起きた後は・・・
遅くなりました。
『サーシャ。共に手を取り合い、嬉しい時も悲しい時も、一緒に生きてい行こう。』
ヘンリー様が言ってくれた優しい言葉が、心に温かく残っている・・・。
目が覚めると、そこにはヘンリー様がいなかった。
時計を見ると、短い針は3の文字を指していた。
朝の3時ではないのは確実なので、15時か・・・。
普通なら、お風呂に行くべきは分かる。
お風呂入るなら、先に水分摂取すべき事も・・・。
でもね・・・お腹が空いてます!
本当に、空いているのです。
だって、朝食、昼食を、抜いています。
喉はカラカラなので、水分はいつも通りに摂取するけど・・・。
まずは、バスローブを着て、辺りを見回し飲み物を探す。
部屋の隅に、カートが置かれていて、飲み物と昼食と思われるグラタンとサラダが置かれていた。
何てありがたい、おもてなし。
早速頂き、お腹を膨らませてから、お風呂へ向かう。
体を洗うために、シャワーヘッドを持つ。
「サーシャ。お邪魔するわね。」
と、お風呂の脱衣所の方から、いるはずもない女性の声がして、振り返る。
「母さま!!」
そこにいたのは、体にタオルを巻いたキャサリン様だった。
「マティアスと一緒に、ルベライトに来てしまったわ!」
キャサリン様は微笑みながら、こちらに来る。
そして、マティアス様は、ヘンリー様の部屋のお風呂に入っていると伝えてくれた。
「ご心配をおかけして、申し訳ありません!!」
私は、その場で頭を下げる。
「ヘンリー殿が、何とかしてくれた様ね・・・。」
顔を上げてキャサリン様を見る。
私は、熱があったのに、ドラゴンの大樹に向かったことを謝っているのに、どういう意味なのだ?
「あらあら、こんな上の方までキスマークを付けられて・・・服で隠せるかしら?」
と、キャサリン様は、頬を緩ませながら私の首に触れる。
「風邪をひいていたのに、ドラゴンの大樹に向かったことを怒っていないのですか?」
私は、キャサリン様の反応にキョトンとしながら聞く。
「怒っていたわよ。でも、ライナスから、サーシャがロゼリスさんと再会すると聞いて、そちらの方を心配をしたわよ。」
キャサリン様の言葉に、私は、姉さまの言葉を思い出し、少し翳りを見せる。
キャサリン様はすぐに気づいたようで、私の頭を撫で、椅子に座らせた。
「サーシャの背中を洗うわね。」
と、言い、蛇口のそばの台からダオルを取り出す。
「私が、母さまの背中を洗いますよ。」
「なら、後で頼むわね。でも今はサーシャの背中を洗わせて。」
そのように言われてしまい、キャサリン様に背を向けるしかなくなってしまった。
キャサリン様に背を向けて座る。
その後ろでは、キャサリン様が石鹸の付けたタオルを擦り合わせ、泡を出している。
「ロゼリスさんに何か言われたのね。」
キャサリン様の言葉に、俯き頷いた。
泡立ったタオルが、私の背中を擦り始める。
私は、背中を洗われながら、私が女として生まれたせいで、実の母を死なせてしまった事を伝えた。
「ヘンリー様が、嬉しい時も悲しい時も、一緒に生きてい行こうと、おっしゃってくれたので・・・。」
背中洗っていたタオルが、私の目の前に差し出される。
「前は自分で洗ってね。」
と、キャサリン様は言ったので、今度は私がキャサリン様の背中を洗おうと新しいタオルに手を伸ばそうとすると止められて、先に体を洗ってから、最後に背中を洗って欲しいとお願いされた。