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温まる・・・には、いろいろある。

 ここが私の部屋・・・の、脱衣所。

 白とこげ茶で統一された空間。

 正に、ラグジュアリーという言葉が当てはまる空間となっている。


 ヘンリー様の脱衣所は黒と白、灰色で、黒い色の割合が多め。

 ラグジュアリーの中に重厚感まであるんだよね・・・。

 でも、この・・私の部屋の脱衣所は、白の割合の方が多く、若干爽やかな感じもあるので、受け入れられる・・かもしれない。


 そのね・・・これが、露天風呂やプールなどの共用スペースならすんなり受け入れられるのよ。 

 もしくは、個室の露天風呂などのこじんまりしたモノなら・・・。

 でも、これは・・・団体で使用する温泉並みの大きさが個人使用って、どうなのよ。

 それも、客室の部屋の温泉よりも広い感じがするわ。

 ・・・・おもてなし精神が、なっていないのではない?

 

 私は、温泉に入る前に体を洗う。

 ・・・蛇口5つ・・・もちろんシャワーヘッド付き

 使用人の人と一緒に入るためにあるのかしら?

 いつか、マリーにフィオナさん、それとデボラさんと一緒に入りたいわね。


 私は体を洗い温泉に入る。

 そしてすぐに滝の方へと向かう。

 体がガチガチになっているのをほぐす為には打たせ湯がいいわ。

 滝行チックなスタイルにはなるけど、肩や背中にいい刺激となって、結構が良くなるし、問題ない。

 ”ザザザザザ”

 

 ・・・・カルデネの事。

 いや、カルデネだけじゃないわ。無理やり絆を結ばせられたドラゴンの事。

 他のアジュムの施設でも同様な事が起きているのかしら・・・。


 元々アジュムは、絆を結び先に人間が逝ってしまっドラゴンの為の施設。

 再度、別の人を絆を結ぶために設けた場所。


 ドラゴンと絆を結ぶにあたって、人間側は年齢が関わってくるのよね。


 30歳


 それを越えてドラゴンと絆を結んでも、寿命は延びるという事はないに近い。


 ライ様のお父上であるヴィンセント様は、現在41歳。

 ヴィンセント様がドラゴンと絆を結べたとしても、寿命は延びない。

 ただ、見た目が若いままでいられるのと、鎖骨と胸の間に絆の証が記されるだけ。

 ヴィンセント様がドラゴンと絆を結び、妻を再び娶り、その妻が伴侶の絆を結べたとしても、見た目の年齢が保たれるだけで、寿命が延びる事はない。

 だから、ヴィンセントさまがドラゴンと絆を結ぼうと努力される事はないだろうな。

 綺麗な女性と再婚して・・・美しく若いままでいて欲しいとヴィンセント様が思えば、別なのだろうけど・・・。

 

 まあ、ドラゴンと絆を結びたい理由で、美しさと若さを保ちたいからは、一般的でなく邪道な絆を結びたい理由なのだが・・・。


 一般的には、力持ちのドラゴンに、力仕事を手伝って貰うために絆を結ぶ事がある。

 畑作業を手伝って貰うとか、積み荷の輸送に関しては、護衛も兼ね揃えているので、ドラゴンと絆を結んでいる人が多い。

 後は、普通に郵便配達。馬よりも断然早いからね。

 

 でも、カルデネはアジュムにいても、再度絆を結ぶことは出来ない。

 ラリマー侯爵が亡くならない限り。


 ・・・何とかしてあげたいな~。

 いや、ここは何となしないとならない分類だわ。

 

 私のここには、伴侶の絆の紋章がある。

 その、責任は・・・重い。

 

 ・・・・今度は、故郷のイリス帝国のように、より良くするために多くの犠牲を出す事がないようにしなくちゃ。


 ”ガバッ”

 「っ?!!」

 いきなり後ろから抱きしめられる。

 ”ザザザンッ ザザザンッ”

 「うぐっ・・・んんっ」

 な、な、何が・・・・何で・・キスされているの?

