ワナワナワナ
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一人に付き一言ずつだとしても大人数相手だと、結構な時間がかかるわな~。
やっと終わったが・・・どっと疲れた。
「陛下、先ほどの休憩室で、少し休憩をとらして貰いましょう。」
と、ピアーズが言ってくれたおかげで休憩室に戻る。
休憩室に入ると、クレシダが外に出られる掃き出し窓に向かう。
”キキュ~キュ~キュキュキュ~”
クレシダが外を気にしながら鳴き声をあげる。
「クレシダ。すぐに窓を開ける。」
と、ナイジェルがクレシダの鳴き声に素早く反応して、窓の方へ向かう。
「クレシダが、外で助けを呼んでいる声が聞こえると言っています。」
ナイジェルの言葉に、工房の者たちも驚いた雰囲気で、一緒に外に出る。
クレシダは外に出て一直線に、工房の者が百葉箱と言っていた小屋へと向かう。
”キュキキキュ~”
小屋の前でクレシダが鳴く。
「お~い・・・・ここから出して~・・・」
確かに小屋から人の声が聞こえる。
「人が閉じ込められているのかもしれません!」
「そんなことはあり得ません!!」
工房の者は、ナイジェルの言葉に、すぐに反論をする。
ナイジェルはお構いなしで、百葉箱の小屋の扉をドアを開けようと手を伸ばすも、鍵がかかっていた。
「すぐに鍵を持って来てください!!」
「・・・・っ?!」
ピアーズは、鍵を持ってくるように言うも、工房の者は誰も動かなかった。
「ナイジェル構わない開けろ。」
俺は、ナイジェルに指示を出すと、勢いよくドアに突進してドアを開ける。
小屋の中にナイジェルとクレシダが突入して、その後を俺は追うように入る。
声が聞こえていたはずの小屋には誰も見えない。
小屋の中央には、神殿の柱の形に彫られた石の台が置かれていて、小屋の端にある温度計と湿度計のデーターを記載するような感じとなっていた。
「誰もいない・・・。」
”キキューーッ”
ナイジェル、そしてクレシダは誰もいない事に驚いていた。
”ドンドンッ”
「ここよ~!!」
と、石の台から音と声も聞こえた。
「その石の下だな・・・。」
ナイジェルが石の台を押してみたがビクとも動かなかった。
あと少しのことろだと言うのに・・・。
『仕方ないな~』
通信から聞こえて来る声。
いつか本格的にツケを払わないと、何をしでかすかわからない者の声だった。
そして、すぐにドラゴンが近くで降り立ったのが、地面が少し揺れた事でわかった。
「陛下。僕を待ってたんですよね。」
満面の笑みで現れたのはフレディだった。
俺は、どっとため息をつき、顔をがっくりさせる。
「そんなに困る事なのかな~。」
フレディがいるのが困っているとは言えないよな~。
小屋をぐるりを見回すフレディ。
「ここって女性が多いから、あまり力を使わないはずだよね・・・。」
鼻歌を歌いながらのその行動に、空気を読んでくれと突っ込みを入れたいのだが、悪戯好きのフレディなら隠し通路の解除方法が、解けるかもと期待もしてしまう。
工房の人が冷や冷やとした顔立ちでフレディを見ている。
フレディもその者を横目で見ながら、見回していた。
そして、工房の人の顔色の変化した一瞬を逃さなかった。
「クレシダ。ここのランプを点けられる?」
”キュー”
フレディの問いに、クレシダは頷き出来る事を鳴き声で伝えた。
そして、クレシダの口から小さい雷が放たれ、ランプに火が点く。
”ズズズズズ・・・”
と、石の台がゆっくりと動く。
工房の人が、後ずさりをして行く。
「逃げても無駄だよ。この付近一帯ドラゴンが囲っているから、逃げられないよ。」
満面の笑みを工房の者に向ける。
「でも、逃がしてあげられる余裕はあるかな?」
「本当ですか!!」
「うん、蟻ぐらいなら逃げられると思うよ!」
フレディの言葉に工房の人が、腰が抜ける感じにその場に崩れた。
