改めまして・・・
早朝に、王宮のメイドに起こされた。
私は、昨夜ヘンリー様に前世の事を話し、そのままヘンリー様の腕の中で眠ってしまったので、お風呂を頂いた。
ありがたい事に、メイドから、ベージュに赤いリボンの入ったワンピースを渡され、それに着替える。
着替えが終わた頃に、ヘンリー様が起きた。
ヘンリー様にも着替えが用意がされていて、ベージュに赤の入った服で、私とセットのような雰囲気だった。
ヘンリー様も着替え終えると、メイドがハミッシュ陛下の執務室へと案内をしてくれた。
王宮のハミッシュ陛下の執務室の3人掛けのソファーに、ヘンリー様と私が座る。
テーブルをはさみ反対側のソファーには、カリスタ様とピアーズさん、そして、一人掛けのソファーにはハミッシュ陛下が座っている。
「仲直り出来たようだな。」
ハミッシュ陛下が、私たちの仲を心配して声をかけてくれた。
「俺たちの仲を心配するなら、昼頃まで2人きりにして欲しかったのだが。」
何故かヘンリー様が不機嫌そうな口調でハミッシュ陛下に言う。
でも、昼ぐらいまで2人きりにして欲しいって・・・私、前世の事は全て話終えたのに、まだ何かあるのかな?
ハミッシュ陛下も前世持ちなので、そのことを聞きたかったのかな?
でも、それなら直接聞けばいいし・・・。
正に、今聞けばいいのに、それをしない。
・・・どういうことなんだ?
”コンコンコンッ”
と、部屋をノックする音がして、王宮のメイドが入ってくる。
「お連れしました。」
「やっと、来たか・・・。」
王宮のメイドの言葉に、待ちに待ったように一言がへミッシュ陛下の口から洩れた。
「王宮からの連絡で、お着換えをお持ちしました。」
執務室に王宮のメイドが言った者が入ってくる。
「持って来てくれてありがとう。」
私は、ニッコリと笑顔でお礼を言う。
だが、お礼を言った相手は戸惑っていた。
着替えを持って来たのにも関わらず、着替えているのだから・・・。
私は立ちあがり、着替えを持って来た者の前まで行く。
「改めまして・・・と、言うべきね。」
二コリッと満面の笑みで相手を見る。
「NAMIRUグループ技建株式会社穂野支社経理部の浅見沙弥那です。」
私は前世の名前で自己紹介をする。
目の前の人がちょとんとしている。
「サーシャがそう言うなら俺は、エナ・ファルティーの企画課、ロードネーションチームプログラマーの椋梨翔英だ。」
ハミッシュ陛下は、私に倣って、前世の名前で自己紹介をしてくれた。
「え・・え・・・NAMIRUグループ技建って・・・あの?」
ああ、やっぱり、目の前の人も、前世持ちなんだ。
「それに・・・エナ・ファルティーって、ロードネーションチームって、一押しながら影薄チームの?」
その言葉に、ハミッシュ陛下の顔が変わる。
「悪かったな・・・歴史オタク根暗チームとして有名なロードネーションチームで・・・。」
そんな言われのあるグループだったんだ、ロードネーションチームって・・・。
「それで、聞こうか・・・君の前世の名を・・・。」




