チョットひと休みにて・・・
カリスタ様が、ハーブティーを用意してくださった。
ラベンダーの香りの他にも、さわやかな香りのハーブがブレンドされていて心を落ち着かせてくれた。
本当に落ち着くハーブティーで先ほど、ハミッシュ陛下に軽く叱られたことを消し去ってくれた。
・・・・どこまで話をしてくれてたんだっけ?
そこまで、忘れてしまった私であった。
私は、ハミッシュ陛下を見て、話しの続きの催促をする。
ねえねえ、ハミッシュ陛下、あなた様も、どこまで話したか忘れてしまていたりして。
ハーブティーの香りを楽しんでいるように見えるけど、目だけが至るところを見回していまっせ。
「クスッ、リオン様が亡くなられてから、長い間、ドラゴンが伴侶の絆を結ばなくなったのですよね。」
カリスタ様が、ハミッシュ陛下の話の続き貰い受けたように話し出す。
さすがは夫婦だね。
「リオン様が亡くなってから25年後に私は生まれました。」
その頃はまだ、ドラゴンが伴侶の絆を結ばない絶賛執行中だった。
赤の公爵ルベライト家に明るさもなく、祖母と両親に過去の領地の明るさを懐かしむ話をよく聞かされていたようだった。
「カリスタ様は赤のルベライト領の出身者なのですね。」
私が、質問すると微笑み、チューラの町の出身と言ってくれた。
・・・チューラの町。
どこかで聞いたような・・・どこで?
チューラの町は、ルベライト領の領都ルベルタと、王都を結ぶ中間地点の町。
そこまでわかっていながら、何故思い出さないのだ?
「ルベライト領には、『クッキー祭』という祭りがあるのだが。そのクッキー祭りを催すきっかけになった者が、カリスタのご先祖にいる。」
ハミッシュ陛下ありがとう。思い出したよ。
「ルベライト公爵の誕生日に、クッキーを手ずから差し上げた、チューラの町の少女!」
「・・・の、子孫です。クスッ」
カリスタが、満面の笑みで答えてくれた。
「公式小説で、その話が出ていたか・・・。ゲームはやったが、公式小説まで俺見てないからな・・・。妹が見ていたあの本の価値が、これほどになるとはな・・・。」
ハミッシュ陛下は少し残念そうに頭をかく。
ハミッシュ陛下の前世には、年の離れた妹がいたようだ。
妹に進められて『ドラフラ』『続・ドラフラ』を強制的にやらされたとか・・・。
ハミッシュ陛下は、肩をすくめ両手を上に向ける。
「俺、エナ・ファルティーの社員だったからな。」
な、何ですと!!
「チームメロティーのメンバーですか?」
「ロードネイションチームだ。」
私は、どっとため息をつく。
・・・疲れた。
「なんなんだ、そのため息は・・。」
すみませんね~。
ハミッシュ陛下の前世椋梨翔英は、ゲーム会社エナ・ファルティー株式会社の社員。
その、乙女ゲーム制作チームがチームメロティーなのだ。
ロードネイションチームは戦略型RPGの製作チーム。
そして、妹さんが何故ごり押しで『ドラフラ』『続・ドラフラ』をさせたかの理由が、私には理解できる。
『ドラフラ』『続・ドラフラ』は、チームメロティーが製作したゲームだからである。
「チームメロティーのメンバーでしたら握手を求めていたのですが・・・ロードネイションチームでしたら別にいいです。」
私は、カリスタ様が入れてくれたハーブティーを飲む。
「上から目線の言動だな・・・国王である俺をけなしているように思えるのはなんでだ?」
ハミッシュ陛下のこめかみから血管が浮きだしたような感じだった。
「けなしてなどいません、戦略型RPGのチームなら、隣国ピューゼン王国のやり取りで、大いに役に立っているのではありませんか?戦略方法とか、敵の出かたとか軍事的なことで・・・。」
ハミッシュ陛下はさっきと打って変わってきょとんとした顔になる。
ドラゴニア王国と隣国ピューゼン王国とは仲があまりよくない。
その理由は、約800年前でなく・・約925年程前、ドラゴニア王国の西で、精神破壊に陥り暴れだしたドラゴンが、ピューゼン王国で暴れだしたのが原因だ。
よりによって、ピューゼン王国のドラゴンの大樹まで破壊した、とんでもない出来事である。
それ以来、ピューゼン王国とは仲が悪い。
「今は、ピューゼン王国とは良好な関係になりましたよ。」
カリスタ様が、修繕の言葉を入れてきた。
「何でって・・・フレディ様ですね。」
「ああ・・・戦争のどさくさに紛れて、ピューゼン王国の王女と伴侶の絆を結んだんだよ。今から60数年前の出来事だ。」
ハミッシュ陛下は、簡単に説明を入れてくれた。
「さすがですね。」
「まったくだ。」
私とハミッシュ陛下は、ハーブティーを飲み
二人してため息をついた。
フレディ様の不敵な笑みを思いだしながら・・・。
余談話みたいになってしまった。(笑)