遅めの朝食には・・・
「遅くなって申し訳ございません。」
ヘンリー様と私は、エリック様とヴァネッサ様のいる食卓へと入る。
2人は、自分たちの前に食事が並べられているが、まだ手を付けてなく、飲み物である紅茶を飲んでいた。
私たちを待っていたのだ。
「先に食べ始めていていいのに・・・。」
と、ヘンリー様がボソッと2人に言う。
「ヘンリーは3ヶ月間、サーシャに至っては1年以上ルベライト城に帰ってないのよ。」
と、ヴァネッサ様は少しすねた感じに言う。
そんなにも私は、ルベライト城に戻っていなかったんだ。
でも、ヘンリー様は、私が学園へ行っている時も、城へ帰っていないとは・・・それは、ヴァネッサさんが拗ねるわね。
ヘンリー様と私の前に食事が並べられ始める。
「食事の時ぐらいしか、じっくりと話す機会がなさそうだしね。」
エリック様の発言に、ヴァネッサ様が同意するように『そうよ、そうよ。』と、言葉を発する。
「ヘンリー様。平日はルベライト城へ戻られても、よろしいのではないですか?」
私は、ヘンリー様に問いかけながら、ルベライト城へ帰らない理由を聞きだす。
「学園からの急な呼び出しがくるだろう。すぐに駆け付けられるように王都の屋敷に待機をしているだ。」
”ピクッ”
と、私はこめかみが引きつる感じを覚える。
「それって、私が学園で問題を起こす前提に聞こえるのですが・・・。」
「そのように聞こえてしまっているのなら、元々、俺の妻として学園に入学して欲しかったな。」
ヘンリー様は、私がヘンリー様の婚約者だと、学園の生徒たちに気づかれ、ひと騒動起きる事を想定しているようだ。
その際、すぐに対処できるように王都の屋敷にいるとヘンリー様は説明してくれた。
・・・・それが、ヘンリー様。
「ヘンリー様。一応確認しておきますが、私の後見人はキャサリン様です。ですから、ヘンリー様が駆け付けるような事は・・・。」
「あるだろう。」
ヘンリー様がビシッと言う。
「そんなに俺は冷たい人間と思われているとは・・・・。」
いや、思っていません。
私は何か勘違いをしている事をヘンリー様の伝える。
まずは、後継人のキャサリン様が学園に来て、ヘンリー様はそれからって言いたいのよ。
「早く駆け付ければ、それだけサーシャと一緒にいられるだろう。」
・・・・え?
私はヘンリー様の発言に驚き、ヘンリー様のいる横へ顔を向ける。
ヘンリー様の顔はいつものように仏頂面なのだが、やたらと目だけがギラッとしていた。
「ヘンリー。あなたサーシャを独占しすぎだと、わからない?」
そうだ!そうだ!!
ヴァネッサ様のいう通り!
「だから、サーシャが疲れた顔をしているのでしょう。」
・・・・え!?
私は、ヴァネッサ様の方を向く。
微笑みの中に微妙にしてやったりというドヤ顔を浮かべている。
その顔で、私は一気に顔を赤くする。
「えっと・・・これは・・その・・・昨夜、ここに帰ってくる間、涙を流しまして・・・・。」
涙を流す?
その理由を説明しないと、変な想像させるでしょう!
さらに顔を真っ赤にする私。
前世でのやかんのお湯が沸騰した際の”ピーーーッ”て、音が効果音で出ているように、顔が赤く熱くなっていく。
「えっと・・涙の意味は、カルデネのことで・・・ありまして・・・・ですから、これはその・・・。」
私は、慌てていろんなところに目を動かしていた。
エリック様とヴァネッサ様は微笑ましいかをで私を見ている。
何故、そのような目で私を見るの?
尚更恥ずかしいじゃないの!!
”チュッ”
・・・・!?
私は、頬の感触で一瞬思考回路が止まる。
「サーシャ。そんな可愛い顔を親たちに見せなくていいから。」
ヘンリー様が私に伝える。
でも、思考がまだ順調に動いてません。
ヘンリー様が席を立ちあがりました。
・・・はい。
ヘンリー様は私の頬を取り、自分の方へと顔を向かせました。
・・・はい。
ヘンリー様の顔が近づいてきます。
・・・え?
”チュッ”
「な、何するんですか!!」
思考回復完了。
エリック様とヴァネッサ様が見ている前で、頬のみならず口にまでキスしないで!!
再び、思考がおかしくなりそうです。
「サーシャが可愛いからキスした。」
ケロッと、だが、当然のな口ぶりでヘンリー様が言った。
いや・・・いっそ思考がおかしくなった方が楽だろうか・・・。




