やはり、熱が出てしまった。
「あなた。ルベライト城のメイドかしら?」
ルベライト城の裏門から出て来る女性たちに、声をかけるフードを被った女性。
「あなたたちが、知っておくべき情報があるわ。」
◇ ◇ ◇
「やはり、熱が出てしまったようね。」
キャサリン殿が、眠っているサーシャを心配そうに見ている。
「大母様、サーシャが熱を出したのは、トマトジュースをかけられただけではない気がしますが・・・。」
ライナス殿が、俺の方を横目で見ながら言う。
まあ、俺も関わっているよな。
生徒の前で、大々的にキスしたしな・・・。
サーシャなら恥ずかしさで、熱あがるはずだ。
だけど、トマトジュースで熱が上がるよりも、俺で熱が上がる行為に嬉しいと感じてしまってる。
・・・・にやける。
と、言うが。今の俺・・その分類に入っていると思う。
誰も気づいていないがな。
「まあ、微熱程度だから、すぐに良くなるわ。いろんな方から氷を提供して貰いましたから大丈夫でしょう。」
コスモの他にも、ユピテル、フォボスにオルクス。
アマルテアも、小粒ながら必死に出していた。
皆、サーシャを思ってのことだろう。
”ガッ”
と、いきなりサーシャが、いきなり目を開ける。
「リオンが!!リオンが!!」
サーシャは、飛び起きて、訴えて来る。
「サーシャ、落ち着きなさい。リオンがどうしたの?」
キャサリン殿は、サーシャの肩を持ち、落ち着かせようとする。
「リオンが・・・危険を訴えて・・・大樹が、ドラゴンの大樹が危ない!!」
サーシャは動揺しながらも伝えてくれた。
「陛下。ドラゴンの大樹の周辺の警備は万全だよね。」
フレディが、陛下に聞いて来る。
「もちろんだ。」
「なら、激励をしに行けばいいかな。僕たちも含めて・・・。」
フレディの言葉に、一同が止まる。
サーシャの部屋に集まっているのは、王家と公爵家の者たちだ。
王家代表のハミッシュ陛下。
ダンビュライト公爵のフレディ。
クローライト公爵家から、元公爵マティアス殿。
キンバーライト公爵家から、次期公爵セシル殿。
そして、ルベライト公爵から、次期公爵となる俺。
ドラゴンの大樹を守護する一族が一同に集まっている。
「サーシャがたまたま悪夢を見たとしても、せっかく集まったんだし、この世界でドラゴンの大樹は、もう、この国の一本しかない。」
ユニコーンの国の人たちや、いろんな事情でドラゴンの大樹は、ドラゴニアの一本しかない。
「ユニコーン狂からすれば、最後の一本で、常に狙われていると言っても過言ではないよね。」
「行ってみる価値はありそうだね。」
と、ハミッシュ陛下が言うと、皆が立ち上がる。
「私も行きます。」
サーシャがしっかりした言葉で言う。
「何を言っているんだ。熱があるのだから、ここで休んでいろ。」
全く、風邪をこじらせたら大変だろう。
俺を困らせないでくれ。
「・・・俺も行きたい・・と、言いたいですが、学生ですので、ここに残った方がいいですね。」
ライナス殿が言い。サーシャを看ていると言ってくれた。
「キャサリンもサーシャを看てくれるか?」
「もちろんよ、あなた。リオンのこと・・・お願いします。」
マティアス殿は、キャサリン殿をサーシャの元に置いておくようだ。
リオンに会いたいだろうが、サーシャを看てくれてありがたい。
こうして、ハミッシュ陛下、フレディとクリスティーナ殿、セシル殿にセラ殿と、マティアス殿と俺がドラゴンの大樹の所へ行く事になった。
学園から、ユピテルとオルクス、フォボスとセドナが飛び立ち、俺の騎乗しているコスモが飛びたった。