悪役令嬢は何処へ
”ぱたんっ”
救急箱の蓋を閉める音。
ただいま私の額には包帯が巻かれた事で、額のマークが隠れました。
「そうよね。額のドラゴンのマークのあざは、ここの礼拝堂の関係者と言っても過言ではないわ。そのような者が、礼拝堂にいないとなると不審に思われてしまいますね。」
カリスタ様の手当のもと、なんとか一般人になれました。
「ありがとうございます。」
私はカリスタ様にお礼を言い。ハミッシュ陛下の方を見る。
なんだ?
と、私が何か聞きたいことがあることを察するような顔をしている。
私は、再びカリスタ様の方を見る。
「カリスタ様がいる前で、聞きにくいことなのですが・・・。」
二人して、構わない雰囲気だった。
「大団円ルートをたどったという事は、ハミッシュ陛下は、婚約者であったアリシア様と結婚したのですよね。カリスタ様と結婚しているという事は、アリシア様は何か病気で亡くなられたのですか?」
・・・・なんか気まずい雰囲気な空間になった。
動くな禁止な感じだよ。
アリシア・クローライト
『ドラフラ』『続・ドラフラ』の悪役令嬢枠の令嬢。
マティアス・クローライトの前妻との子で、ハミッシュ殿下の婚約者。
リオンが、ハミッシュ殿下の恋愛ルートをたどると、ゲームの悪役令嬢全開の行動をして、牢屋にぶち込まれ死亡する。
他の攻略者ルートでも嫌がらせは、それなりにあり国外追放されるルートもあったりする。
だが、大団円ルートは、リオンとアリシアは大の仲良しなのである。
『続・ドラフラ』では、養女となったリオンと同じ屋根の下で過ごすことになる。
そこで、母キャサリンを交えて3人でのお茶会したり、両親がいないときは、2人でパジャマパーティーしたりと、結構な仲良し姉妹になるのだ。
大団円後の、リオンは、王太子妃になったアリシアの第一女官となったはず。
大団円の後日談メッセージには、王太子妃になったアリシアが出てきて、リオンが第一女官になったことを感謝するメッセージだったのだから。
えっと・・・現実は、どうなのですか?
目が厳しいハミッシュ陛下、お答えをお待ちしているのですが・・・。
カリスタ様も、目をそらし表情が曇っているのですが・・・。
ごめんなさい。私が地雷を踏んだのは分かりました。ですが、アリシア様のこと知りたいので教えてください。
ため息がする。
ハミッシュ陛下がしたことがわかった。
「・・・この国の黒歴史の中心人物、それがアリシア・クローライトだ。」
私は、手に汗を握っていることに気づく。
そして、唾をのみ込んだ。