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夜食

 ”グルルルル・・・”

 ”キュルル・・”

 まあ、互いにお腹が減りますよね。

 ・・・・夕食の時間を過ぎていますから。

 ヘンリー様と私は、2人してお腹を鳴らしながら体を洗って、バスローブに着替えている。

 ヘンリー様と同じブラウン色で、サイズが私に合わせてあるバスローブである。

 ヘンリー様サイズだと、地面すれすれになるのよね。

 でも、私の部屋に、ヘンリー様にバスローブが普通にあった。

 えっと、これは・・・どういう事でしょうか?

 ヘンリー様の部屋に、私のバスローブがある・・だろうな。

・・・言うまでもないか。

 王侯貴族の家なら、これが普通なのかしらね。

 

 クラウンコッパーの家では・・・父さまのお部屋に、義母の服はあったのかしら?

 ・・・いや、なかったはずだわ。

 だって、ほとんど父さまは、私に添い寝をするため、私の部屋で一緒に寝ていたモノ。

 その、私の部屋に父さまの服は一着もなかった。

 だから、あるはずはない。

 あっても、タンスの肥やしとなっているはず。

 ・・・でも、私には弟がいる。

 それには、そのような行為があったわけであって・・・。

 確かに、添い寝のない日もあったし・・・。

 なら、タンスの肥やし並みだが、父さまの部屋、義母の部屋には、それぞれの服が合ったのかしら?

  

 ・・・・う~ん。

 明日にでも、マリーに聞けば真相がわかるか。


 「先に着替え終わったから、夜食を頼んでくるよ。」

 ヘンリー様が脱衣所から出て行こうとする。

 「待ってください!」

 私は、学園の食堂でお昼の時に詰めたお弁当が、鞄の中にある事を伝える。

 「学食の食事か・・・・。」

 ヘンリー様は何かを思い出すように言いながら、私の方へと来る。


 私は鞄を持って脱衣所をヘンリー様と一緒にでる。

 部屋へ入ってすぐにカートが置いてあり、水と軽く夜食が用意されていた。

 「お腹空いているから、両方とも食べられるんじゃないか。」

と、いう事で、城で用意してくれた夜食とお弁当を、ソファーのテーブルに一緒に並べる。

 並べ終わると、隣同士にソファーに座る。

 「いただきます。」

と、私は手を合わせて言うと、ヘンリー様も同じように言ってくれた。

 そして、ヘンリー様は、弁当を開ける。

 「?」

 ヘンリー様は、目をパチクリしている。

 「クスッ、柿の葉です。」

 弁当を開けて、葉っぱがおおわれて全体的に緑色だものね。

 普通は驚くわ。

 「柿の葉には防腐作用があるのですよ。」

 前世で、柿の葉寿司という押し寿司がある。

 柿の葉で寿司を包むことで、季節などにもよるけど数日は保存できるようになると言われている。

 「柿の葉に、そのような効果があるとは知らなかったな。」

 私も、弁当を一度詰めたが、弁当の横にある柿の葉に気づき再度詰めなおしたのだ。

 ふと、思い出した前世の知恵袋のようなモノ。

 「俺が、学生の時はなかったな。」

 ああ、確かに、ゲームの内容からも、スチルのイラストからも、柿の葉を使ったような形跡はなかった。

 「いつから、使われるようになったか、学園に帰ったら聞いてみますね。」

 ヘンリー様は、別にいいよとは言ったモノの、私が知りたくなった。

 きっと、ラスキンさんが柿の葉を仕入れているはずだから、聞いてみよ。

 「うん、柿の葉の移り香がおにぎりの風味を引き立たせているな。」

 ヘンリー様はおにぎりを一口食べて感想を述べてくれた。

 押し寿司もその香がポイントとなっているんだよね。

 ・・・ちょっと待ってよ。

 私、サンドイッチにも、それも一つ一つ包んだぞ。

 つまり、香りがパンに移ってる。

 ・・・パンとの相性大丈夫かな?

 私は、変な物をヘンリー様に食べさせられないと、柿の葉にくるまれたサンドイッチを食べた。

 うん、森のキャンプで食べるサンドイッチ。

 ・・・そんな、サンドイッチだった。

 食事を終えてカートに食器を片付けだす。


 そういえば、カルデネは大丈夫かな。

 「ヘンリー様。カルデネはどうしていますか?」

 私が聞くと、少し俯き、心ここにあらずな感じになる。

 ドラゴンと通信をしているようだ。

 「うん、温泉から出て、新しい包帯を巻いて貰って、休むところだよ。」」

 リュヌの銀のおかげで、眠れそうな事をジジイ様が伝えてきたことを説明してくれた。

 ・・・よかったわ。


 「ヘンリー様。カルデネの事・・いえ、アジュムの施設の事で聞いていただきたい事があります。」

 私は、食器を片付けると、ヘンリー様の座っている向かい側に座ってから言った。

 

 

 

 

 

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