ヘンリー様・・・到着です
「サーシャは、報復に怯えているのではないか?」
・・・・・・!!?
「これまで、酷い仕打ちをされたから、酷い仕打ちをした者を甘やかす行動で、報復されないように、報復されても、軽く済むように手を打っている。そう、俺からは見える。」
ハミッシュ陛下に、的を抜かれた感じに衝撃を受ける。
・・・何も、言えない。
いろいろとグルグル頭を巡らせて、これまでとって来た行動全て、それに当てはまってしまうからだ。
恐ろしいと感じてしまうほど、ぴったりに・・・。
「もう、一人で戦うなよ。」
ハミッシュ陛下が立ち上がり、私の下に来て頭を撫でる。
”バンッ”
と、部屋のドアが勢いよく開く。
ヘンリー様が迎えに来たのだ。
顔芸の出来ない顔でも、その表情がわかる・・・凄い睨みを利かせて、ハミッシュ陛下を見ている。
この国の王ですよ・・国王陛下ですよ~。
「今のヘンリーは暴走しているが、落ち着けば誰よりも支えてくれるはずだろう。もう、サーシャは一人ではない・・・皆がいる。」
ヘンリー様は、ズカズカ部屋の中に入ってくる中で、私はハミッシュ陛下に腕を掴まで立たされる。
「ほら、連れて帰れ!」
と、ハミッシュ陛下は、私をヘンリー様の方に放り投げる。
「言われなくても、そうしている。」
「うわっ!」
ヘンリー様は私を姫抱っこする。
「歩けますから降ろしてください。」
私は、身体を動かす。
「陛下、空き部屋を貸して欲しい。」
・・・え?
「俺がこの頃王宮にいる事で、侍女の休憩時間が減っているんだよね~。それなのに、空き部屋の掃除を隅々までさせるのは忍びない・・・自宅まで我慢しろ。」
掃除って・・・それも隅々までって!?
「なら、今度こそ青空の下でするだけだな。」
「おいおい、俺は自宅まで我慢しろと、言ったはずだが・・・。」
ハミッシュ陛下のいう通り、自宅まで我慢して!
一応、ここに来た時点で、それなりの覚悟はしているんだから~。
「返事をしていないのだが。」
今からでも遅くない、『わかった』って言おう。
「金の空の出来事は、公には公表していないのだが・・・。」
しないでください!!
「でも、知っているの者は知っている。」
箝口令を発してくれている・・はず。
「サーシャ、この口論。俺が勝たないと、とんでもない事になるが・・・。」
「ハミッシュ陛下、勝ってください!!」
月曜日に学校に戻れなくなる。
「・・・だ、そうだ。」
”ぎゅっ”
と、ヘンリー様の腕に力が入った感じがした。
・・・これって、ヤバイ。
早く、ルベライトの屋敷に戻りましょう。
”ギューー”
と、窓らかドラゴンの鳴き声がする。
窓の外には金色のドラゴンの姿が見えた。
コスモが、こんな所まで迎えに来たのだ。
ピアーズさんが気を利かせて窓をあける。
「頑張ってください。」
・・・何を?
窓からコスモに飛び乗る。
すぐにルベライトの屋敷に向けて飛翔しだす。
「・・・・サーシャ。覚悟できているな。」
「どこかに、覚悟が・・消えてしまいま・・した。」
私、今・・プルプル震えています。
「ふ~ん・・・まあ、この際、覚悟なんてあっても、無くても同じ事だがな。」
「いや、違うモノにしましょう。」
私は、振り向きヘンリー様に訴える。
「俺にそれが出来ると思うか?」
はい、濃厚なキスが襲って来ました。
ルベライトの屋敷まで・・・あと少し。
ほら、そこに見えるでしょ。
だから、制服のボタンを外さないで!




