真相は・・・
「ロゼリス様が昨夜、サーシャ様が女だったから、ステラ様がヘリオドール家に殺されたと、おっしゃられたと、聞いたのですが・・・。」
いつ聞いたか、マリーに質問すると、ここに来る前の俺が、父上に報告したのをモーリスが聞いていて、その真相を聞きにマリーに伝えてきたと
返ってきた。
「それは、絶対ありえません。」
きっぱり、マリーが答えた。
「ナーガ王国には、25歳、24歳。それに17歳の、第2、第3、第4王子がいますもの。」
何だと?
それって・・・。
「その王子を婿養子として向かい入れれば、クラウンコッパー公爵家の権力が格段上がりますよね。」
マリーは、ロゼリス殿に、嫌みふんだんに取り込んだ笑顔を見せる。
「場合によっては、サーシャ様がイリス帝国を乗っ取り、女帝になられたかもしれません。」
あり得るというか、安易に想像が出来てしまう。イリス帝国女帝サーシャの姿が・・・いや、絶対にダメだろう。
サーシャは俺の妻だ。
妻以外は、あり得ない!
「その計画を拒絶したのはステラ様です。どうして何でしょうね・・・。」
「マリーは、真相を知っているのか?」
”ダーーーンッ”
と、いきなり鉄格子を叩くロゼリス殿。
「そんなの、聞きたくないわ!!出て行って!!」
ロゼリス殿は、いきなり怒鳴るように言いだした。
「マリー、真相を教えてくれ!」
「聞きたくない!!出て行ってと、言っているでしょう!!立ち去りなさい!!」
ロゼリス殿が、発狂するように言葉を言う。
何か言おうとすると、大声を上げて言葉を遮って来た。
俺とマリーは、ロゼリス殿から離れ、牢屋の部屋から出て行った。
塔の階段を昇りながら俺は、マリーに真相を再び聞いた。
「サーシャ様と、ナーガ王国の王子との婚約話は、水面下で進められていました。ですが・・表に出なかった。どうしてかわかりますか?」
「その前に、ステラ殿が亡くなったからか?」
マリーは、首を振って否定をする。
「まず、王子との話を進めるには、サーシャ様の身の安全が、確実なモノにしないとならない。」
サーシャが殺されたら、それでお終いだ。
「サーシャを守るために、その話を蹴ったのか?」
「それもありますね。」
他にも、あるような物言いで返してきたな・・・。
「他にもあるようだな。」
マリーは、頷いた。
「こちらが本題と言うべき内容でしょうね。」
「何故、真相をサーシャに伝えなかったのだ?」
マリーが元々伝えていれば、サーシャがあんなに悲しむことが無かったはずなのに・・・。
「ロゼリス様の見解も、真実も、どちらにしても、サーシャ様は悲しむ結果となります。ですから、サーシャ様から真相を聞いてこない限り言いません。」
・・・どちらにしても、悲しい内容なら、サーシャ本人が真相を知りたいと言わない限り、言わないとなるな。
「だが、俺には、伝えて欲しいのだが・・。」
「婚約して1年も経っていない溺愛年数のひよっこのヘンリー様に、伝えると思いますか。せいぜい私がサーシャ様にお仕えしている15年経ってから、おっしゃってくれませんかね~。」
15年と言っても、一時期サーシャの専属から離れていた時期が、あるような気がするのだが・・・。
その事を言うと、145年の生きている者が、細かい年数を気にするとは嘆かわしいと、言われてしまった。
単に、出会ってから15年ではないのかと、言っていたのだが・・・。
まあ、いいか。
サーシャの事をここまで慕っている者なのだからな。