噂話
辛すぎず甘過ぎない程よい辛さ・・日本人好みのカレーだわ。
転生して日本人ではなくなったけど・・・。
本日の宿『燕』にて、宿のキノコカレーを堪能しています。
他にも料理があったのですか、お米が食べたくて注文しました。
ドラゴニア王国に来て初のお米です。
堪能するしかないでしょう~。
ドラゴニアの主食は地域によって違いがあり、北の黒の領土、東の青の領土は基本主食がパンで、西の白の領土と、南の赤の領土はお米が基本的な主食となっている。
因みに、中央の王の領土は、食文化がいろいろ混合されているので、どちらともと言えない。
現在の場所は、中央の王の領土内の西に近い場所。
宿のメニューのお米料理にカレーとオムライスがあった。
ゲームの世界でのオムライスは、恐怖の対象物なのでカレーにした。
フレディ様の領土に近いから、尚更気を付けないとならない。
でも、いつかは食べに行こう・・フレディ様の好きなオムライスをた、食べに・・必ずゲロ袋を持参して。
「おい、聞いたか、ナイジェル様のクレシダが大けがをしたらしい。」
なぬ?
私は、客の会話に耳をダンボにして聞く。
「聞いた聞いた、相当ひどいらしいっていう噂だぞ。」
「ピューゼン王国との終焉の戦いでご活躍になった、ナイジェル様の白いクレシダがですか?」
女性客も話に参戦。
私は、その話に聞き入る。
ナイジェル様とクレシダ
どう考えても思い浮かぶのは、ゲームの攻略キャラ
ナイジェル・ラリマーと、絆を結んだクレシダという白い雌のドラゴン。
ナイジェル・ラリマー
代々ドラゴン騎士を輩出するラリマー家の次男。
彼も幼少期からドラゴン騎士になるために訓練を受けていた。
そして、騎士にふさわしい勇猛なドラゴンを求めた。
だが、勇猛なドラゴンに絆を求めたが嫌われてしまい、怪我をしてしまう。
その恐怖でドラゴンに近づけなくなり、一般の騎士として聖ドラゴニア学園の警備をしていた。
リオンがナイジェルの事情を知ると、ドラゴンの恐怖を払拭させようと、心優しいドラゴンである白い雌のドラゴン『クレシダ』に会わせる。
最初は怖がっていたものの、徐々に平気となる。
そして、そのクレシダがナイジェルと絆を結ぶことを提案する。
ナイジェルは最初は断ったのだ。
心優しドラゴンを戦場に出させることを嫌がった。
だけどクレシダは、そういう者だからこそ絆を結びたいと言ったのだ。
「戦いの場所を作らないための努力をする事も騎士には必要だと私は思うわ。それでも戦わなくてはならなくなったら、私の大きな翼で戦場を駆け抜けよう。早く戦いを終わらすためにも・・・。」
その言葉で、ナイジェルは涙を流しながら誓うように名前を呼ぶのよね。
「・・・クレシダ。」
って、もう~、私まで涙流れちゃってたわよ。
そのクレシダが大けがを・・・。
その噂の中で、ドラゴンの大樹の祝福のフレアでないと回復の見込みがないと言っていた。
ドラゴンの大樹の実は、まだ柔らかく葉の保護を受けている段階。どうやっても、祝福のフレアには時間がかかる。
私は、部屋に戻り鞄から便箋封筒そして持ち手の所が木製の万年筆を取り出す。
◇ ◇ ◇
立派な建物にはドラゴンと天秤のマークがあった。
現在の時刻は朝の9時。
国の機関の開く時間帯
外貨交換所の門が開くと、私はすぐに中に入る。
「ご用件を伺います。」
出入り口の受付嬢が言う。
港町シャーマの目の鋭い受付嬢とは違い、若干かたっ苦しい感じではあるが、丁寧な感じに接してくれた。
「所長にお取次ぎをお願いします。」
受付嬢が一瞬固まる。
「約束はされておりますでしょうか?」
「いいえ、ですが取り急ぎ、取り次いで貰わなければ大変なことになりますね。それでも構いませんか?」
私は、頭の包帯を解く。
額にドラゴンのマークのあざ。
「シスター、こちらへどうぞ。」
受付嬢の一人が案内をしてくれる。
”コンコンコン”
「所長、失礼します。」
私は、受付嬢の後に続いて部屋に入る。
部屋に入ってすぐに、私の額のマークに気づき椅子から立ち上がり、テーブル席に案内してくれた。
「この町で外貨交換所の所長をしていますアーサー・カンランと言います。」
アーサーの名をあげるとは・・・。
「外貨交換の父と言われている者と同じ名なのですね。では北の総括長のデリック・ギベオン殿をご存じでしょうか?」
外貨交換の父アーサーのフルネームはアーサー・ギベオン。
デリック先生のご先祖様だ。
「存じておりますが、お話したことはございません。」
残念な所長さんだわ。
大丈夫かしら、でもやらなければ・・・。
「申し遅れました私はサーシャ・カーネリアンと申します。ハミッシュ陛下の命でルベライト公爵家を訪ねる途中でして、その道中気になることがあり至急陛下にご報告せねばと、こちらの外貨交換所へ寄ったのです。」
私は、昨夜書いた手紙を取り出しテーブルの上に置く。
「こちらの手紙を至急陛下に渡して欲しいのです。」
カンラン所長は困った顔をする。
「そのように申されましても、至急陛下にお渡しすることができるかどうか・・・。他を頼ることが出来ませんでしょうか?」
手紙を私の方へ寄せる。
やはり、残念な所長さんだわ。
最終手段だな。
「王宮へドラゴンへ乗り行き、門番に至急陛下に渡すように伝えるだけですよ。」
私は、手紙をカンラン所長の前まで押し付ける。
「門番にはその際『シャーペンと消しゴムが欲しいと陛下に伝えて欲しい』と言ってください。そうすればすぐにもその手紙を読むでしょう。念のために、ドラゴンにその旨を広めさせ、陛下のユピテルの耳に入るようにすればよろしいかと存じます。では、頼みましたよ。」
ラーイ界は、筆に羽ペンと万年筆しか書く物が存在しない。
だから、シャーペン、消しゴムは前世語。
手紙を書きながら頭の端で思ったことを言ったのだ。
そして私は、すぐに立ち上がり部屋を後にする。
私の向かう場所はハウラの街。
ゲームの攻略キャラすべての名前が挙がりました。
ハミッシュ・トリプライト=ドラゴニア
フレディ・ダンビュライト
ヘンリー・ルベライト
ホレス・キンバーライト
デリック・ギベオン
ナイジェル・ラリマー
です。