再会は衝撃的に・・・
申し訳ありません、投稿が遅くなりました。
ヘンリー様に連れられ、隠し通路を通り、階段を下へと降りて行く。
どこへ向かっているのだろうか?
今日のヘンリー様は、学園に迎えに来た時から、少しおかしい。
迎えに来て早々、いきなりキスするし・・・。
心配かけてしまったキャサリン様に会いに行きたいと言っても、無理やりルベライト城に連れて行かれるし・・・。
ルベライト城に着いて『すぐに温泉で温まれ』と、言われ温まってると・・・温められてもしまって・・・。
もしくは、これが日常になっていくのかな?
ルベライト城に行く際、会話が少なかったのよね。
倦怠期に入ったのかしら・・・それはそれで、おかしいしか、キスもそれ以上の事も、やらかしていますし・・・。
ヘンリー様、本当にどうしてしまったのかしら?
「サーシャ。着いた。」
着いた場所は、薔薇の彫り物がされた扉の前だった。
ヘンリー様はその扉を開けると、私の手をとり部屋の中へと入る。
「・・・サーシャ。」
部屋の中から私の名を呼ぶ聞き覚えのある声。
その声に私は、驚きと恐怖で目を丸くする。
そこには、毛先のみ癖があるオレンジに近い金髪のストレートに青い目。
そして何より特徴と言うべき、大きい胸の女性がいた。
「・・・ね、姉さまっ!?」
私は、牢屋に入っているその人を、声を震えながら呼んだ。
姉さまが入っている牢屋は、大きなベッドにタンス、ソファーにテーブルまである、牢屋という柵が無ければ、普通の部屋と変わらない部屋で、奥にも部屋があり、風呂と洗面所が設置されているのだろうと、想像がつく。
私に、ヘンリー様の子を無理やり作らせる部屋として、ヴァネッサ様が造らせた部屋のようだ。
「随分、ドラゴニア王国で幸せそうに暮らしているようね。クラウンコッパー公爵家の娘でありながら。」
嫌みのこもっている事が、ありありな言葉を私に伝えてきた。
「おかげ様で、幸せを手に入れる事が出来ました。」
私は、繋がれたヘンリー様の手に少し力を入れ、ヘンリー様と見つめ合う。
「サーシャが、人並みの幸せを掴む権利なんかないのが解らないの?」
「それは、どういう意味だ!」
ヘンリー様が、強い口調で言う。
「サーシャは、道具のように扱って当然の人間なのよ。だって、サーシャが男として生まれていたら、ステラお母さまが死なずに済んだんだから!!ステラお母さまを返してよ!!」
姉さまの衝撃の言葉に、反論する言葉が出てこなかった。
その通りだと、思ってしまったからだ。
そして・・・。
私は、繋いでいたヘンリー様の手を離し、扉の方へ向かい部屋を出て、階段を昇り始める。
「サーシャ。どうしたんだ!?」
と、ヘンリー様は私を追いかけて来る。
私の肩を取り、止めさせる。
「ヘンリー様。離してください・・・。」
”ペシッ”
と、私はヘンリー様の手を払いのけ、再び階段を昇り始める。
「サーシャ!!」
ヘンリー様は、私の背中から抱きしめて、進行を止める。
「離してください。もう、私に・・・構わないで・・・。」
「そんな事が出来るか!」
ヘンリー様が怒鳴るように言い、私も向きを返させて、私の背を壁に付ける。
”ビリッ”
と、私の服を破き、胸元を露わにする。
「サーシャには、切っても切り離せない絆があるだろう!!」
「嫌だ!!もう・・・無理!!・・・別の人に、子を―――っ!」
会話が終わっていないのに、ヘンリー様にキスをされる。
口の中にヘンリー様の舌が絡んでくる。
ヘンリー様の熱が伝わってくる。
愛おしくて仕方がない温もりに、痛い程の切なさが襲ってくる。
「・・・サーシャ。」
唇が離れ、ヘンリー様が私を呼ぶ。
私は、視線が定まらないまま、首を左右に振る。
もう駄目だ。
もう無理。
もう・・・どうしたらいいのか分わからない。
姉さまのいう通り、私が男として生まれていたら、母さまを死なせずに済んだのかもしれない。
父さまの金色の瞳という特殊な地位と、母さまのヘリ―ドール侯爵のナーガ国王の力も握る権力のある家の者との間に生まれた子が、男だったら、グアノ派とサルファー派との均衡を取れたのかもしれない。
でも、私は女。
堂々と跡取りと名乗れない。
別の家から婿養子を入れたとしても、均衡を保てるまでの権力が備わるとも思えないし、姉さまを差し置いて、跡取りに成れるわけがない。
そして・・・うすうす気づいていた。
母さまを殺したのは、ヘリオドール家の刺客ではないかと・・・。
国王の力も握る権力を持つヘリ―ドール家として、イリス帝国を権力を手に入れられない事が、無能と見なされ殺された。
もし、私が男で生まれていたら、その権力を握る事が出来たはずだ。
つまり・・・。
母さまを殺したのは私。
父さまも殺すことになったのは私。
イリス帝国の人々を革命に追いやったのは私。
革命で国民が死なせる事態に追いやったのは私。
・・・・生まれ変わっても私は、人を死なせる象徴。
兄さんと祖母さんを死なせた象徴。
もう・・・無理だ。
「サーシャ。前世を含めて・・・俺と結ばれるためにサーシャとして生まれてきてくれたと俺は思っている。サーシャじゃなければ、こんなに愛おしいとは想わない!!サーシャがいいんだ!!」
ヘンリー様は、私を強く抱きしめる。
「サーシャ・・・俺の為に、生まれて来てくれてありがとう。」
”ツーーーーー”
と、私の目がら涙が止めどなく流れて来る。
「ヘンリー様・・・ヘンリー様・・・・。」
私は、何度もヘンリー様の名を呼ぶ。
ヘンリー様は、そのたびに返事をしてくれた。