同意が取れました。
若干の頬に熱がある中、ソファーに座る。
ヘンリー様に片手を握られている為、どうしても、頬の熱が下がってくれない。
手を離そうとしても、握られた手を放してくれないどころか、お色気オーラで攻撃をしてきます。
座りながら腰くだけそうです。
「ふふっ、ヘンリー様の奥方がサーシャ様で良かったです。」
と、セラ様が微笑みながら言う。
「いや、ま・・・。」
まだ、結婚してませんと、言おうとしたが、ヘンリー様に握られた手がきつく締めてきたため、言葉を止めた。
だって・・・止めないとキスするオーラだよコレ。
私は、若干というか、微妙に体をヘンリー様から引く。
それを見て、セラ様の微笑が笑いに変わる。
「仏頂面のヘンリー様が、相手が引いているにも関わらず・・ククッ・・溺愛っぷりを炸裂するとは・クッ・・誰も想像できなかったわ。」
笑いを堪えながらセラ様が言い、笑いながら出してしまった涙を拭く。
そして、きっちりと姿勢を正して私の方を見る。
「アジュムの件。引き受けざるおえないにも関わらず、このような事をして頂きありがとうございます。」
セラ様は丁寧に頭を下げる。
私は、一瞬目を見開いたが、座りなおしセラ様を見る。
「アジュムの事で、一年に一回でもいいので、会合を開きたいと思っているのです。」
アジュムの運用の仕方で、場所を与えるだけのような気がした。
そうでない場所もあると思う。
でも、それがどこだかわからない。
だから、話合いの場を設けて、よりよい施設にしていきかないとならない。
そのためには、公爵家のわだかまりを解消していた方がいいに決まっている。
その事をセラ様に言うと、再び頭を下げられてしまった。
「おぼろ昆布の刃は、キンバーライトで製作するのではなく、クローライトで注文するように、目を光らせますね。」
私は、お礼を言った。
「もし、キンバーライトで刃が作れますから・・なんて言ったら、おぼろ昆布に適さない昆布で作れる、とろろ昆布の製造方法を将来教えないというところでした。」
”きらりんっ”
セラ様の目が光った。
「とろろ昆布とは?」
「とろろ昆布ですよ!」
まだ、おぼろ昆布の製作所も作ってないのにし、両領土が仲良くなってもないのに、教えるわけないわ。
将来、楽しみに取って置く製造方法です。
「えーー!!」
元、商人らしい不満な声を挙げた。
「楽しみに取って置くモノですよ。」
私は、微笑みを見せると、そのうちセラ様も微笑んでくれた。
仕方ないと思ってくれたようだ。
こうして、アジュムの管理運用の件は、王太子妃と全ての公爵夫人の協力を得る事になった。
◇ ◇ ◇
ルベライトの屋敷に帰って来て、ヘンリー様は仕事があるため書斎へと向かう。
私は、自分の部屋へ戻る。
ソファーに座り、片手程の大きさの箱を開ける。
セラ様が、私にお土産だと渡してくれた物だ。
リボンを解き、包装紙を剥がし、箱を開ける
”ふわ~んっ”
と、箱を開けると同時にビックリ箱のように中から布が溢れでた。
「・・・・この布の感じ。」
私は、布を両方の指で持ち上げる。
やはり、薄い生地。
レースもふんだんに使っているにも関わらず透けて見える。
「ベビードー・・・いや、意味のないネグリジェ。」
そうよ、意味のないネグリジェ、意味なしナイトドレスでも可。
こんな物を頂いても使えないわよ・・・使ってはいけない物。
・・・?
「これ・・・どうやって着るの?」
通常では、前にリボンか、脇にリボンだが・・・後ろにリボンが行くような気がする。
背中に結び目があるのは、痛い気がするのだけど・・・どうして?
「まあ、いいか。所詮使えない物だから・・。」
私は、フィオナに頼んで、タンスの奥にしまって貰った。
「これ以上、使えないネグリジェが貯まるとなると、使えないネグリジェ専用の鍵のかかる引き出しを作るべきかしら・・・。」
パンツの他にも鍵のかかる引き出しが増えるなんて、厄介だわね。
「サーシャ様。今回、サーシャ様の言うように下着の入っている棚に鍵は付けましたが・・・。」
フィオナが困ったように言ってくる。
私は、どうしたのかと声をかけると。
「サーシャ様、お気づきですか?」
・・・?
「サーシャ様の部屋に、ヘンリー様の服も置いてあるように、ヘンリー様の部屋にも、サーシャ様の服が置いてあることを・・・。」
それって・・・つまり。
私の顔が青ざめていくことが分かる。
「ヘンリー様の部屋に、しっかり置いてありますよ。サーシャ様の下着が・・・。」
「その引き出しにも鍵を付けて!!」
「無理ですよ!!」
と、即答でフィオナが答えた。