交渉上手なのか?
「先ほど挙げた、学校の購買部を全てシナバー商会と契約する契約書です。」
なんて物を提供しているんだ。
100%学校が建つのが、裁縫学校だけな中で、他の学校の購買部まで入れて来るのか・・・。
裁縫学校だけなら小さいモノだが、他の学校も入れるなら巨大な契約になる。
ラスキンさんはどう出るんだ?
私は、ラスキンさんの顔を見る。
”ダンッ”
と、書類をテーブルに叩きつける。
ライ様と私は驚き、戸惑いを見せる。
「フフフフフッ・・・これはいい。実に楽しい。」
ラスキンさんは、自分の服のポケットから万年筆を出しサインをする。
「面白い・・・実に面白い交渉です。これからが楽しみでならない。フフフフフッ」
ラスキンさんは笑いが止まらない笑顔でいた。
「きっちり、私たちが提供をしなければ、次の学校が建たないなんて・・・なんて、商売上手な内容だ。ライナス様は商売の才能がありますよ。安心して私と姉に学ばれてください。」
「ありがとうございます。」
どうやら、交渉は成立したようだ。
「それで、サーシャ様も私と交渉をしたいのでしょう。」
ラスキンさんは、満面の笑みで私に話しかけた。
「内容が小さすぎて、驚かれますが、教えて欲しい事があります。」
ライ様の内容からしたら、小さすぎて鼻で笑われ、無かった事にされそうな内容だが、ご機嫌な時に聞いた方が、いいモノを提供してくれるかもしれない。
「提供するモノは『マシュマロ』という、デザートレシピ。」
案の定、マシュマロとはどのような物かと聞いて来たので、白くて弾力のある砂糖菓子だと伝えた。
「わかりました。では、何を教えて欲しいのですか?」
私もテーブルの上に資料を置く。
「シナバー商会以外の商会名が書かれています。中には私の知っている商会もありますが、その・・・気を悪くされると思いますが、それぞれ詳しく教えて欲しいのです。」
ライバル商会の事を教えてくれとは、せっかく機嫌がいいのに、悪くする内容だな。
他に、提供できるの考えないと・・・何があるかな?
「どうして、知りたいのですか?」
「姉を探す手がかりだからです。」
私は、姉さまには協力者がいる可能性がある事。
もし、協力者がいれば、姉さまの性格からして商人が協力者という事。
姉さまは、ドラゴニアに来る前は、ホルンメーネにいた。なので、ホルンメーネに関りがある商会をあたるべき事を伝えた。
「どうして、ここに挙げられた商会がホルンメーネと関わりあると思うのですか?」
ラスキンさんの質問に私は、王立ドラゴニア図書館のパッチワークキルトの本の事を挙げる。
「パッチワークキルトは、ホルンメーネの技術です。その資料となる本を取り寄せられた商会ですから、関りがあると見ています。」
私が答えると、ラスキンさんは、満面の笑みを見せる。
「サーシャ様も実に愉快な方だ。」
合格点を貰えたのでしょうか・・・。
「お二人は今、ノートとペンはお持ちですか?」
私は、持っている鞄からノートとペンを取り出す。
ライ様も、鞄からノートをペンを出してきた。
「素晴らしい。」
ラスキンさんは、ライ様と私がノートとペンの準備が出来るまで待ってくれた。
「では、ここに書かれている商会について話しましょう。」




