とうとう知れ渡ってしまった
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”ビラビラビラ”
風に乗って、大量のビラが舞い上がった。
――――――――――――――――――――
サーシャ・トラバイトは、
実は、クラウンコッパー公爵家の娘で、
サーシャ・クラウンコッパーが、
本当の名前。
クラウンコッパー公爵家は、
聖女リオンを殺した一族のはず。
そんな者が、ドラゴニアにいるのだ。
――――――――――――――――――――
ビラには、そう書かれている。
そのようなビラが、聖ドラゴニア学園の敷地に舞い落ちた。
◇ ◇ ◇
今日の朝食は、何にしようかな・・・。
まずは、ご飯とパンのどちらにしようから・・・だよね。
うん・・・パンかな?
サンドイッチがいいかもしれない。
それなら、レタスをたっぷり使って、ジューシーな鶏肉を挟んだ物がいいな~。
鶏肉じゃなくても、ハムでもいいかも・・・ハムならスライスチーズが挟んでいたらうれしいかな。
パンだと飲み物は、牛乳になるから、温かいスープがあったらいいよな~。
ポトフがあったら幸せだけど、時期が違うからな~。
スープは、何があるんだろう・・・。
私は、ルンルン気分で食堂へと入る。
”ガサッ”
と、私が食堂に入ってくると同時に、食堂にいた人たちから白い眼を向けられる。
な、何が起きたの?
「聖女殺し」
と、聞こえてきた。
とうとう来たかと思ったが、その前に・・・。
「殺人事件があったのですか?」
私はケロッとして聞いてみた。
「あなた何を言っているのですか。自分の胸に手を乗せ聞いてみたらいかがですの?」
私と同じ紫の瞳をしたラヴィニアさんが、見かねて感を満載に言って来た。
まあ・・・ラヴィニアさんの言う通りにしてみますか。
「人が死ぬという事でしたら、故郷の内戦で、たくさんの人が亡くなっていると、思うのですが・・・その中に聖女って・・・。」
内戦というか・・・革命で戦う聖女で、思いつくのは、前世のジャンヌ・ダルクよね。
どう考えても、この世界での事ではないので、この世界の人たちは、知りえない事。
「聖女リオンよ!!」
と、ラヴィニアさんの取り巻きのエメラさんが言うと、食堂にいる人たちから『そうだ、そうだ』と、いう声が聞こえた。
「聖女リオンとは、リオン・トラバイトの事ですか?」
私は、トラバイトの姓の部分を声を大にして言う。
「そうに決まっているでしょ!」
「では、私がサーシャ・トラバイトとして入学できたのはどうしてでしょうか?」
誰も、答えない。
「聖女リオンの実母であるキャサリン様が、私の後見人なのはどうしてでしょうか?」
誰も、答えない。
「キャサリン様の、来孫・・であるライナス様と、仲良くして貰っているのは、どうしてでしょうか?」
誰も、答えない。
「それを答えられないのに、人殺しと言われるとは困ったモノですね。」
私は、訴えるように言う。
「サーシャさん。いいえ、サーシャ。あなたはクラウンコッパー公爵家の令嬢でしょう!!」
ラヴィニアさんが質問をしてきた。
「ラヴィニアさん。同じことを再び繰り返し話さないとならないので、その質問やめて貰えませんか。その答えの情報を得ているのでしょう。」
私は、真剣というか、とげのある口調で言った。
再び、同じことを言うのは、面倒で厄介だ。
「やはり、クラウンコッパーの娘じゃない!!」
取り巻きニーナが、面倒な発言を発した。
厄介な取り巻きだな・・・。
長丁場間違えナシに、大いにため息をついた。
「ですから・・・私がトラバイトの姓を名乗れる事、私の後見人がキャサリン様だという事、ライナス・クローライトと仲良くして頂いている事の説明をしてください。」
ああ、面倒くさい・・・早く朝食を食べたい。
「うるさいわねぇ・・・あなたに発言権なんてないわよ。」
取り巻きダリアさんの声が、後ろから聞こえた。
次の瞬間、首根っこを後ろから引っ張られ、体勢を崩され床にしりもちをつかされた。
”バシャー”
と、頭から液体を浴びせられる。
「いい気味だわ・・・クラウンコッパーの娘らしく、赤く染まって・・・。」
浴びせられたのはトマトジュース。
ダリアさんの手には、空になったガラスのピッチャーが握られていた。
『ざまぁ・・・ですわ。ホホホホホッ』
『ホントだぜ・・はっ』
『嫌ですねえ・・ふふふふっ』
『むかつくぜ・・・ったく・・・。』
と、いう言葉が耳に入ってくる。
「・・・・・。」
「サーシャ大丈夫か!?」
と、ライ様が駆け付けてくれた。
「おい、サーシャ。怪我は・・大丈夫なのか!?」
私は、ゆっくりとライ様の方に顔を向ける。
「大丈夫・・では・・ありません。トマトジュースが――――っ!!!!!」
一気に自分の頭に血が上り沸騰した。




