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ただ、愛おしく・・・

 20歳の誕生日のお祝いをして貰った時間は、あっという間に終わってしまった。

 エリック様とヴァネッサ様以外は、諸々の城や屋敷へと帰って行った。

 私は自室のバルコニーに来ていたカルデネを撫でていた。

 ”キュ、キュー、キュー”

と、何か言いたげに鳴いているけど、その内容は、理解してあげられないのね。

 ごめんね、カルデネ。


 「サーシャ、そのような所で風邪をひくだろう!」

 ヘンリー様がバルコニーに現われ、私の腕を掴み部屋の中へと連れていかれる。

 「カルデネは、雨がパラパラ降り始めているから、部屋に戻ってと、言っていたんだぞ」

 さっきの鳴き声は、そんな事を言っていたのね。

 「カルデネが、鳴いているしかわからなかったわ・・・でも、ありがとうカルデネ。」

 私は、窓からカルデネにお礼を伝える。

 するとカルデネはバルコニーから、近くのドラゴンの待機所の建物へと向かって飛んで行った。

 ヘンリー様に促されて、ソファーへと座る。

 「サーシャ。ハミッシュ陛下とカリスタ様と3人で、折り入った話しをしただろう。その後から、おかしい感じがするのだが何があったんだ?」

 私の隣に座り、私の手を取るヘンリー様。

 「・・・べ」

 「別に何もないは受付けない。」

 言おうとしている一言を、先に受け付けないという言葉で返された。


 私は、姉さまの捜索部隊が編成された事を伝える。

 「私は、姉に会うのが怖いのです。姉さまと関りあいたくないのに、こちらから関りを持ちに行くなんて・・・。」

 今の幸せを脅かす存在でしかない姉さま。

 「いっそ・・・いっそ・・・。」

 次の言おうとしている言葉がでなかった。

 「死んでいてくれたら・・・か?」

 ヘンリー様が、言葉の続きを述べてくれる。

 私は、頭を上下に動かす。

 そして、自分の醜さに涙した。

 「なんて、醜い人間なんだろう・・・・私が、こんなに醜く、穢らしい人間だなんて・・・これじゃあ、姉さまと・・・・変わらない。」

 「それは違う!!」

 ヘンリー様は、私の腕を引き寄せ私を抱きしめる。

 私は、ヘンリー様の腕の中でもがきだす。

 「やめてください・・・ヘンリー様に、かばって貰おうとするのも醜く過ぎる表れです!」

 次の瞬間、ヘンリー様に押し倒され、濃厚なキスをされる。

 これまでヘンリー様と何度もキスをしてきて、キスをしながら息をするのも出来ていたはずなのに、息が詰まる。

 「ふはぁ~!!」

と、唇が離れると息を吐きだし、荒々しく息継ぎをしだす。

 「ヘンリー様・・・私に騙されないでください。私は、例え新生であってもクラウンコッパー家の人間です。断絶した旧クラウンコッパー家の血を、少なからず引いていてもおかしくないのです。」

 「それが、どうした。それでもサーシャは、サーシャだろう。」

 再び、息も出来ないキスをされる。

 「ふあっ・・・でも・・私は・・・穢らしい人間です。」

 「俺がサーシャを穢したというなら、その通りだ。サーシャの処女を貰ったのだからな。」

 私は、首を左右に振る。

 「言っている意味が違います。私が言っているのは人間性です。」

 「なら、なおの事違うだろう!!」

 ”ぐわーっ”

 ヘンリー様は起き上がり、私を引き寄せ抱きしめる。

 「愛おしい。」

 優しく囁かれた言葉に、私はホッとしてしまった。

 「サーシャを愛している気持ちが、どんどん大きくなっているのだが・・・。」

 ヘンリー様は、私を抱きしまたままで、私のこめかみ付近にキスをする。

 「な、何で、ヘンリー様は、盲目過ぎているわよ・・・。」

 涙を流しながらヘンリー様を抱きつく。

 ヘンリー様の強さと優しさが伝わってくる気がした。

 「サーシャは、人の不幸を喜ぶ人間ではない。ロゼリスと関わる事で、周りの者も不幸にすると思い、手が出せないでいたのだろう。これまで、それだけ酷い仕打ちをされていたのだ。」

 ヘンリー様は私の顔を包み込み、親指で私の涙を拭ってくれる。

 「それを、たった一人で、耐え忍び生きていた。その様なサーシャを守りたいし、甘やかしたいし・・・頼られたい。」

 ヘンリー様は、私の唇に優しくキスをする。

 「愛おしいと、思わずにはいられないのだ。」

 涙が止めどなく溢れる。

 その涙に、ヘンリー様がキスをする。

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