〇感謝の番外編〇 初心者マークは、危険という意味も含まれると考える。
誤字修正のみならず、ブックマークそれに評価もしていただきありがとうございます。
感謝の気持ちを表したく、番外編を作らせていただきました。
合成獣がドラゴニアを襲ってから5日程が過ぎた。
私は、王宮のルベライト屋敷にいる。
マブ・ラリマー邸で、一日36時間生活をしていたことなどから、体調をこわして3日間寝込んでいた。
えっと・・・・普通に寝込んでいました。それは間違えないです。
4日目は、だいぶ状態が良くなったので、合成獣に関する報告の資料を見ました。
どうやら合成獣は、ホルンメーネがら放たれたモノのようで、ドラゴンの血とドラゴンの卵とその他の動物、そしてユニコーンの角で造られたとかで・・・憤りを感じたわね。
それと、ドラゴンの大樹での・・・・コトね。
全てヘンリー様が処理をしてくれて、私には一切聞き取りとかはなかった。
あったら、どうなっていたのだろう・・・と、思うと感謝はするのよ。
でも、ヘンリー様はどのように報告をしたのかと考えると・・・恐ろしいとも思うのよね・・・。
”なかったことにしましょう”
と、言いたい気分だ。
さて、5日目になると体調は、運動しないと逆に悪くなるという状況になった。
なので、かねてより思っていた事を実行するため、私はベッドから起きる。
クローゼットを開けて、首元のリボンが左よりに結ぶ形となっているタートルネックのワンピースを着る。
そして、マブ・ラリマー邸のメイド服のエプロンだけを持って、厨房へ。
「サーシャ様、どうなさいましたか?」
厨房のコックが部下に任せ、私のところへと来た。
「ヘンリー様の為に、クッキーを作りたくて・・厨房の端を貸して頂きたいのです。」
何でだろう・・顔が仄かに熱い。
そして、どうしてだろう・・・コックが生温かい眼で私を見ている。
私・・・何かしましたでしょうか?
どちらかと言うと、美味しい料理を作ってくださっているコックの方が
何かしているような気がしますが・・・。
コックは、2番目に大きい作業台を使わしてくれた。
私はエプロンを装着。
うん、始めよう。
クッキーを作りだした。
マリーがそばにいてくれたなら、マリーにおいしいクッキーの作り方を教わりながら作っていたのだが、マリーは今、お腹の子の為に安静が必要。ルベライト城で安静にしていて欲しい。
そういう事なので、今作っているクッキーは、本当にシンプルな料理初心者向けのクッキーだ。
まあ、サーシャとしては・・・料理は初心者ですから間違ってはいないよね。
厨房の周りの方々が、驚いた雰囲気に見えるのは・・・何故かな?
私は、全力で料理初心者を突き進んでのクッキー作りなんだよ。
その事・・・わかって欲しいな~。
こうして私は、初心者クッキーを作った。
クッキーの形は、矢羽根の形ぽいが”初心者マーク”よ。
全力で初心者突き進むならこの形でしょう。
私は、カートに初心者クッキーと紅茶を乗せてヘンリー様のところへ行く。
「ヘンリー様、休憩にしましょう。」
私は、王宮のルベライト屋敷でのヘンリー様の執務室へと入った。
ルベライト城との違いは、なんと言っても机の高さだ。
ルベライト城は、立ち仕事用に机が高くなっているのだが、ここは座って作業する一般的な高さの机なのだ。
その為、書類捌きのスピードが多少落ちる。
ルベライト城では午前中で終わる作業も、ここでは昼食後も作業をすることがある。
なんでも、王宮からの使者が、あの神業書類捌きを見て、書類を拝見せずに処理をしていると疑われた事があったとか。
その事で問題が起きないように、王宮のルベライト屋敷では、神業書類捌きを封印している。
なので、お昼過ぎの今もヘンリー様は書類と格闘をしている。
「サーシャ、動いていて大丈夫なのか?」
私は、素直に動かない方が体に悪いことを伝えると、ホッとしたように、書類を置いてソファーに座ってくれた。
「それは?」
やはり、気づきますよね~。
「クッキーです・・・・その、恥ずかしながら・・・私が、初めてクッキーを作ったモノで・・・お口に遭わないと思うのですが・・どうしても、ヘンリー様に食べて貰いたくて・・・。」
何だろう・・・空気が変わったような~。
まあ、いいか、ヘンリー様に食べて貰うのだ。
私は、ヘンリー様の前に紅茶とクッキーの入ったお皿を置く。
すると、ヘンリー様が口を開ける。
・・・・・?!
