あなたの正体は?
『お祝いのお礼に、シュークリームをお出ししますね。』
私の誕生日の時に、私の耳元で囁いた言葉。
その一言で、ルベライトの屋敷に前世持ちがいると確信した。
「エナ・ファルティー企画課・・・岩野辺実智代です。」
エナ・ファルティーって・・・ハミッシュ陛下と同じ職場だわ。
私はハミッシュ陛下の方へ振り向く、するとハミッシュ陛下も驚いていた。
「サーシャ、落ち着いて聞いてくれ・・・。」
ハミッシュ陛下も落ち着いてくださいと、思いながらも頷いた。
「サーシャの目の前にいる者は、チームメロティーのシナリオライターのみちよだ。」
み・ち・よ
「きゃー!!!」
私は、シナリオライターのみちよの前世を持つ者に、あまりにも嬉し過ぎて抱きついた。
「フィオナが、シナリオライターのみちよさんだなんてー、幸せ過ぎるわ!!」
そう、私専属メイドのフィオナが、ハミッシュ陛下と私と同じ前世持ちだったのだ。
それも、エナ・ファルティーの社員だけでなく、乙女ゲームチームであるチームメロティーに所属。
それだけでも幸せなのに、シナリオライターのみちよさんだよ~!!
「『教恋』の女性編と男性編の両方やりましたし、隠しルートもしっかりクリアしましたよ!!」
みちよさんのシナリオで有名なのが『教師だって恋したい!!』という乙女ゲームというか、恋愛ゲームというべきなのだろうか。
男子校に新任教師として着任した女性主人公の女性教師編と、女子高に新任教師として着任した男性主人公男性教師編の、2種類が出ているのだ。
その2種類のゲームを両方クリアしすると、新たなスチルが現れ新たな物語が現れるのよね。
2つの高校を数年後に共学にする話をまとめる為に、両学校を行き来すして、相手の主人公を落とすゲームになるのよね。
一口で2度美味しいでは語れない、お得感が会ったのよね。
「サーシャ・・・『教恋』の他にも『ドク・ラバ』も、目の前の者が書いたシナリオだぞ。」
ハミッシュ陛下の一言に私は止まる。
『ドクター・ラバーズ』
18禁乙女ゲーム
「18キンは、ドラゴニアに危険な存在ですから言わないでください。」
私は、ハミッシュ陛下に訴える。
購入をすることを拒んだゲームだ。
えっと・・・耳鼻科医、産婦人科医、歯科医のお医者3兄弟を落とすゲーム。
スペシャルルートは・・・想像にお任せしよう。
きっと、想像通りだと思うので・・・。
私は、抱きついていたフィオナから離れる。
「うわっ!!」
と、いきなりヘンリー様に腕を引き寄せられて、ソファーに倒れ込む。
そして、ヘンリー様にがんじがらめに抱きしめられる。
「ヘンリー様。何をするのですか!!」
非常に恥ずかしいのですが!!
「サーシャの旦那だという事をアピールする必要があるから、しているのだが・・・。」
「そんなアピールしなくても、ヘンリー様しか、私の旦那にしたくないですから安心してください!!」
『ドク・ラバ』のように、百合ルートを願っていません。
フィオナは、友達の関係です。
「ヘンリー様、安心してください。私はサーシャ様の幸せを第一に考えています。」
フィオナが、私たちの前で来て、膝を折り両手を組み、前世での祈りのポーズをする。
「だって、サーシャ様は私が考えた『ドラフラ』のヒロイン。何よりも幸せを願うに、決まっているじゃないですか!!」
・・・・え?
「憧れたアリスさんの世界に、転生出来ただけでも幸せなのに、そのアリスさんの世界とコラボしているなんて、幸せ過ぎます!!だから、サーシャ様の幸せが私の幸せなのです!!」
フィオナ・・・目を輝かせて何を言っているの?
「ですから、どうぞ、遠慮せずに愛を育んでください!」
ヘンリー様と一緒になるのだから、みちよさんのシナリオも終わったのよね。
私は、ハミッシュ陛下の方を見て、助けを求める。
「サーシャ・・・良かったな。」
何か、遠くを眺めているような雰囲気で言われても、困るのですが・・・。
「他人事のように言わないでください。白銀の光の神の忠告があるでしょう!!」
この世界に、歪みが生じ出しているのに対して、歪みを修正できるモノをおくると言ってくれた。
フィオナは、きっとこの世界の歪みを修正に必要な存在なのだ。
私の言葉に、ハミッシュ陛下が考える。
「フィオナ・・でなく、みちよさんと言った方がいいのか?」
ハミッシュ陛下の言葉にフィオナが、フィオナと呼んで欲しいと言った。
、「では、フィオナ。あなたが考えた『ドラフラ』のシナリオについて聞きたい。きっと、それが今後の鍵になるからな。」