ドリンク
これは・・・過酷だわ。
月曜の午前、それも2時限も使い行う授業ではない。
男性は、武芸の時間となっているのはいいでしょう。
月曜日から元気よく体を動かしてください。
だが、女性は・・・手芸。
月曜の、それも午前中に・・手芸の授業はキツイ。
”ブシュッ”
痛い!!
針が指を攻撃しました。
チクショー
これでも私、手芸は得意なんですよ。
なんたって、前世で、繕い物を親がしてくれませんでしたから、自然と身に付いてしまいまして・・・。
自慢じゃないが、前世の母より上手です。
でも、今やっている刺繍は、何故こうも失敗するのか・・・。
原因は・・・・・睡魔です。
ここで、一言、言わせてください。
ヘンリー様のせいだ!!
私を健康的、健全的に寝かせてください!!
瞼が重い・・・眠い・・・。
”ズブシュッ”
だー・かー・らー・・・痛いの!!
過酷なこの手芸の授業は、一年を通して刺繍の施した大きな作品を制作する。
私は、クッションを作る。
白い布に、白と銀の刺繍糸で模様を仕上げるものと、白と金の刺繍糸で模様を仕上げるもの。
それを3組ずつで、計6個作る予定。
あくまで予定だ。
だって、できなさそうならクッションの数を減らせばいいと、頭の隅で思っているからね。
今のところ・・・睡魔さえなければ出来そうなのだが・・・。
”ズシュッ”
色の変更がありそうだわ。
赤っていう色に・・・。
でも、血染めのクッションってどうよ。
使いたくないよな・・。
手芸の授業は別の曜日にして欲しいよ。
”カーンッ カーンッ カーンッ”
一時限目終了だ~!!
私は、急いで教室を出る。
廊下を走って・・・とはいかない。
早歩き・・でもないよね。
何せ、それなりの速さで向かった先
「いらっしゃいませ、サーシャ様。」
出迎えてくれたのはラスキンさんだった。
私は『一石二鳥以上』に来たのだ。
「栄養ドリンクありますか?」
私は、目を覚ます為に、栄養ドリンクがあるのかを聞いてみる。
何十年ぶりになるんだろうか?
栄養ドリンクなんて、前世以来だよな。
そもそも、この世界に存在しているかの問題のような気がしてきた。
ラスキンさん・・・何故、ウルウルしているのですか?
「サーシャ様の並々ならぬ思いに感服しました。」
・・・はい?
「跡取りの事・・・卒業してからでもよろしいのに・・・。」
何故、そこで跡取りの話になる?
「クリスティーナ様の様に、在学中にも関わらず子が出来てもいいと・・・。」
クリスティーナ様、ついこの間男子を出産しましたが・・・。
「ヴァネッサ様が、長年にわたり二人目を強く希望しているにも関わらず、未だに2人目がいらっしゃいません。」
まあ、それに関しては、いろいろと事情がありますから・・・。
「ですから、しっかり身ごもるために、頼ってくださったのですね。」
・・・ラスキンさんの言っている意味がわかりません。
「サーシャ様の意気込みしかと承りました。」
あ、ありがとうございます・・・で、いいのか?
「サポートをさせてください。」
と、店の中から、持って来てくれた物を私の前に出す。
『モンモンパワー~夜の皇帝~』
「いりません。」
「え?」
私が欲しいのは、眠気に効く栄養ドリンクです。
私は、この日・・・この世界に、眠気に効くドリンクがない事を知る。




