会社員だった私
前世編の突入です。
すみませんが、お付き合いください。
『NAMIRUグループ技建株式会社来濃支社』
経理部に配属になって3年。
だいぶ仕事になれてきた。
来年度は、後輩指導をして欲しいと部長から言われているので、もっと頑張らなくては・・・。
「佐賀宮副部長。書類です。」
書類を佐賀宮 継琉副部長のところに持って行く。
「ああ・・んっ、ゴホッ」
佐賀宮副部長が、せき込む。
喉の痛みというか・・・渇きかな?
「飲み物をお持ちしましょうか?」
「ありがとう、冷蔵庫に俺の名前が書いてある物があるから持って来て貰っていいかな?」
私は『もちろん』と、いい給湯室に向かう。
給湯室へ向かうと鈴里子がいた。
佐郷 鈴里子。
同期入社で同じ部署に配属となった子。
入社当初から意気投合をしていた。
その鈴里子は、給湯室で一人モグモグタイムのシュークリームを食べていた。
「サヤナどうしたの?」
私は、佐賀宮副部長に飲み物を取りに来たことを言う。
「サヤナは、佐賀宮副部長の事をどう思ているの?」
鈴里子が言って来た。
「28歳で副部長に昇進したエリートなのに、家の妻子の事を気にかけている素敵な人だと思っているわよ。」
佐賀宮副部長の机の上には、デジタルフォトフレームが置いてあり、つい3日前も、新しい家族写真がアップされていた。
私は、家族愛を知らないから、ついつい聞いてしまうのよね。
でも、佐賀宮副部長も恥ずかしがらずに、嬉しそうに話をしてくれるのでありがたい。
「・・・ふ~ん。」
私は、給湯室の冷蔵庫を開ける。
「サヤナ~。あなた・・また黒いスカートはいて来たのね。」
本日の私の服は、黒のタイトスカートに白いブラウス、それとカーディガン。スカーフで何とか華やかさを出しています。
「ダサいって言っているでしょう。それも新人は、とっくに終わっているに、リクルートチックなファッションはダメでしょう。」
華やかな鈴里子のファッションチェックは厳しい。
特に黒の服を着ると、『葬儀に行くの?』とか『気持ちまで暗くなる~』とか、言いたい放題に言ってくる。
だけど、自分で買ったファッション雑誌の本を見たらすぐに私に貸してくれるなど、優しいのよね。
「冬服が乾かなくて、黒のスカートをはいて来るしかなかったのよ。」
確かに今着ている黒のタイトスカートは、新入社式に着ていたスカートだ。
リクルートチックではなく、リクルートそのままです。
それをスカーフで誤魔化しても、鈴里子にはわかってしまうのね。
「今日中には、ピーコック色のマキシ丈スカートが渇くはずだから、明日はそれを着る予定。」
鈴里子は指でOKサインにをしてくれた。
そして、私は佐賀宮副部長に飲み物を持って行く。
仕事が終わり、職場から帰ろうと会社のロビーまで来る。
ロビー入ってすぐのところに、見覚えのある女性が立っていた。
私を見るや、ズカズカと向かってくる。
私は、誰だっけと思い出そうとした。
・・・あっ、佐賀宮副部長の奥さんだわ。
佐賀宮副部長の机のデジタルフォトフレームの写真を思い出した。
”パチーーンッ”
ロビーに響き渡る音。
社員一同が私の方を見る。
「この、泥棒猫が!!!」
佐賀宮副部長の奥さんに、いきなり顔をひっぱたかれて罵倒をされた。
私は、頬を手で押さえ、何が何だかわからす、佐賀宮副部長さんの奥さんの方を見る。
「何、しらばっくれた顔をしているのよ!!」
”バシャンッ パラパラ”
と、佐賀宮副部長の奥さんに写真を数枚投げつけられる。
落ちた写真を見る。
ラブホテルに入る佐賀宮副部長と・・・私!?
え?
私・・・処女ですよ。
ラブホテルは、学生時代の特殊清掃の清掃員としてしか入った事はありません。
作業服姿でしか・・・こんな素敵な服で、ラブホテルなんかに入った事は、一度もありません。
じゃあ・・・これは何?
・・・?
私は、一枚の写真を拾う。
「奥様、この写真ですが、顔と体の光のコントラストが違くありませんか?」
「口答えをするなーーー!!」
佐賀宮副部長の奥さんは私からその写真を奪うと、その場で破き捨てる。
”ガシッ”
「痛い!!やめて!!」
いきなり佐賀宮副部長の奥さんは、私の髪を掴み引っ張る。
そして・・・。
”ドーーンッ”
と、私は、頭から地面に叩きつけられた。
「きゃーーーー!!」
周りから悲鳴が聞こえる。
「救急車を呼べ!!」
私は、頭を強く地面に打ち付けられ・・そして血を流し気を失ったのだ。
前世編・・まだ続きます。