ああ、この空気って・・・はい。
このまま、クッキーをヘンリー様のお口に手ずから渡せば、おかきの時の様に指まで舐められる。
そこで、終わればいいのだが・・・。
この雰囲気は無理だと語っている・・・・・困った。
「サーシャ。」
ヘンリー様は私の名を呼び、再び口をあける。
急かすな。
私にも心の準備というモノがね・・あるのだよう。
いや、この場合。
ルベライトに嫁ぐ者として、クッキー初心者はやばいのだよ。
クッキー上達為に作ったのに・・・。
それも、出来ればヘンリー様好みのクッキーをと思い食べさせるのに・・。
このままいけば、クッキーの味の感想をヘンリー様から聞けない。
それどころが、初心者クッキーの味ですら、わかって貰えない。
ルベライトの嫁・・失格。
だーめーだーーー!!
”カチャッ”
私は、ティースプーンを取り出し、スプーンの上にクッキーを置く。
「サーシャ?」
「自己防衛の為、急遽スプーンの上にクッキーを置きましたが、やむを得ない場合の為、ご了承ください。」
前世の車内アナウンスのような内容の言葉を吐き、スプーンをヘンリー様のところへ持って行く。
”ポリッ”
ヘンリー様が初心者クッキーを食べてくれた。
”ボリボリボリ”
クッキーを咀嚼する音に感激をしている私がいる。
「ど、どうですか?」
”ゴックンッ”
「・・・可愛い。」
えっと、クッキーの味が可愛い?おかしい?・・・どうなのよ?
”グイッ”
スプーンを持った手を引かれる。
「え!?」
驚く私を裏腹に、ヘンリー様がスプーンを持っている私の手をなめだした。
「へ、ヘンリー様・・・私、クッキーの味が知りたいのです!」
どんどん顔が・・体まで熱くなっていくのが分かる。
「可愛い・・だからもっと、食べたい・・そう、思っていることを行動に移しているのだが。」
それ、絶対に違うから、クッキーの味と違うから。
「ルベライトの嫁として・・・ヘンリー様好みのクッキーを作りたく・・頑張りたいのに~。」
一瞬ヘンリー様が止まった。
「へ、ヘンリー様?」
次の瞬間、私はヘンリー様に姫抱っこをされた。
・・・ど、どこへ行くのでしょうか!?
私、歩けますから・・・体を動かさないと悪くなる状況なのです。
だから、歩かせてください!!
「俺好みのクッキーを作りたいなんて、可愛すぎるだろう・・・。」
何言っているの?
好きな人の好みに合わせてクッキーを作りたい願望は当然のことでしょう!
私は、そのことを体をジタバタさせながら言う。
”ひょいっ”
と、ヘンリー様は、姫抱っこから肩に担ぐように私を移動させた。
「頼む・・ゆっくり俺好みのクッキーを作ってくれ・・一気に作れてしまうと喜びが、すぐになくなってしまう。」
なるほど・・・言われてみればそうだな。
これから、何十年も、何百年もヘンリー様と一緒にいる事になるのだから、徐々にヘンリー様の好みのクッキーを研究して作ればいい。
だか・・・一歩目って大事よね。
「では・・ほんの少しだけ今回のクッキーの味を教えてください。」
「言っただろう・・可愛いって。」
それは、味ではない!!
「ぎこちないハートマークのクッキーとは・・可愛いしか言いようがないだろう。」
初心者マークだから!!
断じてハートマークではない。
矢羽根でも可な形であっても、ハートマークではない!
・・・だが、言ってもわからないんだったー。
失敗した~。
私はせっかく5日目にしてベッドから出られたと言うのに・・・再びベッドの中に戻されてしまった。