送られるのにも注意が必要。
王都のルベライトの屋敷に、水色の雌のドラゴンが降り立つ。
「ライ様。ありがとうございました。」
私は、水色の雌のドラゴンであるアマルテアから降りる。
”キュー”
と、アマルテアが鳴き、私の頬に鼻を付ける。 私は、アマルテアを撫でる。
「ライナス殿。サーシャを送ってくれてありがとう。」
と、屋上にヘンリー様が現れ私たちの方へと向かってくる。
「ヘンリー様。ただいま。」
私が、ヘンリー様に微笑みながら言う。
”チュッ”
え?
と、ヘンリー様は私の唇にキスをした。
「お帰り、サーシャ。」
ヘンリー様が、返事をしてくれたものの、私は、動けなかった。
だって、頬でも額でもなく、口・・・唇にキスをしたのよ。
お帰りのチューを、それも人前で、さり気なく・・・いたって、当然のように・・・。
「まだ、足りなかったか?」
「そんな訳ないでしょう!!」
私は、訴えるように即答で答える。
一瞬で顔が赤くなったのは言うまでもない。
”グイッ”
と、ヘンリー様に引き寄せられ、腕の中に・・・。
「ヘンリー殿、平日、サーシャといられる事で、俺に嫉妬しないでください。」
ライ様は呆れた口調で言ってきた。
「わかっているのだが・・・すまない、ライナス殿。そうだな・・・サーシャが、可愛いのがいけない。」
「何故、そこで私なのですか?!」
私は、突っ込みますとも、ヘンリー様の独占力を人のせいにしないでください!!
”チュ、チュー・・・チュウー”
ヘンリー様が、3度も遠慮せずにキスをしてきた。
ですから、人前ですって!!
でも、私は、突っ込みを入れたくても、声が出ずに、口をパクパクさせていた。
”ぎゅう”
と、両腕で抱き寄せられてしまった。
「お邪魔なようなので、失礼をした方がいいですね・・・ヘンリー殿、サーシャ、よい週末を・・・。」
「ライナス殿もよい週末を・・・。」
ヘンリー様が言うと、アマルテアが空へと飛び立った。
「ヘンリー様・・・人前でキスを・・それも唇にするのは・・やめて頂きたい。」
私は、ヘンリー様の腕の中で縮こまりながら言う。
「唇が嫌なら、首筋にキスすればいいのか?」
何故・・首筋?
そして、そんな所にキスされたら、間違えなく跡が付く。
「そんな所に、しないでくださいよ!!」
人前で、キスマークつける所を見せるのは、どんなプレーなのよ!!
「頬・・とか・・・おでこ・・に、するとばかり思っていました。」
キスはされるとは・・・何となく考えていたが・・・キスされたとしても、そのぐらいだよ。
口は・・・さすがに、いっぱい、いっぱいになる。
「そのように出来たらいいね。」
え?
・・・出来たらいいね?
「努力出来る事でもないし・・・。」
いや、出来ます。やってください。
「俺の愛情表現だから・・・。」
そんな、愛情表現・・・って、言われたら、受け止めるしか出来ないじゃないの!!
「でも、今はサーシャの意見に従えるね・・・人前じゃないから。」
”チュウー”
と、キスを・・・濃厚な・・・えっと、力が抜ける。
私は、腰を抜かすも、すぐにヘンリー様が抱えてくれた。
「さて、早くしないとね。」
と、ヘンリー様がサラッと口にして、私を姫抱っこした。
ヘンリー様、卑怯です!!
私、今は、まともに歩けません。
いいように、姫抱っこされるしかありません!!
「早くしないとって・・・何かあるのですか?」
私は、思考がグルグル回りそうな中で、気になったことを聞く。
「陛下が来るからね。その前にしっかりチェックしないと・・・サーシャの下着を・・・。」
顔がいつも通りのヘンリー様ですが、ドヤ顔していうような言葉を発した。
「渡された物をちゃんと着けています!!」
ライ様に送って貰うのだから、嫉妬防止のために恥ずかしながら、ヘンリー様に渡された、ピンクの下着付けてきました。
って・・・嫉妬防止に着てきた意味がないような・・・。
陛下~・・・早く、ルベライトの屋敷に来てください!!
ヘンリー様に、いいようにされてしまいます!!




