いざ、ラリマー邸へ
ドラゴニア王国の白の領土、隣の南の赤の領土の境にハウラの街がある。
ドラゴニア王国とピューゼン王国の終焉の戦いで活躍したナイジェル・ラリマーの屋敷がある街だ。
終焉の戦いとは、戦いのさなかピューゼン王国の王女とフレディ様が結婚をし、戦いを終焉に向かわさせた戦いのことである。
宿屋『ホータン』の一階の食堂で紅茶を飲んでる。
”ガタガタガタガタ”
と、窓ガラスが風で揺れる。
・・・やっと来たか。
私は、席から立ち上がる。
「こちらにサーシャ・カーネリアン殿はいらっしゃるか?」
宿に入ってきた茶髪に赤茶の瞳のひょろっとした男性が、私のことを呼ぶ。
「私です。こちらへどうぞ。」
私は、自分のいる席に誘導する。
「その、あなたがサーシャ殿である証を見せて頂けないでしょうか?」
私は、頭の包帯を解く、まだ若干残っているドラゴンマークのあざ
「失礼いたしました。」
ひょろっとした男性が、おもむろに手紙を2通だしテーブルに置く。
1通が、ナイジェル・ラリマー宛てで、もう1通がサーシャ・カーネリアン宛て、私宛の手紙だね。
私はお礼を言う。
「それでは、失礼いたします。」
ひょろっとした男性は、宿を出ていく。
私は再びお礼をいい見送ると、私宛の手紙を開ける。
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シャーペンと消しゴムが欲しいって、気持ちは
わかる。
手紙に大量の修正された箇所があったからな。
だが、無いものねだりだ。ボールペンすらない
世界なんだからな。
でも、至急手紙を回してもらう口実にするには
打ってつけで、笑ったがな。
ナイジェルの件、サーシャの要望通りに行って欲
しい。
ラリマー家宛てで紹介状を使いの者に渡しておく。
よろしく頼む。
ハミッシュ・トリプライト=ドラゴニア
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頼まれましょう。
私は荷物をまとめ宿を出る。
馬を走らせ、ラリマー邸に向かう。
◇ ◇ ◇
ハウラの街の南西側に小ぶりな山城がある
その山城がラリマー邸だ。
正式名称『クレシダ・ラリマー邸』
『ラリマー』という姓が、日本でいう『佐藤』『鈴木』並みに多いために、ドラゴンと絆を結んでいる場合、ドラゴンの名前を頭に付ける。
ドラゴンと絆を結んでいる場合はいいが、そうでないとフルネームをだしたりする。
それでもいたりするんだよね同姓同名。
そうなると、土地名やら『上ラリマー』とか『青ラリマー』とか、もういろいろ。
『ジョン・ラリマー』って、名乗る人と今世で5人ほどあっているわ。
そして、会ったことはないが、ナイジェルの兄もジョンだったはず。
後ろを振り向き、目についた男性に『ジョン・ラリマーさんですか?』と、訊ねたらそうだったりして・・・。
やってみようかしら?
私は後ろを振りむく。
馬に乗りこちらに来る男性発見。
男性がいてしまうのね
見た目年齢は、私と同じ年ぐらいかしら?
薄茶色の髪に、灰色の瞳の好青年。
「どうなさいましたか?」
おっと、向こうから声をかけてきてくれた。
「すみません。その・・・ジョン・ラリマーさんですか?」
やっぱり、言ってしまったわ。『ジョン・ラリマーですか?』攻撃。
「いいえ、ジョンは私の伯父ですが。」
なんか、初めての英会話での翻訳した内容みたいだな。
でも、待てよ・・・伯父がジョンって。
「ナイジェル・ラリマーさんの息子さんですか?」
「はい、ハワード・ラリマーです。」
馬から降りて、丁寧にあいさつをしてくれた。
私はおもむろにナイジェル・ラリマー宛ての手紙をだす。
「私はサーシャ・カーネリアンです。ハミッシュ陛下からの依頼で、こちらに来ました。」
私も丁寧にあいさつをする。
「陛下から、どうぞこちらへ。」
ハワードさんの案内でクレシダ・ラリマー邸に入る。