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遠慮なき約束

 「ラスキンさん。実は・・・頼みたいことがございます。」

 私は緊張しながら言葉をかける。

 「何でしょうか?」

 ラスキンさんは、気を引き締めるように椅子に座りなおしてから私の方を見る。

 「ラスキンさんのお姉さまであるセラ様に、会わせて頂きたいのです。」

 ラスキンさんは目を見開き驚きの顔を見せる。

 しばらく時が止まったような雰囲気となった。

 「・・・サーシャ様。」

と、ラスキンさんは眼鏡のブリッチを指で上げる。

 私は、恐るおそる返事をした。

 「今回のおぼろ昆布を作ろうと思ったのは、姉に会いたいからですか?」

 「はい。」

 私は、真剣に言う。

 「そんな事しなくても、会えるはずでしょうに・・・。」

 「それでは、溝があるままなです。」

 私が、ヘンリー様の婚約を披露した王主催の舞踏会、ライ様がアマルテアと絆を結べたあの日。

 本当は、あの会場でいろんな方々を紹介して貰う手筈だった。

 でも、それはライ様がクローライト家の快挙と呼べる事。私も涙でボロボロだったので先送りになり、そのまま現在となってしまったのだ。

 「本来なら、私が挨拶をすべきでしたので申し訳なく、ご不快な思いをしているのではないかと思いまして・・・。」

 「姉は、会えなかった事を残念に思っただけで、不快には思ってませんよ。サーシャ様と繋がりを持ちたいと思っています。」

 私は、ライナスさんの言っている事が本当なのか聞き返してしまった。

 「姉は元商人ですよ。こんな宝のような知恵を持った人と繋がりを持ちたいと思わない方がおかしい。」

 セラ様は、ホレス様が、私を殺そうとした事を、息子の嫁として気にして、セラ様から声をかける事を躊躇っている事を教えてくれた。

 「あ~・・・よかった。」

 私はホッと肩に荷を下ろす。

 「会いに行ってもいいのですね。」

 「もちろんです。王都のキンバーライトの屋敷に来ています。明日会いに行ってあげてください。」

 私は、目をキョトンとする。

 「明日は、何か予定が入っているのですか?」

 私は、キョトンとしたまま首を左右に振る。

 てっきり、会いに行くのは来週と思っていたからだ。

 「では、この後、私はキンバーライトの屋敷へ行って伝えてきますがいいですか?」

 「はい・・・はい。お願いします!」

 私は、満面の笑みで答えた。

 

 こうして明日、ヘンリー様と一緒にキンバーライトの屋敷へ向かう事になった。



 夜となった。

 私は、クローゼットルームに入り、明日の着ていく服を見ていた。

 アジュムの件をお願いしに行くのだから、きっちりとした感じの服か、これまでの溝を埋め、仲良くなりたいので、柔らかい感じの服にするか・・・清楚な感じの服もいいよな~。

 知的な感じに見せたいわね~。

 ああ・・・どうしよ~、こうも服が多いと、どれを選べばいいのか分からなくなる。

 贅沢な悩みを・・私は今、しています。

 明日が、楽しみ!

 「サーシャ。」

と、ヘンリー様の声がしたので振り向く。

 「ヘンリー様。明日の服装どうしましょう。」

 この際、ヘンリー様に決めて貰おうかしら?

 待てよ。

 明日の服装をヘンリー様が決めてくれたら、ヘンリー様もその服に合わせて色を合わせてくれたり・・・。

 それって、良くない?

 私は、素直にお揃いの色の服を着たいことを言う。

 ヘンリー様は何も言わずに服を見てくれる。

 「うん、これがいいな」

と、出してくれたのは、襟付きのピンクに近い紫色の優しい色合いのワンピースだった。

 「ヘンリー様もこの色の服をお持ちなのですね。」

 ヘンリー様は、『そうだ。』と、言って。クローゼットルームの奥へと行く。

 身に着ける、装飾品も選んでくれるのかしら?

 私は、真剣そうな雰囲気が伝わって来たので、そのままで待っていた。

 引き出しを開ける。

 「・・・・・。」

 ヘンリー様は開けた引き出しを見て、すぐに別の引き出しを開ける。

 「あった。」

 ボソッとヘンリー様が言い、真剣に引き出しの中を見ている。

 そこらへんの棚って・・・・。

 もしかして・・・・。

 「明日の下着はこれ。」

と、薄いピンク色の、フリルの付いたパンツを渡される。

 「な、何って物まで選んで・・選んでいるんですか!」

 今、白い下着を着ているのだから、ピンクなんて・・・・。

 「あっ」

 私は思わず声を出してしまった。

 新しい下着にしないとならない事を約束していたわ。

 「明日の事もありますし・・・今日は、ゆっくり・・休みましょう。」

 ”ヒョイッ”

と、ヘンリー様は私をお姫様抱っこをする。

 「私、歩けますから降ろしてください!」

 「一緒に歩んでくれないのに降ろせると思う?」

 えっと・・・どういう事でしょうか?

 私は首を傾け考える。

 「夫婦の歩みをゆっくり歩んでいこうな。」

 「まだ、私たちは正式な夫婦ではありませんから、歩むも何もありません。」

 そういうとヘンリー様は降ろしてくれた。

 ・・・よかった。

 「持っている物。椅子の上に置いて。」

 あっ、はい、はい。

 私は、ヘンリー様に言わた通りに、明日着る服と、ピンクの下着を置く。

 ”ヒョイッ”

と、再び姫抱っこをされる。

 「ですから、歩けますって!!」

 「サーシャが遠慮すると、ここでするよ。」

 何をですか!!!

 遠慮とかの問題ですか?!

 

 それ以上、言葉が出なくなり、口をパクパクするしかなかった。

 

 ベッドまで、後少しという理解しか出来ないのですが・・・。

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