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鎮魂の葉

 「ユピテル、ここに来い!」

 ハミッシュ陛下は、チャペルの外、ドラゴンの大樹へ続くバージンロードの前の屋根のある広場にきた。

 先ほどドラゴンの大樹を見た際は、まんべんなく大地に金の葉が刺さっていたが、一部消えていて、そこの部分が半円のドーム状にキラキラと金色に光っている箇所があった。

 大きさは、大地に刺さっている葉から推測すると1メートル半ぐらい。

 「小さいな。幼いドラゴンが亡くなったようだ。」

 ハミッシュ陛下が、キラキラ光る半円のドームの大きさを見て言った。

 カリスタ様が、あのドーム状の所に、これから運ばれてくるドラゴンが安置される場所だと答えてくれた。

 ”シューン どーーん”

と、青いドラゴンが広場に降りてくる。

 青いドラゴンは、私、ハミッシュ陛下、カリスタ様を守るように体は私たち3人の後ろに座り、しっぽは3人の前でくるむような体制になる。

 しっぽはシュッとなっているサイドから小さな角が数本出ていた。

 青い雄のドラゴンだ。

 ドラゴンの瞳は金色をしている。

 「ユピテルですね。」

 ハミッシュ陛下はユピテルの体を撫でながら、そうだと答えてくれた。

 「始めましてユピテル。私はサーシャ・カーネリアンです。」

 丁寧にあいさつをする。

 ”ギュウ”

と、答えてくれた。

 「ユピテルは、知っているのですか椋梨翔英のことは?」

 知っていて、他の者には内緒にしてもらっているようだ。

 「そういえば、何故、私が前世持ちだと分かったのですか?」

 「GPSとBL界か、外の国独自の言葉を発していたとデリック先生が言っていたからな。」

 はい、発していました。

 ごまかしを入れていたのに、覚えているんだね。

 年の甲ってやつかしら、そうなると敵うわけないから気を付けないとな・・・。

 「だが、BLという言葉には驚いた。どのように発したのか確認をしに、港町シャーマに抜き打ち視察と称して行ったからな。」

 BLという言葉でそこまでしたのかい。


 カリスタ様が言葉の意味を聞いてきたので、ハミッシュ陛下が答えると、カリスタ様の顔が固まったように見えた。


 ”ギュウ ギュルルル”

 ユピテルが右の方南側に首を向け鳴く。

 「来るようだ。2人とも、もう少しこちらへ来なさい。」

 ハミッシュ陛下がそういい、私とカリスタ様はハミッシュ陛下に近づく。


 ”シャララララッシャララララッ”

 ウィンドチャイムのような音色が聞こえてくる。

 私は、音色の方へ向く。先ほどユピテルが向いた南の方角だ。

 「っ!?」

 私は口に手をやる。

 「病気でなく、圧死によるものか・・・。」

 透明な球体の中に、肉の塊に近いドラゴンが入っていた。その球体の周りを、金色の紅葉の形をしたドラゴンの大樹の葉が、球体を包み込むように舞っている。

 球体がキラキラ光る半円のドームに入ると球体は消える。

 ”シャララランッシャララランッシャララランッ”

 ドラゴンの大樹から、水琴鈴のような音色を立て、次々と金の紅葉の形をした葉が半円ドームを包み隠すように出てくる。

 ”ボ―――ンッボ―――ンッボ―――ンッボ―――ンっ”

 金色の紅葉の形の葉が、半円ドームを包み隠すように覆うと今度は金の柳の葉の形の葉が半円のドームの周りに、地面と垂直に刺さる。

 4本・・・8本・・・12本。

 計12本の葉が刺さる。

 ”ズーーーーッ”

と、柳の葉がどんどん短くなる。

 半円のドームもどんどん小さくなっていく。

 半円ドームが消え、柳の葉も消える。2つとも地面に消えたのだ。

 残ったのは、金色の紅葉の形の葉だけとなった。    

 ハミッシュ陛下、カリスタ様も、唾をのみ込み警戒をしている。

 ユピテルも真剣な表情をしていた。

 ”ぽわ――”

と、金色の紅葉の葉がほのかに光りだす。

 ”ぱーーーーんっ”

と、いきなり金色の紅葉の葉が弾けるように飛び散る。

 「ユピテル!」

 ”ブワ~”

と、ユピテルは口から火を吐き、弾け飛んできた葉を燃やし消し去る。

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