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報われぬドラゴン

 「な、なんてことなの!!?」

 私は自分の目を疑った。

 そこには、傷だらけのドラゴンがいたのだ。

 皮膚が、ただれて炎症している箇所や、一部、傷が化膿して腐ってる部分も見らる。

 先ほど、ドラゴンしか説明を入れていないが、青いドラゴンと思われるのだが、何せ炎症やら、化膿やらで、赤いドラゴンと言ってもおかしくないぐらいに酷い有様のドラゴンなのだ。

 「ドラゴン医師を呼ばないと!」

 ”ドスドスドス”

と、私の声に驚いたのか、ドラゴンは逃げ出し走り出す。

 「今、医者を呼んでくるから止まって!!」

 ”キュオォ・・”

 ドラゴンがかすれた鳴き声をあげる。

 走っていても、追いつきそうな速さだ・・・本当に弱っているんだわ。

 「通訳!!」

 ドラゴンを追いかけながら叫ぶ。

 「いじめるから嫌だって・・・。」

 一緒にドラゴンを追いかけているライ様が通訳をしてくれる。

 「いじめるって、怪我をしているから、痛い思いをするけど、助けたいのよ!!」

 ”キュキュキー”

 「誰も、助けてくれない。放って置けって言われているって・・。」

 「では、私たちが放って置けずに追いかけているのは何故?」

 ”ドスド・・ス・・ドン”

 やっと、止まってくれた。

 私は、ドラゴンの顔に近づき、痛みがなさそうな頬のあたりを優しく触れる。

 「出来る限り痛くないように傷の手当てをするわ。だから、ここで待っていてくれる?」

 ”キュ~”

 「でも・・・・。」

 私は、ライ様の方を見る。

 「ライ様。私に背中を向けて。」

 そう言うと、ライ様は私に背中を向ける。

 私は、作業着の上着のボタンを外す。

 そして、胸の上から鎖骨の間にある金色の文様を見せる。

 「あなたを助けたいと思う気持ちは、この絆に誓えるわ。だから、出来る限りの事をさせて。」

 ”キュオキュキュキュオ~”

 「・・・・・・・・・。」

 ライ様は、しかめっ面になる。

 臭いにやられたのか?

 「通訳して」

 ライ様は、ドラゴンに近づく。

 「すまなかった、こんな事になっているとは思ってもなかった。こんな仕打ちをうけるとは・・・悔しい。」

 ライ様は、ドラゴンに向かって頭を下げる。

 私は、ボタンを掛けなおしながら聞く。

 「カルデネだ。」

 私は大きく目を開けて驚く。


 カルデネ・・・。

 水色の瞳の青いドラゴン。

 盗賊と結託してドラゴンの卵を盗み、ドラゴンと無理やり絆を結ばせる酷いやり方で、ラリマー侯爵と絆を結ぶしかなかったドラゴンだ。

 ラリマー侯爵が捕まった後、アジュムに送ったとしか、知らさせていなかったが・・・。

 このような酷い仕打ちをされていたとは、ラリマー侯爵と絆を結んだ経緯ですら酷い仕打ちだというのに・・・全く報われていない。

 それよりか・・・この傷の数々は危険な気がするわ。

 

 「ライ様・・・医者の他に、学園長に施設長、それに、ハミッシュ陛下を呼んでください。」

 「大父さまも呼ぶ。それに・・エリ・・いや、ヘンリー殿も呼ぶ。」

 ああ、そうか・・・カルデネが傷の手当をしたとしても、その後、祝福のオーラが来るまでの間、傷口の化膿などを抑える必要がある。

 それには、温泉が一番。

 距離から言ってルベライト領の領都ルベルタに連れて行かなくてはならないわ。

 そうなれば、ルベライトの屋敷にいるドラゴン騎士を動かさないとならない。

 ・・・ヘンリー様の力が必要だわ。

 「ライ様。無理やり人と絆を結ばせられたドラゴンの処遇って知ってますか?」

 「アジュム送りになったとしか聞いていない。」

 ライ様もか・・・。

 

 クローライト公爵家の方々の、過労死バロメーター上昇を抑えるため国家鑑定士にマルッと丸投げしたけど・・・。

 それが・・・いけなかったのかしら、だけど、クローライト家にさせるわけにもいかなかったし・・・。

 どのようにしたら良かったのかしら・・・。

 他のドラゴンも・・・同じような仕打ちをされているのかしら。

 「ライ様・・・凄い悔しいですね。」

 「ああ・・・。」 

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