夢、現・・・そして過去
”パチクリッ”
今、見える景色・・・天井。
わっ、わ、私・・・生きて・・るよね。
天井の他にも、辺りを見回し確認をする。
うん・・・ゲームの世界。
って、現実味がないでしょうが!!
まだ、夢の中で・・・目が覚めるってこと・・・。
いやいや、この世界が現実。
・・・が、いいよ~・・・な、世界なのよね。
私は、時計を見る。
まだ、起床時間ではない。
確認を含めて、シャワーよ、シャワー。
変な汗を流すわよ。
私は、寝巻を脱ぎ浴室へと向かう。
その途中に設置っされている姿見の鏡をじっくり見る。
鏡に見えるは、浅見沙弥那ではなくサーシャ・トラバイト。
サーシャ・クラウンコッパーもしくは、サーシャ・カーネリアンでもOK。
この際、サーシャ・ルベライトでも可・・・よね。
しっかりと、鎖骨と胸の間に、金色の伴侶の絆の文様があるわ。
・・・だいぶ薄くはなったが、ヘンリー様に付けられたキスマークもある。
うん・・ここは、ゲームの世界観があっても、現実の世界。
さあ、変な汗を流すわよ。
私は、浴室へ入り頭からシャワーを浴びる。
「うわっ!」
まだ、適温になってなく、冷たい水を頭からかけてしまった。
これも、また現実味があるっていえば・・ある方だわ。
ゲームの世界なら、蛇口ひねって、すぐ適温だものね。
安心、安心。
思い返せば、私って・・ヘンリー様を見ながら死んだんだわ。
何か、夢のよう・・・。
”ピクッ”
・・・あぁ~、現実味が薄れていく~!!
今すぐ、ヘンリー様にあって確認を・・・しない方がいい。
だって、もっと現実味がない体験をすることになる。
いや~、私の現実どこよ~!!
◇ ◇ ◇
あの爆発事件から1年が経つ。
事故でなく事件なのは、爆発地点の住民が爆発を起こした前日の夜に、殺人を犯していたと判明したからだ。
殺人をした後、コンビニやドラックストアで、大量のスプレー缶を購入し、爆発自殺に至ったという。
死者は8人。
その中に、仕事の先輩である浅見沙弥那さんがいた。
私は『陵明寺』に、花束を持って寺の門をくぐる。
「お兄ちゃん、早く~!」
と、兄を急かす高校生ぐらいの女の子が、私の横を通り過ぎ先を行く。
すぐに、小走りに走る男性。
私より年が上に見える。
結構年が離れているわね。
「花蓮、先に行っても場所がわからないだろう。」
「そうだけど・・・早く会いたんだもん。」
早く会いたいって・・・親かしら?
2人は、仲良く先を行く。
何故か私は、その2人の後を追うような感じに、無縁仏の前に来る。
無縁仏の斜め先が、あの2人の目的地のお墓があった。
”パンパンッ”
え?
「アリスさん、素敵なゲームを作って頂き、ありがとうございます。チームメロティーのこと、出来ましたら兄のロードネイションチームの事も天国から見守っていてください。」
手を合わせて、お願い事をするように言う女の子。
「花蓮、ここは神社じゃないんだから、二拍手はだめだろう。」
妹にデコピンをする兄。
あまり怒っていないような感じではない。
「私にとって、アリスさんは神のような存在よ。」
「それでもだ。まだ一年しかたっていないんだぞ。遺族からすれば昨日の事なんだ。」
その一言で、妹は自分のした事の過ちに気づき、しゅんとなる。
今度は、しっかりとしゃがみ手を合わせる妹。
それを見守る兄。
「お兄ちゃん・・・もし、犯人がアリスさんのシナリオのゲームをしていたら・・・あんな爆発事件まで起こさなかったんじゃないかって思うのよね。」
「爆発事件!?」
私は、驚きつい声を出してしまった。
「ご、ごめんなさい、つい聞こえてしまって・・・。私の知り合い・・ここに眠っている知人なのだけど・・・一年前の爆発事件で亡くなったの。」
私が、その事を言うと驚き、だがすぐにショックな顔で私を見た。
甘味処『龍々あん』
「いきなりの事でしたのに・・申し訳ないです。」
私と、陵明寺であった仲のいい兄妹は、お寺の近くの店に入った。
「こちらも、お話をしたかったですし・・・」
兄の方が妹の方を見る。
妹は目を輝かしてメニューを見ていた。
「どうやら妹は、墓参りを済ませた後、ここに寄るつもりのようでしたし、気にしなくていいですよ。」
妹さんは、この店のスムージーソースのかき氷がおいしいと口コミの情報を入手して、食べたかったと素直に兄に伝えた。
微笑ましい風景に、私はクスリッと笑った。
「『抹茶スムージー・フルーツ』もいいけど『イチゴスムージー苺』も捨てがたいなぁ~」
妹さんが兄の方を見つめる。
「はぁ~、抹茶味は俺の方な」
その一言で、妹さんは満面の笑みでお礼を言った。
どうやら、妹さんに味見をさせてあげるようだ。
私は『ベリースムージー・ティラミス』を頼んだ。
私は鞄から名刺をだす。
「『NAMIRUグループ技建』来濃支社の巻基 早苗です。」
「来濃支社って、ここから遠くじゃない。」
と、妹さんの質問に、私が旦那の実家がここだと答えた。
その会話の最中、兄の方は財布から名刺を取り出していた。
「エナ・ファルティーの企画課、ロードネーションチームプログラマーの椋梨翔英です。」
「妹の花蓮です。」
私は、名刺を受け取った。




