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サーシャのこれからの道筋は・・・

 サーシャが去ってから数時間が経っていた。

 夕食後の休憩をバルコニーで取っている。

 手にはウイスキー。

 ユピテルにお願いして、丸い氷をわざわざ作って貰ったのがコップに入っている。

 「こちらにいましたか・・・。」

 ピアーズがバルコニーに来る。

 「ルベライトの屋敷の方を見て、どうなさったのですか?」

 テラスの席に座りながら、俺の目線がルベライトの屋敷に向いている事をピアーズは言って来た。

 「サーシャさんが去ってから、陛下は考え事をしているご様子ですが、何かございましたか?」

 いつになく優しく接してくるピアーズだ。

 怖いんだが・・・と、思っている節があるが・・・実際考え事をしているのは確かだ。

 話せば楽になるから話すとするか・・・。

 「サーシャの事だ。」

 サーシャは、子供の成長に適した環境下で育っていない。

 姉ロゼリスからの悪役令嬢がやりそうな嫌がらせを受けていた。

 義母からも、贈られてくる貢物の良しあしで態度が変わり、時にロゼリス以上の嫌がらせをされていたようだ。

 反発や、父デュークに嫌がらせを受けた事が知られると、その後の報復は過酷を極める。


 そんな環境下に置かれながら、ヘリオドール家に助けを求めなかったのは何故か?


 「ヘリオドール家に助けを求めていたら、サーシャさんは殺されていたでしょうね。」

 ピアーズはサラッと言う。

 「ヘリオドール家は、実力の一族です。家族の嫌がらせに対応も出来ない者を一族の者と認めないでしょう。それより一族の付加価値を貶める者を排除するでしょうね。」

 ピアーズは、イリス帝国時代の侍女マリーは、ヘリオドール家から送られた侍女で、支援内容により暗殺される事を伝えていたのではないかと、推測した。

 「サーシャは、一人で戦うしかなかったのか・・・。」

 「そのようです。」

 それにしても、一人で戦う事が板についているというのか・・・。

 「いい環境で育っていないのに、ひた向きというのか、悪びれない性格は、どこから来ているのだろうな。」

 「そうですね。」

 ピアーズは、ほのぼのと聞いているようだが、俺はサーシャの事でまだ、気になっている。

 「サーシャに力が備わった時、周りにどのよう行動をとるのだろうか・・・。」


 いじめにあった者が、チカラをつけ・・いじめ側になる事がある。

 チカラを付けた際、再びいじめられないように、そのチカラを振るうのだが・・・。

 その振り方が、いじめ側の行動そのまま、酷ければそれ以上の行動をとってしまう。

 本当の力、本当の強さとは言えない醜いチカラの狂者だ。

 

 俺は、サーシャの今後のチカラの振り様が気になる。

 サーシャは、4大公爵家の権力が、手に入る事になる。

 それを正しい方向へ持って行ければいいのだが、いじめられた経験があるサーシャだ。

 チカラの固持の為に、いじめ側の行動を執らないといいのだが・・・。

 

 サーシャは、これまで一人で戦って来た。

 故に報復されることも想定して、そこにもチカラを使わないと、持っている力では、回りきらない事が反射的に身に染みついている。

 だが、もう一人ではなく、集団戦になるのだ。

 チカラの振り様で、周りの足を引っ張る事になる。

 そうならない為に、サーシャが持つべきモノ。

 それは、バッサリ切り捨てる行為だ。

 バッサリ切り捨てて報復されても、周りが守ってくれる。

 それを知る事なのだが・・・。

 これまで、バッサリ切った事のないサーシャだ。

 バッサリ切るモノ、切っていはいけないモノの区別がつかないといえよう。

 周りがしっかりカバーしないとならないのだが、サーシャの周りがしっかりとした者なら、問題はないが。

 万が一とんでもない輩なら、サーシャは悪女となる。


 「はぁ~・・・ヘリオドール家は、とんでもない物をサーシャに渡したモノだ。」

 ピアーズは、何の事だかわからないようだ。

 不思議そうにこちらを見ている。

 「母の形見の櫛だよ。その使い方によっては、サーシャは殺される事になる。」

 「何ですって!」

 まあ、そうなるよな。

 俺は、ピアーズに落ちつけと促す。

 「まあ、殺されることになったとしても、ヘンリーとの子が出来てからだと思うがな。」

 「そのような事を聞いてません・・・何故サーシャさんが、殺されないとならないのかです?」

 そこまで、睨むなよ。

 再び、落ちつけピアーズ。

 俺はピアーズにも、お酒を持ってくるように使用人に伝える。

 使用人はピアーズがワイン好きだと知っているようで、赤ワインを持ってきた。

 

 「ヘリオドール一族が実力主義の一族だとは知っているよな。」

 俺は、ピアーズに聞いてみる。

 ピアーズは、その事を知っていた。

 「その実力がなければ、殺される。」

 「ですが、サーシャ様は、その実力がおありなのでは?」

 ピアーズは、ルベライト公爵領の緑とピンクの計画と、クローライト公爵領の裁縫の町計画などを挙げた。

 「これまでなら、それだけでよかった。」

 民主主義のススメのような内容の文章が、サーシャをイリス帝国で生かさせてくれた。

 そして、ドラゴニアで生きる事を許されたのが、緑とピンクの計画。

 それなりの地位の持つ者として許される事になったのが、裁縫の町計画。

 ライナスの教育も含まれるのか?


 だが、黄金のドラゴンの伴侶の絆を結んだ事に対して、まだ結果が出ていない。


 ドラゴンのトップである黄金のドラゴンだ。

 生半可な事では許されないだろう。

 

 「ウィリアム・ヘリオドールという男は、姉の処遇を指定してきたのだよ。」

 これまでは、いろんな案を出す事で命を繋いでいた。

 それは一人でも出来る事。

 その案が通らなくてもいいのだ。

 その内容に意味がある。

 今はダメでも、後の世では必要になる資料になるのだから。


 だが、サーシャは上に立つ者となる。

 「上に立つ者としての采配を姉に下さないとならない。」

 これまでのような、一人戦の方法ではダメなのだ。

 しっかり、人を導く者としての采配をしなくてはまらない。


 「サーシャさんが、一番苦手とする内容なのではありませんか?」

 「そうだろうよ。」

 だが、それを乗り越えないとならない。


 これからの為に・・・。

 

 「支えてあげるのですよね・・。」

 「当たり前だろう。」

 ドラゴニアの今後にもつながる。

 「『俺を見習え~』では、ダメだとはわかりますよね。」

 ピアーズよ・・・そこまで俺はダメな王なのか?

 だが、どうサーシャを導くか・・・。正にそれを悩んでいるののだけどな~。

 

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