商売の裏事情
”ゴクッゴクッゴクッゴクッ”
水差しから直接水を飲む。
喉が渇いたのだ、口元から水がこぼれても関係ない。
3分の1を残し、水差しを置く。
「はあ・・は・・・はあ・・・・。」
息が荒げている。
それも、これも、全て昨日の図書館での出来事のせいだ。
夕方ごろ、あの女が・・・。
サーシャ・クラウンコッパーが、図書館に男を連れて来て、キスをしていた。
・・・・・むかつく。
絵になるような・・・あんなキスをしやがって・・・。
何よりサーシャが女をしていた。
あの男が、ヘンリー・ルベライトだ。
屋上に金色のドラゴンがいると、図書館にいる奴らが騒いでいたからな。
間違えない。
本当に・・・むかついてならない。
俺は、部屋の戸棚から瓶を取り出す。
「ウィニー入るぞって・・・甘っ・・・この部屋、ファーテン臭が充満しているぞ!!」
黒髪に一部金色のメッシュを入れた男性が、部屋に入ってくる。
「それがどうしたアルベルク。」
「うわっ、機嫌悪っ!今日、月曜日だけど、学園前には待機しないの?」
アルベルクが質問をしてくる。
「行ったところで、空からの登校なんだから、会えるわけないだろう。」
サーシャ・クランコッパーは、今日もドラゴンに乗って登校だろう。
・・・高値の花をしやがって。
「手に入れた方が得策なのに、諦めるの?」
「そんな訳ないだろう。」
俺は頭を掻く。
「馬車と、荷馬車を用意しろ。夜になったらここを出るぞ!」
ここにいても進展はなさそうなら、次の手を考えるしかないだろ。
「ったく・・・。」
俺は、瓶の液体を水差しに入れる。
「うわっ、それってファーテンの液じゃん。」
「うるさい。」
そう言い、香炉の台に、ファーテンの涙を継ぎ足した。
「・・・・。」
アルベルクの顔が引きつっているのが解る。
だが、ムカムカが治まらないにのだ。
「どうしたんだ・・・夜にはここを出るんだぞ。準備をしに行ったらどうだ?」
そう言うと、アルベルクは部屋を出て行った。
そして、俺は、奥の部屋へを水差しを持って行く。
◇ ◇ ◇
月曜日の朝、登校してすぐに、一石二鳥以上へ行ったら、ライ様に先を越されたのだ。
「ライナス様。姉の件ですが、放課後に話をしませんか?」
ラスキンさんの一言で、私の頼み事も放課後になった。
その放課後となったが、食堂での空気が重い。
ライ様の隣に座り、テーブルを挟んでラスキンさんがいる。
「それで、この前の木曜日の話の続きですよね。姉が今手掛けている事業の見学がしたいという内容の・・・。」
ライ様がセラ様の事業の見学の見返りに、提供して貰うモノは何かというところで終わっている。
「セラ殿とラスキン殿に、商売の事を教えて貰いたいのです。」
ライ様は真剣な眼差しで、ラスキンさんに伝える。
「ライナス様は、将来公爵の跡を継ぐのですよ。商売の勉強をしてどうするのですか?」
ラスキンさんは、驚きもせずに受け答えをしている。
「クローライト領の百年伯爵の地は、将来、学園地域にする計画があります。」
ラスキンさんは、プラシオの町の裁縫の町計画を知っていた。
「他にも、農業学校、騎士学校、医術学校と、工芸技術の学校も建設したいと思っています。」
「資金面が不安ですね。」
ラスキンさんは、ライ様の計画の説明で何が足りないかをサラッと答えた。
「ですから、資金調達の方法を知るために、商売の勉強をしたいのです。」
ライ様は、クローライト領の為に商売について学びたいという事か・・・。
私の知識よりも、専門家の方が、確実にマスターできる。
・・・ライ様は、驚くほどに成長していくのね。
私は、微笑ましくなる。
「それで、私に提供して貰うのは何でしょうか?」
ラスキンさんは、商売の知識を教えるに対しての対価を求めた。
内容からして、結構な対価が必要だわ。
初めての交渉だから、それなりに振る舞わないと、今後の別の交渉にも支障をきたす。
いったい何を提供するのかしら?
ライ様は、テーブルの上に書類をだし、ラスキンさんに渡す。
ラスキンさんは、その書類を見る。
「これは!?」