「ありがとうございます。」
石の台から現れたのはルイ・シェルだった。
「国家鑑定士 交換島勤務 特例特別捜索部隊のルイーズ・シェルです。」
そんな長い名目の役所を与えた記憶はないが・・・まあ、いいか。
小屋に出ると、金色のドラゴンと白いドラゴンが地上に降りてきた。
「ステファノ―。無変化公子のサポート大変だったでしょ。」
白いドラゴンのステファノ―をねぎらうルイ・シェル。
「ご苦労だったルイ。サーシャも、こんな男の為にマシュアクセサリーを貸してあげてありがとう。」
相変わらずヘンリーとルイ・シェルが、水面下で嫌みを言い合っているな。
サーシャは、ルイ・シェルに、捜索へ行く前に、サーシャのマシュアクセサリーであるピアスを片方ルイ・シェルに渡し、ステファノ―に場所の特定をさせていたのだ。
「ねえねえ、隠し通路だけでは、まだ終わりじゃないって解ってるの?」
フレディが、2人の会話を止めた。
「サーシャ。それで、本当に見つけている物がどこにあるか検討はついているの?」
フレディはサーシャに聞いて来る。
「休憩室の本棚です。」
サーシャは、本来休憩室の本棚には、アクセサリーのデザインの参考になる美術資料が並べられたり、子供がたくさんいるなら、絵本が置いてあるはずだと説明をする。
「なら、本棚の本を一端外そうか!」
「それは言いですね!」
フレディとサーシャは意気投合をして休憩室の本棚の前へと行く。
2人が、本棚から本を取り出し、休憩室のテーブルの上に置く作業に入ると、皆がそれに協力する。
「取れない本が見つかったよ。」
フレディは、本棚にくっついている本がある事に気づくも、サーシャと話し合った結果。一端本棚から取り出せる物は、全て取り出そうという事になった。
そして、本棚にはくっついている本だけとなった。
サーシャは、くっついている本をじっくりと見る。
「?」
サーシャは本の表紙を剥がす。
すると、本の中が露わになり、そこには本がなく空洞になっていた。
「うーーーん。」
サーシャは、片目で空洞の奥を覗く。
「奥が不規則にガタガタになっていますね。ここにはまる本サイズの鍵があるはずです。」
キョロキョロとサーシャはあたりを見回すが、すぐに困った顔になる。
鍵が見当たらないのだ。
周りにいる者たちも、ソワソワとしだす中、一人ケロッとした人物がいた。
フレディだ。
「ここにはまればいいんだよね。そんなの簡単だよ。」
そう言うと、フレディは窓から外に一端出る。
「コスモ~。ここに来て!!」
と、コスモを呼ぶ。
コスモは、フレディのところへ来る。
「コスモ。あの本の中の空洞に、ぴったり当てはまるように、氷はなってくれないか?」
『わかった。』
コスモは口を少し開けると、フレディは一端止めた。
「コスモ。一つ言い忘れた事がある。精密に作って欲しいから、風と氷の力を使って欲しい。」
フレディは、高度な技術をコスモに要求した。
コスモは頷くと口を開ける。
”ひゅ~ カチカチ ”
と、風を放ち本の中に風を送ると、すぐに氷の塊になる。
”がたんっ”
音が休憩室に響く。
『お祖父様。人がたくさん工房から出て来ているのですが・・・。』
グレアムの通信が入ってくる。
どうやら、工房の人たちが逃げるようだ。
『そんなの捕まえて、縄で縛っておいてよ。』
フレディは孫にサラッと要求をした。
何となく困っているからだと思うのだが・・・。
『出来ないわけないよね・・・この僕の孫なんだからさ~。頑張ってって言って欲しかっただけなんだよね・・・・本当に孫って可愛いよね~。』
・・・可愛いでなく、可哀そうなのではないか?
まあ、ドラゴンが大量に、それこそ蟻しか逃げられない程にいるのだ。
・・・何とかなるだろう。
こちらは、本棚を押して、隠された扉を発見した。
そして、奥へと進んだ。
「こ・・・これは・・・どうして、これが・・・ここに・・・ここにあるのよ~~!!!」