家だな。」
赤い布地の椅子に座ったヘンリー様が言った。
私は、ヘンリー様の左側の赤い布地の椅子に座りながら、どうしてわかるのかを聞く。
「陛下が座る椅子の配置で分かる。」
私は、円卓のテーブルに並べられた椅子の配置を見る。
陛下と王妃の青い布地の椅子があり、その右側は、赤い布地の椅子でルベライト公爵であるヘンリー様と私の椅子。
その隣が、緑色の布地の椅子で、クローライト公爵家が座る椅子。
そして、その隣が、黒い布地の椅子でキンバーライト公爵家の椅子。
最後に、キンバーライトの隣にあり、青い王家の席に挟まれた椅子が白い布地で、ダンビュライト公爵家の椅子となっている。
そのような配置になっているが・・・。
「王家の椅子が2つある場合は、向かって右側が陛下の席で、左側は王妃の席なのは分かるよね。」
セシル様が、困っている私を見かねて、話しかけてくれた。
「はい、それは分かります。」
「では、王妃側でない、陛下の隣に座るのは、この配置だとダンビュライト公爵家になる。」
そうか、陛下の隣で、議題を進行する役割を担うという事は、その者が、今回の議題を上げた者となる。
つまり、ダンビュライト公爵家となるのね。
「それで、お題は何か聞いていますか?」
私の一言に、セシル様が、困惑気味に微笑む。
「それが判らないから、今回の会に呼ばれた弟に、情報を集めて貰おうと、早く王宮へ行くように言ったのにー!!」
セラ様が、弟であるラスキンさんを睨みつけた。
ラスキンさんは、セラ様の視線を逸らすように、そっぽを向けた。
「噂しているであろう、話題の僕が来たよ~」
と、ニッコリ笑顔でフレディ様が言い、クリスティーナ様とカイル様がその後ろから入ってくる。
そして、その後ろからは、資料が積まれたカートを引く使用人が入ってくる。
それも5人も、5台のカートには、同じような書類や本が積まれていて、王家公爵家の後ろに、それぞれ一台置かれた。
「資料を見ていいでしょうか?」
私が、ルベライト公爵家の後ろに置かれたカートを持って来た使用人に言うと、『どうぞ』と返事をしてくれた。
カートに並べられた資料や本。
「・・・ホルンメーネの資料が多いな。」
ヘンリー様が資料の内容を見て言う。
あからさまにホルンメーネに関する資料が多い。
「まずは、どれを見ればいいんだろう。」
困っている私に、カートを引いて来た使用人が、1センチほどの厚みのある書類の束を渡してくれた。
「ありがとう。」
私はお礼を言い、席についてその資料を見る。
資料には、ホルンメーネ国の王家の事が書かれていた。
「未だに、4人の王子の中から、王太子を選べていないのか?」
「選べていないから、王太子となろうと、ドラゴニアに攻撃を仕掛けてくるのです。」
ライ様の一言に、瞬時にセラ様が答えてくれた。
「サーシャ、一端その資料を貸して欲しい。」
見ている最中なんだけど・・・仕方ないわね。
私は、見ている資料をヘンリー様に渡した。
”パラパラパラ”
と、次々を紙をめくる音がして、すぐに渡した資料を返してくれた。
・・・そうだった。
ヘンリー様は、神業的な速読が出来るんだった。
「ルベライトの屋敷からメイドのフィオナを呼んでくれないか?」
ヘンリー様は、私に資料を渡してくれた使用人に伝えた。
フィオナを呼ぶって・・・前世にに関わる何かが記載されていたとか?
私は、不安になり、ヘンリー様の袖を掴む。
「心配しなくても大丈夫だ。」
そのように言われましても、説得力ないのですが・・・。
不安を拭えず俯く。
”ぎゅっ”
と、ヘンリー様は、私を抱きしめる。
えっと、ですね・・・そんな事をしても、不安は拭えないどころか、もっと深刻な事態になるわよ。
「ヘンリー様。恥ずかしいから、離れて!」
私は、頬に熱を感じながら言う。
「仲睦まじくて、微笑ましく・・・とても、嬉しいです。」
と、フィオナが部屋に入って来た。
「フィオナも王宮に呼び出されていたのか。」
「はい、ピアーズ様が屋敷まで迎えに来てくださいました。」
ヘンリー様は、部屋に入って来たピアーズさんにお礼をする。
「大父様。」
今度は、マティアス様が部屋に入ってきたようだ。
「ヘンリー殿。サーシャが困惑して、のぼせてますから、放してあげてください。」
マティアス様。ご察しして頂きありがとうございます。
只今、私は・・・ゆでタコ状態です。
「まったく、サーシャは・・・こんな事くらいで、こんなになるたは・・・。」
困った口調でヘンリー様は言っていますが、困っているのは、この私です。
そこのところ、間違えないでくださいね。
よろけた感じになって座っている椅子に、正しく座りなおす。
「陛下並びに、王妃殿下が起こしになられます。」
と、出入り口にいる使用人の一言で、全員が席を立つ。
「待たせたね。」
ハミッシュ陛下がカリスタ様と一緒に入って来て、2人は席に着く。
「皆、座ってくれ。」
ハミッシュ陛下の言葉で、皆が席に座る。
「では、報告をするね。」
と、フレディ様の一声で会議が始まる。




