〇番外編〇 デザート会議
夕涼み会の会議がもたれた。
デザート提供で集まったのは、私の他6人。
新入社員内で可愛いと定評の伊部さん。
産休で長年離職して、やっと戻って来た鈴原さん。
この2人が女性で、後の4人は男性。
羨むほど肌が綺麗だが、白髪交じりの九鬼さん。
着物がバッチリ似合いそうな利久さん。
サーファー感満載の井達さん。
オタクチックな村重さん。
私は、社員たちから聞いた過去にあった出来事を踏まえて、いろんな種類を提供できる体制に持って来ないとならない事を伝える。
「なら、クレープなんてどうでしょうか、いろんな種類の味があっていいと思いませんか?」
やはり、可愛いと言われている伊部さんの発言だわ。
その案いいかもね。
「ですが・・・その・・・甘いの苦手な人には・・・チョット・・・。」
オタクチックな村重さんが、おどおどしながら発言をする。
「可愛い伊部さんの言うことが、聞けねーのかよ。」
と、井達さんが村重さんを脅すかのような感じで言う。
「そ、そ、そういう・・・問題では・・・な、ないはず・・です。」
怯えながらも言うべきことを言う村重さん。
「村重さん、偉いぞ!」
と、鈴原さんが会話に入って来た。
「確かに、甘い物が苦手な人はいる。私の旦那も甘い物は苦手なのよね。でも、甘さ控えめに作っている団子は食べるわ。後、アイスもか・・・。」
「甘さ控えめなアンコなら、俺も食べられる。」
鈴原さんの話しに、九鬼さんが同感を示した。
「ぼ、僕も・・・甘いの苦手で・・・でも、彼女がデザート好きで、デートで、デ・・・。」
「彼女いるのかよ~!」
と、村重さんに彼女がいる事に突っ込む井達さん。
その一言で、話し途中だった村重さんの話しが止まってしまった。
「村重さん、話しの続きを聞かせてくださいませんか?」
と、利久さんが、ノートパソコンをしながら言って来た。
「彼女とよくデートで・・・デザートバイキングに行くのです・・・。」
甘い物が苦手なのに、デザートバイキングに行くって、彼女さん、彼氏さんである村重さんの事を考えているのかしら?
「でも、僕が甘い物が・・・苦手を・・知っているので・・・デザートバイキングで・・・カレーやパスタなどの総菜コーナーがあったり・・・それと、果物のコーナーがある所を・・・見つけて・・行ってます。果物なら・・僕・・・好きな方ですから・・・。」
恥ずかしながら言う村重さん。
「のろけかよ~。」
相変わらず、村重さんに突っかかってくる井達さん。
場の空気が、悪くなっているのに気づいて欲しいかな?
「あの、惣菜を包んだクレープってありますよ。」
伊部さんが、小さく手を挙げて発言をする。
「そうなんだ・・・なら、クレープでよくね~。」
井達さんが、同意を求めるも、皆がいい顔をしなかった。
「惣菜の挟んだクレープがあるのは知っているのですが・・・。」
私は、重い口を開くしかないようだ。
「あくまで、デザートを提供する事になっています。総菜のクレープを出すのは、食事担当者の役割ですので、私たちが出してはいけないと、そう思うのです。」
私の話に、周りの中に頷く者がいた。
「じゃあ、どうしろっていうんだよ~。」
井達さんが、文句を言って来た。
「クレープ生地に、入れる物を選んでもらうのはどうでしょうか」
利久さんが、先ほどから打っていたノートパソコンをこちらに向けてくる。
パソコンの画面には、クレープの生地に、乗せるクリームを選び、果物を選ぶという案が打ち込まれていた。
「皆さんの案をまとめてみました。」
利久さんがドヤ顔で言って来た。
「いい案、何だけどね~。どうもクレープってこってり甘いイメージな気がするのよね。」
鈴原さんはクレープのイメージを言う。
そして、甘い物が嫌いな旦那は、クレープと聞いただけで、見向きもしないかもしれない事を言って来た。
「クレープの他にも・・・土台となる物を・・・選んでもらう・・のは・・・どうでしょうか・・・。」
村重さんの一言で、その場が一瞬止まる。
次の瞬間。
「利久さん、アイスのコーンのレシピ、インターネットに載っているかしら?」
「最中の皮もあったらいいと思いませんか?」
鈴原さん、九鬼さんが、利久さんにレシピを探すように言う。
「甘いのを増やすのはいけないと思うのですが、カスタードクリームもクリームに足しませんか?」
伊部さんが言うと、皆、伊部さんの方を見て、目を輝かせ、目でOKのサインを出す。
「カスタードクリームを入れるなら、シュークリームの皮も作らね?」
「作るわよ!」
鈴原さんは、当然のように井達さんに突っ込みを入れる。
「あの、果物の他に、白玉、求肥、寒天も入れてみませんか?」
はい、0Kのようです。
こうして、夕涼み会のデザートが決まった。
そして、夕涼み会の当日になった。




