青でなく・・・
本編の最終話です。
聖ライト礼拝堂にやっと着いた。
ドラゴンの大樹の周りは、通常なら柳の葉が地面に刺さっているのだが、今は更地の様になっている。
ヘンリーか?
薄暗くてわかりにくいが、ドラゴンの大樹の周りの更地に人がいた。
バージンロードの中間地点に着地をする。
「ヘンリー!!」
俺はヘンリーに声をかける。
「・・・陛下」
ヘンリーはあたりをきょろきょろとしていた。
何をしているんだ?
そんな事よりも、聞かないとならないことがあるだろう。
「サーシャは?」
まずは、サーシャの事だ。
ちゃんと・・・生きているよな。
「疲れて休んでいますよ。頑張ってくれたのですから、そのまま休ませてあげてください。」
何でも、疲れて気を失うように眠ったとか。
礼拝堂の者に頼んで、個室のベッドで眠っているようだ。
まずは、良かった・・・。
そういえば、ユピテルで空から来た際に、コスモが見えなかったな?
「コスモはどこにいる?」
きょろきょろ辺りを見まわしているヘンリーに聞く。
「体が汚れたので、近くの川で体を洗いに行ってますよ。」
そろそろ帰ってくるような事を言った。
まあ、大量のドラゴンの大樹から出る葉で体が汚れたのだろう。
「クレシダも一緒なのか?」
すると、ヘンリーは礼拝堂の方を指さす。
「礼拝堂内の礼拝室にいますよ。」
ヘンリーが指さした方角に、ガラス越しの向こう側に体を丸めて眠っているクレシダがいた。
これまで眠っても、数時間で起きてしまうと情報が入っているが、気持ちよさそうに眠っているように見える。
合成獣がいなくなったのだ、きっとぐっすり眠れるだろう。
サーシャと同じく休ませてあげるべきだ。
それより、先ほどからきょろきょろしているヘンリーだ。
どうしたんだ?
「ヘンリー、何をしているんだ?」
ヘンリーは探し物をしていると言った。
何を探しているとまでは言ってくれなかった。
言ってくれれば、一緒に探せと言うのに・・・。
「シスターに言って、陛下も休まれてはいかがですか?」
そうだな、ユピテルも休ませるべきだしな。
俺は、ヘンリーのいう通りにしようと、バージンロードを礼拝堂に向けて歩く。
・・・?
バージンロードの端に白い物・・・ゴミか?
神域と言われている場所にゴミはいただけないな。
俺は白い物を取る。
一部、土に埋もれていたが、神域に布切れが落ちているとは・・・。
何だ・・・これ?
俺は、その布を広げてみる。
三角の形の・・・。
血の気が徐々に引くのが分かる。
・・・女性の下着が何故ここに?
「・・あっ」
ヘンリーの声である。
俺はヘンリーの方を向く。
「探して頂き、ありがとうございます。」
そう言い、女性の下着を奪うようにとる。
ヘンリーが女性の下着?
・・・・・?!
「あっ」
俺も声を上げた。
そして、自分の顔が青ざめるのがわかった。
「あ・・あお・・あお・・あ・・あ・お・・。」
あまりにも驚きと戸惑いで続きの言葉が出てこない。
「陛下。言いたいことはわかりますが、先に訂正しますね。」
ヘンリーに、自然と指さしている俺に向かって言う。
「青空でなく、金色の空です。」
・・・金色の空?
確かに、そうだな・・・でなくて!
・・きん?!
・・きん・・きん・・きんだと!?
いろんな感情が入り混じるのが分かった。
そして、その一言を言おう出ないか・・・。
「何か・・かゆい!!」
これまでご覧になって頂きありがとうございます。
本編は、ここで終了とさせていただきます。
番外編や新章が出来ましたらアップしますので、是非ごらんになって頂けるとうれしいです。
よろしくお願いします。