王宮では・・・
王都の王宮に青いドラゴンが降り立つ。
「やっと、帰ってきたぞ。」
俺が、言うと、俺の前に座っていたカリスタが微笑む。
先にユピテルから降りで、カリスタの降りるのに手を貸す。
「お~帰り~なさいませ~・・陛下。」
恐ろしい形相で側近のピアーズ・スフェーンが来た。
元々の癖毛の茶髪が一段とくしゃくしゃの癖が付いて、緑の瞳なのだが、真っ赤に感じる。
疲れとイラつきでこうなったのだろう。
「港町シャーマの視察どうでしたか、カリスタ様と合流して他にも寄られたところがあるそうで・・・。」
耳に入るのが早いな。さすがは俺の側近。
そして、やはり連れていかれるは執務室か・・・。
「書類等は、もう息子たちに依頼できるものは依頼していいのだぞ。」
と、執務室へ向かう廊下を歩きながらピアーズに言う。
「そのようにしています。で・す・が・陛下にしかできない書類もございますので、急ぎ目を通していただきたいのです。」
執務室に行くしかないな。
「あなた、私も執務室へ行きます。もしかしたら子供のドラゴンの圧死の報告書が挙がっているかもしれませんから。」
カリスタも俺たちの後に付いてくる。
「子供のドラゴンの圧死とは・・・。」
カリスタがピアースに聖ライト礼拝堂に運ばれたドラゴンのことを伝えた。
執務室のドアを自ら開ける。
「・・・・・。」
そして、再び閉める。
「陛下、遠慮は禁物です。どうぞお入りください。」
ピアーズが執務室の扉を開けた。
「ピアーズ、変な物体があるが危険ではないか?」
机にタワーなっている書類の束、束、束。
机の上が、ビル街の模型のようになっているのだが・・・。
「放置する方が危険です。おわかりでしょう陛下。」
やるしかないか・・・。
書類の第1タワーを終了。
本当に俺でないとダメな書類だよ。
一枚ぐらいあっても良くないか?
「これ、息子に頼め!」
って、偉そうに言って、ちょっと一息つくことが出来るのに、それがないとはキツイな。
「ドラゴンの子供の圧死の件はなさそうですね。息子たちの方の書類に紛れているのかしら?」
ドラゴンの子供の圧死に関しては、王妃であるカリスタの耳にも入れないとならない件だ、俺の書類に入っているはずだが・・・。
ピアーズもそのように説明をする。
「こんなに書類があるのです。どこかにあるはずですよ。ですので早く陛下には片付けてもらいましょう。」
はい、はい、悪かったな。
「そういえば、聖ライト礼拝堂で前世持ちの女性に会った。その者にルベライトの所へ行ってもらったから。」
俺は書類を片付けながらサラッとピアーズに言った。
ピアーズも、俺に前世の記憶があることを知っている数少ない者の一人だ。
「陛下の妄想ではなかったのですね。」
おいおい、その件はしっかり確認しただろう。
まだ絆を結んでいない1814歳の赤いドラゴンの好物でさ。
「サーシャ・カーネリアンというドラゴンに好かれる女性ですわ。」
カリスタがその名前と、一言でわかる説明を入れると驚いたようだ。
「会ってみたいものです。その者の身辺調査をしないとならないですね。」
俺は、前世持ちだから心配ないと思うが、一応依頼してあることを伝えた。
”トントントン”
扉をノックする音の後、人が入ってくる。
「失礼します。陛下に至急見て頂きたい手紙をお持ちしました。」
入ってきた人はトレーを持っている。
差出人を聞くと、噂をしていたサーシャだった。
「『シャーペンと消しゴムが欲しい』と、言えば至急拝見するはずと承っています。」
ぷっ
俺は、吹いてしまった。
「確かにサーシャの手紙だ。すぐに読むからこちらへ。」
トレーの中の手紙を受け取る。
サーシャの文字は、あの性格から想像できないが、固い感じの字を書くのだな。柔らかいカリスタよりの字だと思ったが、案外ピアーズよりのお堅い感じなのか?
俺はそう思いながら手紙を開ける。
「・・・・クレシダが大けがをしたから、ラリマー邸に行きたいので、紹介状を書いて欲しいという内容だ。」