 後ろにのけぞらされ、滝に打たれながらのキス。

 「んんんん!!!」

 鼻に・・鼻に・・水が入った!!

 それは、そうよね。いくら目の前の顔があっても、顔面から滝に打たれているようなモノなのだから、水が鼻に入るわよ。

 私は、痛みから体を藻掻くと、後ろに引きずられる。

 

 後ろって、滝の中なんですが?!


”ドサッ”


 ・・・・・・。


 「へ、ヘンリー様・・・?」

 私の目の前には、ヘンリー様の顔がある。

 正しくは・・・私の上で四つん這いの体勢です。

 お色気臭満載の顔・・・。

 えっと・・・私、何も着ていません。

 現在進行形で温泉入ってますから・・・当然ですよね・・・。

 「・・・サーシャ。」

 顔が~!!

 ヘンリー様の顔が、こちらに向かって来ます。

 私は、ヘンリー様の顔から逃げるように、周りを見回しだす。

 「ここ・・どこですか?」

 ・・・・うん、薄暗い部屋なのはわかる。

 しっかり滝の音もする。

 「サーシャの部屋の滝の裏側だよ。俺の部屋の滝の裏側と繋がっている。」

 ヘンリー様は、私の頭上を指さす。

 私は、首をひねり頭上を見ると、滝の裏側が見えた。

 「いわばこの部屋、秘密の部屋だよ。」

 薄暗い部屋ではあるが、下からのライトが大人っぽい雰囲気の部屋となっている。

 大人っぽい・・・平常時ならと付けておくべき事項だった。

 この状況下は違う雰囲気を醸し出している。

 「なんで・・・こんな所に・・お部屋・・・・・なんて、あるのですか?」

 半分、気づいている・・・だが、しかしな気分が私の心を覆っているので、遠慮なく聞く。

 「サーシャ。寝心地はどう?」

 質問を質問で返されたよ。

 キングサイズのサンベッドに押し倒されている心地の感想を言えと?

 

 無理で~す。


 「えっと・・・私・・風邪を引きやすいので、温泉に浸かって温まりたいのですが・・・・。」

 「俺で温まってもいいんだけど・・・。そちらをお勧するために、俺はこの格好なんだけど・・・。」

 ヘンリー様・・・服を着ましょう。

 「温泉で温まるように、エリック様に言われていますし・・・。」

 一瞬むすっとしたような顔をヘンリー様がしたが、すぐに顔色が変わった。

 そして、ヘンリー様は私の上から離れる。

 ・・・・良かった。

 ”ヒョイッ”

 私を抱き上げたよ。

 「サーシャは、温泉につかりながらがいいと言うなら、いい場所を知っている。」

 ヘンリー様は、再び滝を潜り、私の部屋の温泉に出て来る。

 「つかりながらって・・・。」

 「つかりながらでも出来る場所だよ。」

 ズカズカと温泉の中を私を抱きかかえ歩くヘンリー様。

 「湯あたりをしてしまいます!!」

 ヘンリー様は、クスクスと笑いなら、聞く耳を持たなかった。

 「サーシャ。ルベライト公爵である父上よりも、次期公爵である俺の部屋の温泉の方が面積が広いって知っている?」

 私は首を左右に知る。

 公爵よりも広いのは問題だろう。

 「子孫繁栄を願ってのことなんだよ。」

 「っ!?」

 ヘンリー様は、私を降ろす。

 その場所は、温泉の浅瀬に私を降ろす。

 「これまで、温泉の広さを厄介に思っていたが・・・サーシャがいるだけでこうも変わるんだな。」

 変わらなくてもいい・・・って、思ってもいいですか?

 「ここの他にもいろいろとあるから楽しみだな~。」

 「まずは、一つでお願いします!!一気に巡るのはもったいないですっ!」

 ・・・・あっ!

 「了解。」

 了解しないで!!

 納得しないで!!

 迫ってこないで!!


 今さら・・遅いよね~。

 ああ・・・・。


 こうして、私は・・ヘンリー様でいっぱいになった。

 

 


 

  



 

 

 


 

 

 

 


 

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